主動筋とは?役割は?
主動筋とは?
「主動(しゅどう)筋」という筋肉のことをみなさんはご存知でしょうか?実は、主動筋という名前の筋肉はありません。筋肉の状態を指す言葉なのです。どういうことなのか解説いたします。
主動筋の役割
元々は主動作筋という言葉の略称なのです。体のどこかを動かす時に縮む役割を持つ筋肉のことを主動筋、セットで緩む役割の方を拮抗(きっこう)筋、と呼びます。筋肉固有の名前ではなく、役割の名前なのですね。
例えば、肘を曲げる動作をすると上腕二頭筋は縮むので主動筋、上腕三頭筋は緩むので拮抗筋となります。逆に肘を伸ばす時にはこの役割が逆転します。
主動筋の表記について
主動筋は、“動”ではなく“働”という字を当てて主働筋と書かれている場合もあります。トレーニングの専門家が好んで使う表現とも言われていますが、運動学上の用語としては「動」が正しいとされていますので、本記事では主動筋と記載します。
こうした筋トレ系の話題には、必ずと言っていいほど「主動筋」「拮抗筋」という言葉が出てくるので、筋肉の固有名ではない、というポイントはしっかり押さえておいてくださいね!
主動筋を鍛えるメリット
主動筋を鍛えるメリットはいくつかあります。これから早速見ていきましょう。
見た目に分かりやすい筋肉を付けられる
筋肉によっては主動筋としての役割の方がより大きいものがあり、そこを鍛えることで見た目に分かりやすく盛り上がった筋肉を付ける事が可能になります。
例えば、上腕二頭筋は肘を曲げる時に主動筋となります。しかし、実際の生活の中では肘を伸ばす時よりも曲げる時に負荷がかかる頻度が高いため、上腕二頭筋は主動筋としての役割がより大きいと言えます。したがって、腕の主動筋を集中して鍛えるということは上腕二頭筋を鍛えることになり、その結果分かりやすい力こぶを付ける事ができます。
(上腕二頭筋の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
上腕二頭筋の筋トレメニュー!急激に力こぶを発達させる鍛え方のコツを解説
出典:Slope[スロープ]
バランス良く筋トレができる
主動筋だけのトレーニングは可能ですが、拮抗筋を意識したトレーニングを行うことで、よりバランスの良い筋トレに繋げることができます。
漫然と一方的な動きで主動筋だけ鍛えても効果は高まりません。逆の動きでは拮抗筋が主動筋となります。両方の負荷を意識してバランス良くレーニングすることが重要です。
姿勢や体型をより美しくできる
主動筋と拮抗筋をバランス良く筋トレすることで、筋肉の付き方が美しくなり、より美しい姿勢や体型作りに繋がります。
例えば、大胸筋と広背筋のペアは主動筋と拮抗筋の関係になりますが、大胸筋だけ鍛えてしまうと猫背のような姿勢が出来上がってしまい、美しくありません。
主動筋と拮抗筋の関係を意識して、広背筋もセットでバランス良く鍛えることで筋肉もバランス良く付いてきて、まっすぐ美しい姿勢へと繋がります。
ケガをしにくくなる
筋トレと言うと、筋肉を太くたくましくしたりとか、力を強く出せるようにといった点に目が行きがちですが、実は主動筋と拮抗筋のバランス良い筋トレによって、ケガをしにくくなるのです。
例えば、トレーニング中などに不意に姿勢のバランスが崩れるような事が起きても、主動筋と拮抗筋が適切なバランスで働いてくれ、大きく姿勢を崩しにくくなるというわけです。縮める力や伸ばす力だけ強くなってしまうと、押す力に強くても引く力に弱い、のような状況が生まれて転びやすくなったりするのです。
主動筋と拮抗筋のペア一覧
体のどこかを動かす時、主動筋と拮抗筋はペアの関係にあります。その組み合わせを知識として知っておくと、主動筋と拮抗筋を意識した筋トレを行う際に、より効率的で効果的なトレーニングを実現できます。
主動筋と拮抗筋の主なペアは次のようなものがあります。
上腕二頭筋 × 上腕三頭筋
男らしさが出る力こぶといえば上腕二頭筋、その裏側はいわゆる二の腕、上腕三頭筋です。
(上腕三頭筋の筋トレ&ストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
上腕三頭筋の筋トレ&ストレッチメニュー!二の腕に効かせる鍛え方のコツも解説
出典:Slope[スロープ]
大胸筋 × 広背筋
大胸筋は胸側にあり、いわゆる胸板を形作る筋肉です。
広背筋は背中側にあり、肩甲骨の付け根から背骨に沿ってお尻までを覆っている筋肉です。
(大胸筋の筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)
大胸筋の筋トレ20選!急激にデカくなる鍛え方のコツをプロが解説
出典:Slope[スロープ]
腹直筋 × 脊柱起立筋
