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ボディビルダーの減量方法!食事・筋トレ〜ダイエットとの違いまで!

2021年05月13日

ボディビルダーと一般人の減量時の食事や筋トレは異なります。ボディビルダーがどのように減量をしているのか気になる方もいるのではないでしょうか。そこで、減量時のトレーニング方法や期間、炭水化物などのPFCバランス、カロリーの計算方法を紹介します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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ボディビルダーと一般人の減量方法は異なる?

ボディビルダーと一般人の減量方法にはもちろん違いがあります。一般人の方は減量をする場合「美容や健康のためにダイエットとして体重を落とす」という目的です。しかし、ボディビルダーの減量はコンテストに向けた仕上げとして体重を落とします。そのため、減量といってもボディビルダーと一般人では目的も少し違うのです。

ボディビルダーが減量をするときは脂肪を落とすことがメインなので、一般人のダイエット中よりかなり食事内容を厳しく制限します。また、食事で摂取する栄養素も細かく考えているのです。次にボディビルダーが減量中に意識している点を詳しく解説するので参考にしてみてください。

ボディビルダーが減量をする際に意識している点

一般人のダイエットとは違い、ボディビルダーは減量中に意識している点が多数あります。ボディビルダーが意識するポイントを詳しく解説するので違いを知りましょう。

筋肉量を残すこと

ボディビルダーが減量中に一番意識することは筋肉量をきちんと残すことです。ボディビルダーはコンテスト時の筋肉量が勝負となるので、減量して筋肉量が減ってしまっては意味がありません。筋トレメニューや食事内容を考えるときは、第一に筋肉量を残すことを意識しています。

体脂肪を減らすこと

ボディビルダーは先ほど紹介したように減量中には筋肉量は維持しますが、体脂肪を減らすように意識します。体脂肪を多く減らして筋肉を目立たせるためにボディビルダーがしているのは以下の方法です。

・食事制限
・筋トレ
・有酸素運動

主にこの3つの方法で体脂肪を燃焼させるようにしています。詳しい方法については後ほど紹介するので参考にしてください。

減量をする期間は?

筋肉量をきちんと残すためにも、ボディビルダーたちは減量のペースに注意するのです。ペースに気を付けながら減量をすることで、失われる筋肉量を最小限に抑えられるということが研究によってわかっています。減量ペースを緩やかにするほど筋肉量の減少が抑えられるため、一気に何キロも落とすのではなく週あたり体重×0.5%を減らすようにしているのです。

プロのボディビルダーは減量期間を2~5ヶ月と長めに設定。減量期間を短くしすぎるとコンテスト前で焦って減量を行い、筋肉量を減らしてしまうという可能性もあります。そのため、余裕をもって減量を成功させるためにも、ボディビルダーは減量期間を長めに設定するのです。

ボディビルダーの減量期の食事について

それでは次にボディビルダーの減量期の食事について紹介します。減量期にボディビルダーはどんな食事をしているのかチェックしてみましょう。

タンパク質の摂取量

ボディビルダーは減量中にPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)を意識しています。まずはタンパク質の摂取量について見てみましょう。ボディビルダーの減量期の一日あたりのタンパク質摂取量は、除脂肪体重の2.3~3.1倍です。

除脂肪体重(Lean Body Mass;LBM)は、体重において、体脂肪以外の、筋肉や骨、内臓などの総重量のことです。

引用元:https://www.dhc.co.jp/faq/faq923.jsp

DHCのサイトにあるように除脂肪体重とは体脂肪以外の筋肉・骨・内蔵などの重量であり、体重-(体重×体脂肪率)で求められます。例えば、除脂肪体重が80kgの場合、80kg×2.3~3.1となるため、減量期に摂取する一日あたりのタンパク質は184~248gです。

このタンパク質量を摂取することで、筋肉量を減らさずに減量を成功させることができます。ちなみに、タンパク質は1gあたり4kcalです。そのため、タンパク質184~248gの場合、736~992kcalとなります。

(マックスグリルの減量レシピについては以下の記事も参考にしてみてください)

脂質の摂取量

次にPFCバランスの1つである脂質について解説します。ボディビルダーの減量期に必要な一日あたりの脂質量は、総摂取カロリーの15%です。例えば減量期の総摂取カロリーが2,000kcalの場合、脂質量の目安は2,000kcal×0.15となります。そのため、一日あたりに必要な脂質は300kcalです。

筋肉量を維持したりトレーニングパフォーマンスしたりするためには、タンパク質や炭水化物が重視されます。しかし、筋肉合成を促すアナボリックホルモンに大きな影響を与える脂質も重要な栄養素です。

炭水化物の摂取量

PFCバランス3つ目の炭水化物について解説します。ボディビルダーが減量中に摂取する炭水化物の量は、総摂取カロリーからタンパク質と脂質の分を抜いたカロリー分です。総摂取カロリーが2,000kcalでタンパク質摂取量が736kcal、脂質300kcalの場合を見てみましょう。

