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細胞核オーバーロードは嘘?筋肥大が爆速に?やり方〜論文を下に効果を検証!

2021年05月03日

細胞核オーバーロードとは、マッスルメモリーの原理を利用したトレーニング方法で、爆速的に筋肥大を引き起こす効果があるといわれるハードなトレーニング方法です。今回は、細胞核オーバーロードを論文を基とした仕組みや効果に、嘘と言われる理由についてなど詳しく解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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細胞核オーバーロードとは?

細胞核オーバロードとは、筋肉をつけたい部位を約1ヶ月間毎日トレーニングすることで、爆速で筋肥大させることができるといわれているトレーニング法です。ステロイド剤使用と同じ効果を得られるともいわれており、細胞核オーバロードについて気になっている人も多いでしょう。

しかし、毎日同じ筋肉をトレーニングするということは疲労も蓄積してしまったり、怪我をしてしまったりする恐れがあります。では、初めに細胞核オーバーロードとは、どんな仕組みや効果があるのか解説していきます。

(筋肥大については以下の記事も参考にしてみてください)

細胞核オーバーロードの仕組み・効果

細胞核オーバーロードがどんな仕組みでどんな効果が得られるのでしょうか。筋肥大、マッスルメモリーの仕組みや効果、細胞核オーバーロードは嘘と言われる原因についても解説します。

筋肥大の仕組み・効果

細胞核オーバーロードの一番大きな効果は、筋肥大です。一ヵ所の筋肉を鍛えることによって筋線維が傷つきます。その後、一定の期間休息をとることで筋線維が修復・増殖され、再度また同じ筋肉を鍛えると以前より筋肥大するという仕組みです。

筋線維には細胞核と呼ばれる核が存在し、細胞の働きを支持する司令塔のような存在です。筋肥大を起こすには筋細胞を太くする必要がありますが、太くなるように命令を出しているのが細胞核です。細胞核には、複数の種類が存在し、細胞核の周りには衛星細胞(サテライト細胞) という細胞があります。

日本医療研究開発機構の研究結果によると、この衛星細胞は何もしないと休止している細胞ですが、トレーニングなどで筋線維が傷つけられたときに活性化され、増殖をします。その後、筋分化し筋線維がもともとある筋線維と融合することにより、筋肥大を起こすという理論です。

成熟した骨格筋では、サテライト細胞は通常、休止期の状態で存在しています。筋損傷等の刺激が入るとサテライト細胞は速やかに活性化し、増殖を繰り返します。その後、筋分化し、既存の筋線維あるいは互いに融合することで筋線維を再生します。すなわち、損傷後、筋線維が再生されるまでには、サテライト細胞の活性化、増殖、筋分化という3つのステップが必要になります。

引用元:https://www.amed.go.jp/news/release_20200904-01.html

マッスルメモリーの仕組み・効果

一度鍛えた筋肉でも長時間筋トレをしなければ、その筋肉はしぼんでしまいます。しかし、また筋トレを再開すると、短い期間で筋肉を元通りに戻すことができます。これが、マッスルメモリーです。一度筋肥大した筋線維の細胞核は細くなることはありますが、減少しないという特性があります。

一度筋肉が衰えてしまっても細胞核は減らないため、再度筋トレを始めれば細胞核が太くなり、筋肥大を起きるという理論です。始めに筋肥大を行ったときと違って、細胞核を作る休養期がないため、早く筋肥大を引き起こすことができるでしょう。

2018年に「マッスルメモリー」について論文が発表されており、7週間ごとに、筋トレ期、休養期、筋トレ期と区切って実験を行い、最初の筋トレ期よりも休養後の筋トレ期の7週間の間のほうが、倍以上の筋肉量が増えたという結果も出ています。

(マッスルメモリーについては以下の記事も参考にしてみてください)

細胞核オーバーロードが嘘といわれる理由

細胞核オーバーロードの検索候補に「嘘」というワードがヒットします。なぜ、細胞核オーバーロードが嘘といわれているのでしょうか。その要因は、細胞核オーバーロードには個人差があることです。同じ筋トレでも、最適な重量や回数、食事の質などで効果が変わってきます。人それぞれさまざまな特性があるので個人差があって当然なのです。

さらに、細胞核オーバーロードは細胞核を増やすことが筋肥大に繋がります。しかし、東京都健康長寿医療センター研究所の情報によると、衛星細胞(サテライト細胞)は年齢を重ねると数が減っていくといいます。そのため、年齢が高齢なほど細胞核オーバーロードの効果を感じにくくなるため「嘘」といわれる要因となったのです。

筋線維の周囲に存在する筋衛星細胞と呼ばれる細胞で、筋線維が壊れると爆発的に増え、分化・融合して筋線維を再生します(図3)。このように骨格筋は優れた再生能力を有していますが、残念ながら加齢と共にその能力は低下します。

引用元:https://www.tmghig.jp/research/topics/201709/

細胞核オーバーロードのやり方

細胞核オーバーロード、マッスルメモリーの仕組みや効果について理解できたでしょうか。ここからは、実際に細胞核オーバーロードのやり方について紹介します。手順は以下の通りです。

