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【プライオメトリックトレーニング】短期間で瞬発力がつくメニュー&やり方を解説!

2020年08月31日

瞬発力向上!で話題のプライオメトリックトレーニングとは?今回は、プライオメトリックトレーニングの効果やジムでもジムじゃなくてもできるメニューのコツ&注意点から、スポーツや日々の生活への影響をバネのある身体を目指すあなたへご紹介していきます!

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
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プライオメトリックトレーニングとは?

プライオメトリックトレーニングとは、最短時間で、最大努力の力を発生させる能力を強化するトレーニングのことを言い、端的に言うと瞬発力を鍛えるトレーニングです。アスリートの多くがこのトレーニングを取り入れ、競技をパフォーマンス改善するためのトレーニングとして知られています。

プライオメトリックトレーニングは、素早く伸張された筋肉や腱がその反動による弾性エネルギーや筋紡錘による伸張反射作用によりより大きいパワーをもって収縮する「ストレッチショートニングサイクル」いわゆる「バネ」を利用したトレーニングで、ジャンプ力やダッシュ力などの瞬発力に効果があるトレーニングです。

プライオメトリックトレーニングの効果

プライオメトリックトレーニングを行うことにより得ることができる効果として、ただ瞬発力が向上するということだけではありません。瞬発力が向上するという過程には、様々な要素を組み合わせることで成り立ち、さらに瞬発力の向上に関連する様々な要素も副産物的に能力が向上していきます。

ここでは、プライオメトリックトレーニングによる瞬発力の向上と共に、瞬発力の向上以外の副産物的効果をご紹介していきます。

瞬発力の向上

プライオメトリックトレーニングの効果としてまずは、瞬発力の向上です。ここで言う瞬発力とは、何かに反応する速さの「反応速度」と反応してからの力発揮の強度の「反応強度」を合わせた力を言います。反応速度は、トレーニングを行ってもさほど向上しないということが多いですが、反応強度はトレーニングによって筋活動の反応の強さが変化していきます。

ストレッチショートニングサイクルの強化

瞬発力に大きく関わる人間の筋肉の機能として、ストレッチショートニングサイクル(SSC)というバネのような反射運動があります。SSCは、筋肉が引っ張られた時に縮もうとする運動のことを言い、走るときのふくらはぎからアキレス腱にかけてのSSCが有名です。

SSCのトレーニングをすることにより、反応してから筋の伸張速度が速くなり、筋はより長く伸張します。より長く伸張することでより強い求心性収縮を産むことができ、反応強度が強くなるというメカニズムです。バネをより長く引っ張たことにより、より強く縮まるような感覚です。

プライオメトリックトレーニングはこの筋の伸張速度を向上する効果を得ることが出来るため瞬発力が向上します。

反動を利用した身体連動の向上

プライオメトリックトレーニングによる効果として反動を利用した身体の連動性が向上します。パワー発揮するにあたって重要な点として上半身と下半身の連動性があります。人間が運動をするときは、地面反力からの反動により下半身から産み出されたエネルギーを弱めることなく上半身へとスムーズに連動してジャンプしたりなどのパワーを発揮します。

ここで問題になるのが産み出されたエネルギーをいかに弱めることなく力を伝えるかです。プライオメトリックトレーニングは連動性を養うトレーニングでもあるため、反動を利用したスムーズな連動は、例えばサッカーのシュートなどの動作も、より大きなパワーを産み出せるようになります。

ダッシュ&ジャンプ力のような競技パフォーマンスの向上

競技パフォーマンスの向上に大きく関わる要素としてパワー発揮の大きさがあります。パワーをより大きくするにはどうすることが一番効果的か?という問いがあったとすると、多くの人がウエイトトレーニング等の重いウエイトを持ち上げるようなレジスタンストレーニングを思い浮かべるのではないでしょうか。