2,000kcal-(736kcal+300kcal)となるので、一日に摂取する炭水化物は945kcalです。また、炭水化物は1gあたり4kcalなので、945kcalは236.25gとなります。

摂取カロリーを減らす

減量中はトレーニング強度やパフォーマンスが低下しやすいため、摂取カロリーの調整は奥の手です。ボディビルダーは大会の1~2ヶ月前になったとき、理想通りに減量が進んでいなかったら減量開始時の食事メニューよりさらに摂取カロリーを減らします。カロリーを減らすためには、炭水化物の量を減らすというイメージのある方もいるのではないでしょうか。

一般人のダイエットとは違い、基本的にボディビルダーは炭水化物を減らすことはしません。炭水化物は筋トレ強度を上げ、筋肉量の減少を最小限に抑えるという役割があります。また、筋肉のダメージを修復する役割もあるため、炭水化物はできるだけ摂取するようしているのです。

トレーニング時に体内でエネルギーとして使われているのが炭水化物(糖質)です。運動強度が高くなればなるほど、体内で使われる炭水化物(糖質)の比率は上がります。

引用元:https://cp.glico.jp/powerpro/training/entry32/

江崎グリコのサイトに表記されているように、トレーニング中に炭水化物はエネルギーとして使われています。そのため、摂取カロリーを減らしてボディビルダーのように強度な筋トレをしていれば、炭水化物を摂取しても太ることはありません。

2週間前は追い込み期間

ボディビルダーにとって大会の2週間前は、最後の追い込み期間となります。先ほどは大会1~2ヶ月前で摂取カロリーを調整しても、炭水化物は食べると紹介しました。しかし、大会2週間前で目標の体脂肪率に届いていない場合や追い込みをしたい場合、この時期からカーボローディングとして炭水化物の摂取量をかなり減らします。

また、摂取カロリーは基礎代謝量と同じくらいまで下げます。しかし、このときはタンパク質と脂質の量はきちんと摂取することが重要です。この追い込みをするかしないかでは大会でのコンディションがかなり変わります。ちなみに、大会2週間前で目標の体脂肪率に届いている場合は、炭水化物の摂取量を減らす必要はあまりありません。

サプリの摂取

人によって異なりますが、多くのボディビルダーが減量中に飲んでいるサプリは以下の通りです。

・クレアチンモノハイドレート
・ベータアラニン
・HMB
・BCAA
・シトルリンマレート
・カフェイン

クレアチンモノハイドレートは一般人は聞き慣れませんが、筋肉量の増加に効果的だとボディビルダーから人気のあるサプリです。ベータアラニンも最近ボディビルダー界で話題になっているサプリであり、疲労回復に効果的でトレーニングパフォーマンス向上を狙えます。

HMBには筋肥大・筋分解の制御・筋力アップ・体脂肪量減少の効果があり、BCAAでは体内で生成できない3種の必須アミノ酸を摂取することができます。シトリンマレートとは最近ボディビルダーから人気が高まりつつあるサプリです。筋肉への血流が増えてパンプ感のアップと筋タンパク質合成に必要な栄養素が素早く運搬されるといった効果があります。

また、カフェインは長年ボディビルダーが愛用するサプリです。興奮作用があるため、集中力を上げてパフォーマンス向上を狙えます。また、非常に安価で手に入るサプリなので、カフェインは多くのボディビルダーが摂取しています。

(筋トレ中のサプリについては以下の記事も参考にしてみてください)

プロテインの摂取

もちろん減量中にもプロテインを飲んでいるボディビルダーもいますが、最近ではプロテインを飲まないようにしている方もいます。減量中にはプロテインでタンパク質を摂取するのではなく、食事で摂取しているという方は少なくありません。分子の単位が大きなプロテインは、消化酵素が多く必要になります。

そのため、使用する消化酵素を抑えるためにも、プロテインを飲まないという方もいるのです。また、鶏肉の方が腹持ちがいいため、減量に向いているといったメリットもあります。

(山本義徳のプロテインについては以下の記事も参考にしてみてください)

ボディビルダーの減量期のトレーニングについて

減量期のボディビルダーはただトレーニングをしているだけではありません。減量期のトレーニングとしてどんなことをしているのか確認しましょう。

消費カロリーを多くする

ボディビルダーは減量期にはいると、体重は何キロか落ちて体脂肪率は一桁台になります。しかし、体脂肪率が一桁台になると、代謝アダプテーションにより体重の減りが悪くなってしまうのです。

生命は環境に応じてダイナミックに代謝を調整し、恒常性を維持している。糖尿病を含むメタボリックシンドローム、がん、炎症性疾患などの疾患や薬剤耐性などの病理的現象で見られる特有の代謝状態は、それぞれの環境変化に対して、生体が代謝を調整してアダプテーションした結果(代謝アダプテーション)である

引用元:https://www.mext.go.jp/component/a_menu/science/detail/__icsFiles/afieldfile/2018/04/25/1403801_10.pdf