①1ヶ月同じ部位を毎日筋トレを行う
②1~2週間休養する
③①と同じ部位を再度毎日筋トレを行う

では、「①1ヶ月同じ部位を毎日筋トレを行う」から順にチェックしていきましょう。

1ヶ月同じ部位を毎日筋トレを行う

筋肥大させたい箇所を1ヶ月間休まず毎日筋トレを行います。トレーニング種目は2種目までにし、高重量と低重量を切り替えたトレーニングを行うようにすることがポイントです。例えば、週1~2回は高重量で10回1セット、週5~6回は低重量で20回6~10セットなど、安全には十分注意して行うようにしましょう。

毎日高重量のトレーニングを行うと、怪我をしてしまうリスクがあります。高重量のトレーニングは、極力少なくして自分の身体と相談して行うことが大切です。細胞核オーバーロード期間中は、タンパク質など身体に必要な栄養をしっかり摂るように心がけましょう。

1~2週間休養する

1ヶ月間トレーニング行った後は、1~2週間傷ついた筋線維十分に休ませましょう。この期間で、筋肉は休息状態になり、トレーニング再開するころに筋肥大を促します。休息期も、タンパク質を多めにとった食生活を心がけるとよいでしょう。

(筋トレ休養日に過ごし方については以下の記事も参考にしてみてください)

①と同じ部位を再度毎日筋トレを行う

きちんと休息をとった後は、再度①と同じ部位を毎日筋トレを行いましょう。①の工程で、損傷した筋細胞は修復され、筋トレを再開することでより大きな筋肉へと成長し、筋肥大に繋がります。ただし、細胞核オーバーロードは、正しいトレーニングを理解していないと怪我の恐れがあるため、トレーニング経験が少ない初心者にはおすすめできません。

細胞核オーバーロードの効果を実感した人の体験談

ここからは、細胞核オーバーロードを実際に行い、効果を感じた人の体験談を紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

肩の筋肉が丸みを帯びてきた



こちらの方は細胞核オーバーロードを行い、肩の筋肉が増えて丸みを帯びてきたと語っています。細胞核オーバーロードを実践するには、ある程度の筋トレ経験と、知識が必要です。初心者は、怪我などの原因になるのでやめておくのが無難でしょう。

変化を感じた



この方の口コミでは、細胞核オーバーロードを始めてから、血管が浮き出るようになったり、筋トレの動作が上手くなったりと効果を感じています。筋トレを長い間行っていると、あまり効果が見えにくくなり、停滞期を感じる方も多いでしょう。そういう場合に、細胞核オーバーロードを取り入れてみるのもよいのではないでしょうか。

(筋トレの効果については以下の記事も参考にしてみてください)

女性でも効果が



女性でも細胞核オーバーロードを取り入れている方がいました。しっかり腕回りの筋肉のラインが出ており、とてもいい筋肉です。細胞核オーバーロードを行う部位は、肩や上腕二頭筋、三頭筋、大胸筋などが人気。苦手部位を行うのがよいとされています。

過去最大の手ごたえ



この方は細胞核オーバーロードを行い、過去最大の手ごたえを感じていました。見るからに筋肥大した上腕二頭筋上腕三頭筋が努力を物語っています。腕や肩周りの筋肉を筋肥大させるには、腕立て伏せやダンベルなどを使用して筋トレを行うとよいでしょう。

以前の腕立ての効果が



この方はマッスルメモリーの原理を感じており、時間が空いても胸の発達の速さを感じています。逆を言えば、すぐに筋肥大してしまうので、筋トレ量を調整するということも必要になってくるでしょう。

細胞核オーバーロードに対しての著名人の意見

ボディビルダーの山岸秀匡と山本義徳が、細胞核オーバーロードについてYouTubeで言及していました。細胞核オーバーロードについても、さまざまな意見があるのでぜひ参考にしてみてください。

山本義徳の意見

山本義徳はこちらの動画で、細胞核オーバーロードについて詳しく解説しているので、ぜひチェックしてみてください。山本義徳が細胞核オーバーロードについてどのような考えを持っているのかまとめると以下の通りです。

・若い人は効果があるかもしれない
・年齢が高い人にはそんなに効果は期待できない
・弱点を強化したい部分を行う
・得意な部分はやらない

山本義徳は細胞核オーバーロードについて、衛星細胞(サテライト細胞)は年齢を重ねていくと数が減ってしまうと語っています。若い人には効果が期待できますが、年齢を重ねている人にはおすすめはしていません。もし細胞核オーバーロードをトレーニングに取り入れる際は、得意な部位を行うのではなく、苦手部位を克服するようなやり方がよいでしょう。

(山本義徳の筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)

山岸秀匡の意見

山岸秀匡は、細胞核オーバーロードのトレーニング法に近い、「エブリデイベンチプレス」というベンチプレス使った筋トレを毎日行っていた経験がありました。徐々に重量を伸ばしたトレーニングを行って筋肥大を実感し、個人的にはよいトレーニング方法だと語っています。

山岸秀匡も山本義徳と同じく、苦手部位を期間を決めて細胞核オーバーロードを行うのがよいという意見でした。1回1回追い込むトレーニングではなく、低重量の軽いトレーニングを週5回ほど行い、高重量の負荷がかかるトレーニングは週1~2回に収めるようにすることが望ましいでしょう。

細胞核オーバーロードは嘘とまでは言い切れないが、おすすめしない

細胞核オーバーロードは年齢や筋トレの強度にも個人差があり、おすすめはしません。初心者は、とくに怪我の原因となり兼ねないため、避けるのが無難でしょう。中級者~上級者でも身体に負担をかけることは変わりません。きちんとやり方やリスクを理解してから行うようにしましょう。