競技力向上のための答えとしては間違いです。パワーとは、力×速さのことを言い、力があっても速さがなければパワーは向上しないのです。もちろんウエイトトレーニングのようなレジスタンストレーニングも重要ですが、レジスタンストレーニングで獲得した筋力をパワーに変換するトレーニング、つまりプライオメトリックトレーニングが必要です。

ある研究の論文では、ウエイトトレーニングとプライオメトリックトレーニングを組み合わせたトレーニングにおいて、より効率的なパワー発揮がなされたという結果があるように両システムを合わせることにより、シナジー的に競技パフォーマンスはより向上します。

瞬発系のウエイトトレーニングの効率向上

プライオメトリックトレーニングの効果として、瞬発力を要するウエイトトレーニングがさらに効率的になります。

ウエイトトレーニングにもクリーンやベント・オーバー・ローなど瞬発力が必要になるトレーニングが多くあります。これらのトレーニングはより早く動くことでトレーニング効率が増加するため、プライオメトリックトレーニングを行うことによってよりトレーニング効率を向上させることが出来ます。

有酸素運動がより長く行える

有酸素運動、主にランニングにもトレーニング効果が表れるようになり、今までよりも長距離、長時間運動をすることが出来るようになります。

ランニング動作は、上記で説明したSSCの繰り返しにより前進するエネルギーを生み出し、SSCが強化されることによりランニング動作の効率が向上します。プライオメトリックトレーニングはSSCの強化をできるトレーニングでもあるのでより楽にランニングすることができるようになります。

さらに、プライオメトリックトレーニングは、全身を連動させるトレーニングでもあります。有酸素運動を下半身だけで行っていたのが、トレーニング後は上半身との連動が取れた動きや地面からの反動をより感じることが出来るようになるでしょう。それにより無駄な筋肉の消費を防ぎ、より継続して運動を行えるようになります。

プライオメトリックトレーニングのメニュー一覧

ここからは、ジャンプ力、ダッシュ力のような爆発的なパワー発揮を向上させるプライオメトリックトレーニングのジムでできるメニューやジムでなくてもできるメニューを6種類ご紹介していきます。

ボックスジャンプ

ボックスジャンプは足からお尻にかけての爆発的動作を行うトレーニングです。

▼ボックスジャンプのやり方
①自分に合った高さの箱を用意します。
②箱に正対して構えます。
③パワーポジションまで腰を落とします。
④腕の反動と地面の反動を使いジャンプ。
⑤両足で箱に着地します。

簡単そうに見えるトレーニングでつい多くの回数をこなしてしまいがちですが、疲労した状態でのトレーニングは、より良い効果を生まないため、多くても、1日に5回程度で、間にしっかりとした休息をとりながら1回のジャンプに集中して行ってください。

▼ボックスジャンプのコツ&注意点
・恐怖心がある中では行わない。
・腕の反動を忘れない。
・膝を胸に引き付ける。
・お尻で飛ぶ。

このトレーニングはジャンプ力を鍛えるだけでなくダッシュ力や地面からの反動や上半身との連動も養うことができるため、スポーツのパフォーマンスの向上に直結するトレーニングです。このトレーニングをジムで行う場合、ジムによってはジャンプ用の箱があるジムもありますが、箱がないジムやそもそも禁止のジムもあるかもしれないので注意してください。

デプスジャンプ

このトレーニングは、着地後すぐにジャンプすることにより、よりバネを意識でき、地面からの反動のエネルギーを余さず身体に伝えジャンプするトレーニングです。

▼デプスジャンプのやり方
①高さ30センチほどの箱を用意します。
(椅子でも大丈夫!)
②箱の上から降下し、両足で着地します。
③着地後できるだけ素早く、高くジャンプします。

回数を多くこなす必要はなく、感覚を掴むことが重要です。5回を2日に1回程度行います。感覚をつかんだらその感覚を忘れないように週1回や完全につかんだら月1回程度でも効果があります。

▼デプスジャンプのコツ&注意点
・初心者の方は30センチ以下の台から。
・着地後は身体が止まらないようにジャンプ。
・着地から垂直にジャンプが効果的。
・体幹を固める。
・腕の反動も忘れないように使いましょう。