ちなみに、代謝アダプテーションとは東京大学の教授である黒田真也の研究結果にあるように、恒常性を維持するために生体が環境変化に対して代謝を調整した結果のことです。代謝アダプテーションによって体重が減らなくなるため、ボディビルダーは消費カロリーを多くします。もちろん、摂取カロリーを減らせば体重減少に効果的です。

しかし、次のステップに進むためにはさらに摂取カロリーを減らさなければいけません。このような負の連鎖に陥らないためにも、体脂肪率が一桁に入ったり大会2~3ヶ月前にはトレーニングの強度や頻度をアップさせて消費カロリーを多くするのです。例えば、週5日筋トレをしていた場合は週6日に増やします。

普段よりトレーニングにかける時間を増やすことで、摂取カロリーを減らさず消費カロリーを増やすことができるのです。また、基本的に多くのボディビルダーは追い込み期間になると、ほぼ毎日トレーニングをしています。

自重トレーニングメイン

ボディビルダーが減量中に行うトレーニングは自重トレーニングがメインです。食事メニューを制限しながらマシンを使ったトレーニングをすると、身体にかかる負荷が大きく続けにくさがあります。そのため、基本的に減量中には自重トレーニングをメインにして行っているのです。特に下半身の自重トレーニングは基礎代謝アップが狙えるので人気があります。

(自重トレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)

有酸素運動は必要であれば

ボディビルダーといえば主にマシンを使った筋トレや自重トレーニングをしているイメージがありますが、減量中には有酸素運動を取り入れている方もいます。筋トレだけではなかなかうまく脂肪燃焼効果を狙うことはできません。しかし、筋トレに有酸素運動をプラスすることで、筋肉を落とさずに脂肪を燃焼させることができるのです。

しかし、中には有酸素運動は減量中には必要ないというボディビルダーもいます。有酸素運動をメニューにプラスするなら、他のトレーニングの強度を上げたり頻度を増やしたほうが減量に効果的だという方もいるのです。有酸素運動を取り入れるか取り入れないかは、ボディビルダーの考え方やトレーニングの仕方で変わります。

(筋トレ×有酸素運動については以下の記事も参考にしてみてください)

有名ボディビルダーの減量期エピソード

減量中のトレーニングや食事について解説しましたが、ここからは有名ボディビルダーの減量期エピソードを紹介します。ボディービルダーのエピソードが気になる方はチェックしてみてください。

幻覚が見えた(ドリアンイェーツ)

イギリスのボディビルダーであるドリアンイェーツ。ストイックに取り組む彼は、減量期には幻覚が見えたと語っています。ストイックすぎる食事制限や筋トレメニューにより、幻覚が見えるほど肉体的にも精神的にも自身を追い込んでいたのではないいでしょうか。

(ドリアンイェーツについては以下の記事も参考にしてみてください)

ロードバイクで脂肪燃焼(須藤孝三)

ボディビルダーにはジムでトレーニングをする方が多くいますが、須藤孝三は2時間のロードバイクで脚を鍛えていました。彼がロードバイクをトレーニングメニューに取り入れていた理由は、減量中の脂肪燃焼に効果的だからです。また、ストレス発散になることや、筋肉の密度を濃くできるメリットがあると須藤孝三は語っています。

(須藤孝三については以下の記事も参考にしてみてください)

PFCバランスを意識(鈴木雅)

鈴木雅は減量をするときは、先ほど紹介したPFCバランスを意識していました。PFCバランスを軸にして何を食べるべきかを考えます。さらに、自分に合っているものと合わないものを知ることを大切にしていました。炭水化物を摂るときは玄米がいいという方もいますが、鈴木雅の場合は白米やオートミールが合っていると感じたとのことです。

(鈴木雅については以下の記事も参考にしてみてください)

料理店の匂いが誘惑(相馬貴子)

女性ボディビルダーの相馬貴子は、減量中になると彼女の場合嗅覚が発達するようになったと語っています。料理店が並ぶ街並みに行くと、匂いが誘惑となりラーメン屋の前にある椅子に座りかけたことがあったとのことです。

ストイックすぎる減量で餓死(マッスル北村)

ボディビル界のレジェンドとして現在も語り継がれているマッスル北村。彼は2000年行われた世界選手権に出場するため、過度な糖質制限や脂質をカットした食事メニューを続けていました。ストイックすぎる減量を行った結果、マッスル北村は脂肪を落としすぎたことによる低血糖で急性心不全を起こして亡くなったのです。

これは栄養失調による事実上の餓死と言われています。亡くなったマッスル北村の身体にはゴリゴリの筋肉がついていましたが、糖質や脂質を摂取できない食事メニューを続けていたため肉体は耐え切れませんでした。

(マッスル北村については以下の記事も参考にしてみてください)

ボディビルダーと一般人の減量方法が異なるという点を理解しておこう

ボディビルダーの減量は一般人のダイエットとはかなり違います。そのため、ダイエットだからといってボディビルダーの減量方法を真似しないようにしましょう。ボディビルダーの減量を真似すると体調を崩す恐れがあるので、自分に合ったダイエットを行ってください。