一般に「割れた腹筋」でイメージされる、あの六つに割れた板チョコのようにも見える部位、それが腹直筋です。胸の下あたりからおへその下あたりにかけて覆われている筋肉で、シックスパックとも呼ばれています。
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)とは、腸肋筋(ちょうろくきん)、最長筋、棘筋(きょくきん)の三つの筋肉の総称であり、背骨から頭の方までを覆っている筋肉です。背中の筋肉の中では最も長く大きな筋肉で、体を傾けたり、立つ・座る等の動作に欠かせない、重要な筋肉群です。
(脊柱起立筋の筋トレ&ストレッチについては以下の記事も参考にしてみてください)
脊柱起立筋の筋トレ&ストレッチ!短期間で背中の筋肥大・姿勢矯正が実現するコツを解説
出典:Slope[スロープ]
大腿四頭筋 × 大腿二頭筋
大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は太ももの前側にあり、大腿直筋、外側広筋、中間広筋、内側広筋の四つの筋肉からできています。太ももを支える主な筋肉です。
大腿二頭筋(だいたいにとうきん)は太ももの後ろ側にあり、長頭と短頭と呼ばれる二つの筋肉からできています。
さらに、半腱様筋(はんけんようきん)、半膜様筋(はんまくようきん)という二つの筋肉と共に、ハムストリングスと呼ばれる筋肉群を形成しています。
ハムストリングスは、下半身の後ろ側を覆う筋肉群を表す名称です。大きな負荷がかかる下半身を支えるための重要な役割を持つ筋肉群とされています。
(大腿四頭筋の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
大腿四頭筋の筋トレメニュー!自重〜ジムまで!太もも前を鍛えるコツを徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
下腿三頭筋 × 前脛骨筋
下腿三頭筋(かたいさんとうきん)とは、いわゆる「ふくらはぎ」にあたる部分です。ふくらはぎは腓腹筋(ひふくきん)とヒラメ筋の二つで成り立っており、これらを総称して下腿三頭筋と呼びます。
(前脛骨筋の筋トレ&ストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
前脛骨筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説
出典:Slope[スロープ]
前脛骨筋(ぜんけいこつきん)とは、脛骨から足の裏の内側までを繋いでいる筋肉で、足首を反らす運動などで働きます。
主動筋と拮抗筋をバランスよく鍛えるスーパーセット
スーパーセット法とは、主動筋と拮抗筋の筋トレを間隔を空けずに連続して行うトレーニング方法のことです。筋トレをする際に拮抗筋の働きが強すぎると主動筋の動きにブレーキがかかってフルに力を出せなくなり、トレーニングの効率や効果が下がってしまいます。それを防ぐ筋トレ方法がスーパーセット法です。
このスーパーセット法のポイントは、メインの主動筋の筋トレを行う前に拮抗筋の筋トレを行うことです。そうすることで拮抗筋のブレーキ機能をあえて弱め、主動筋のトレーニングの効果と効率を最大限に引き出すことができます。
また、インターバルを長めにとることで、よりハードな筋トレも可能になります。主動筋が働いている時、拮抗筋は緩み回復が促進されますが、この仕組みを相反神経支配と呼びます。これを利用し、長めのインターバルでスーパーセット法を実施するという方法もあります。
Slopeにはこの主動筋と拮抗筋トレーニング、スーパーセット法についてより詳細な解説記事があります。以下にリンクがありますので、併せてこちらもぜひ参考にして頂き、より効果的な筋トレに励んで下さい!
スーパーセット法で筋トレ効率UP!メリット〜部位別の組み合わせまで紹介!
出典:Slope[スロープ]
主動筋を理解して鍛えて筋トレ効率UP
ここまで、主動筋がいかなる筋肉なのか、主動筋を鍛えるために重要なポイントとは何かを解説いたしました。もう一度おさらいしてみましょう。
▼主動筋とは手足などを動かす際に縮む筋肉の役割の名称で、それとペアになって伸びる方を拮抗筋と呼ぶ
▼体の動作で縮む役割の方を主動筋、伸びる方を拮抗筋と呼ぶ
▼主動筋を鍛えるには拮抗筋もバランス良く鍛えることで、筋トレの効率や効果がUPする
▼拮抗筋を先に筋トレした後主動筋トレーニングに移るセットをスーパーセット法と呼ぶ
▼スーパーセット法は効率的な主動筋トレーニングには欠かせない
以上のポイントをしっかり押さえた上でトレーニングすると、短時間で着実、効率的な筋トレを実施できますので、今日からでも早速試してみて下さいね。