初心者の方にはかなり強度が高いトレーニングです。トレーニング前はストレッチや準備運動を心がけ、低めの台から始めてみてください。

バウンディング

プライオメトリックトレーニングメニュー3つ目は、バウンディングです。

このトレーニングも地面からの反動を感じて、バネを使ったダッシュ力向上に効果的なトレーニングです。

▼バウンディングのやり方
①普通に走って助走をつけます。
②助走がついてら歩幅を極端に広げます。
③跳ねるように走ります。
④全力で10歩程度飛ぶように走ります。

3~5セットを目安に3日に1回の頻度で行います。

▼バウンディングコツ&注意点
・助走をしっかりとる。
・できるだけ長い滞空時間飛ぶ。
・前後に足を開く。
・地面からの反動とバネを感じながら行う。
・腕をしっかり振る。

陸上短距離の桐生選手もこのトレーニングをしてからタイムが縮まったことが有名です。ジュニア世代の方のバネを強化するトレーニングにもおすすめなのでぜひ取り入れてみてください。

ラテラルジャンプ

プライオメトリックトレーニングメニュー4つ目は、ラテラルジャンプです。

このトレーニングは、下半身の筋肉だけだけでなく、体幹部の筋肉も重要で、急な方向転換からのジャンプやダッシュなどの動きを養うトレーニングです。

▼ラテラルジャンプのやり方
①2メートル程度の間隔で印をつけます。
②印から印めがけて片足でジャンプします。

連続で交互に10報復程度を2~3セットを目安に行います。

▼ラテラルジャンプのコツ&注意点
・腕と地面の反動を意識し身体のバネ利用する。
・体幹を固めて着地。
・リズムよく行う。

着地の時膝とつま先が正面を向くように意識して行わないと大きなけがに繋がってしまうかも知れないので注意してください。場所を選ばずどこでもできる種目なので、ジムのどの室内など足元が滑らないところで気楽に行ってみてください。

チェストパス

このトレーニングは、上半身を主に用いたトレーニングです。ダッシュやジャンプなど下半身のメニューが多いですが器具を使うことによって上半身のトレーニングを行うことが出来ます。

▼チェストパスのやり方
①2人組で片膝を立てた状態で構えます。
②胸からまっすぐ肘を伸ばしてボールを投げます。
③ボールを受けたらすぐに相手に返します。

軽めのメディシンボールを用いて、10往復を2~3セット行います。

▼チェストパスのコツ&注意点
・受け取ってすぐ相手に返すことで効果的です。
・体幹部の筋肉も意識する。

動画では、膝立ちの状態からの動作ですが、立った状態から助走をつけてからチェストパスす方法もあり、この方法では、下半身からのエネルギーを上半身に伝える動作をできるのでおすすめです。広い場所が取れる場合はぜひやってみてください。

バックスロー

このトレーニングは、最も効果的なプライオメトリックトレーニングメニューの1つで、地面からの反動により下半身のバネの筋肉から産み出されたエネルギーを上半身の筋肉に連動させボールに力を加えてより遠くに飛ばします。

▼バックスローのやり方
①メディシンボールを両手で持ちます。
②パワーポジションで構えます。
③1回小さいジャンプした反動を利用します。
④2度目のジャンプでボールを背後に投げます。

この8~15回程度繰り返し、3日に1度の頻度を目安に行ってみてください。

▼バックスローのコツ&注意点
・投げる前に1度ジャンプして反動を利用する。
・腰はそり過ぎないようにして投げる。
・後方斜め上をめがけて投げる。
・45度以上が目安。

バックスローではなく、バーティカルスローと言って自分の真上垂直方向に向かって投げる方法もあります。腰に不安のある方は、バーティカルスローのほうが良いかもしれません。ぜひ試してみてください。

プライオメトリックトレーニングのコツ&注意点

ここからは、プライオメトリックトレーニングを行うにあたってのトレーニング効果向上のコツやジャンプやダッシュなど反動から身体のバネを繰り返し利用することによる怪我リスクなどに対する注意すべき点をご紹介していきます。

全力以外のトレーニングはやっても意味がない!?

プライオメトリックトレーニングのコツ&注意点の1つ目は、最大努力下の運動を意識することです。筋肉には、収縮する力が弱く速度も遅い主に有酸素運動などを行う筋肉である遅筋と収縮する力が強く速度も速い主にジャンプやダッシュするときに使われる筋肉である速筋の2つに分類することが出来ます。

プライオメトリックトレーニングは、2つの筋肉のうちの速筋を鍛えるトレーニングですが、人間が運動するときは遅筋から筋肉が動員され、より強い力が必要な時速筋が動員される仕組みになっています。そのため、最大努力下での運動でないと速筋ではなく遅筋のトレーニングになってしまい目的の効果を得られなくなってしまいます。

プライオメトリックトレーニングを行うときは、全力で爆発的な運動を意識して行うことにより、より効果的なトレーニングを行うことが出来ます。

適切な負荷が重要

プライオメトリックトレーニングは、より重い重量を動かすことではなく、いかに力を逃がさず素早く動くかが重要です。そのため、自分に見合わないウエイトや、必要以上の段からの降下は怪我の危険性が増加してしまいます。まずは、基本的な動作を習得し、漸進的に負荷をかけていくことに重点を置く必要があります。

土台となる筋肉が必要

プライオメトリックトレーニングは、重量を加えた状態でのダッシュやジャンプといったメニューもありますが、基本的な筋力がない段階の初心者の方にとっては、危険なトレーニングになってしまいます。身体のバネを利用するため、バネの強度がない状態で強く引っ張ったら切れてしまうように、筋肉が切れてしまいます。

ですが、プライオメトリックトレーニングはウエイト無しでのトレーニングが可能なため、まずは、自重でのトレーニングから初めて、フォームの確認をして身体のバネを感じるというところから動きへの慣れを獲得していきましょう。

レジスタンストレーニングとの組み合わせが最強

パワーとは、力(筋力)×スピードで得ることができるため、筋力とスピードのトレーニングが必要です。言い換えると、筋力とスピードの2つのトレーニングを組み合わせることによってパワーは掛け算式に向上していきます。つまり、筋肥大を目的としたトレーニングだけでは大きいパワーを産み出すことはできません。

筋力を向上させるトレーニングのレジスタンストレーニングとレジスタンストレーニングで得た筋力をスピードに変換させるトレーニングであるプライオメトリックトレーニングを組み合わせることによってパワーをより向上させることが出来ます。

(瞬発力向上におすすめのジャンピングスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)

普段のウエイトトレーニングを工夫したトレーニングで

普段行っているウエイトトレーニングの重量を軽くして、素早く動かすトレーニングを取り入れるということも有効です。

プライオメトリックトレーニングはダッシュやジャンプなど地面の反動を利用したトレーニングのイメージが強いですが、普段行っているウエイトトレーニングの動作を負荷を軽くして、素早く動かすというトレーニングもあります。

ウエイトトレーニングにより、重い重量を動かすことにより、遅い動きで動くという情報が身体にしみついてしまいます。そこで、軽い負荷で素早く動かすという動きを取り入れることによって、身体にしみついた誤った情報を正し、それなりの負荷でも素早く動かすことが出来ると脳に教えてあげることが出来ます。

やりすぎ厳禁!

プライオメトリックトレーニングは身体のバネを利用した非常に負荷の強いトレーニングの1つです。もしあなたが競技の練習をしていて、プラスでプライオメトリックトレーニングをするとします。ですがほとんどの競技の場合競技の練習自体がプライオメトリックトレーニングになっています。

例えば、競技の練習として野球をしているとすると、投球やバッティングなどほとんどの動きがプライオメトリックな動作です。そのため、競技をしている方は、その日の競技の練習を考慮したプライオメトリックトレーニングをする必要があります。

加えて、ウエイトトレーニングを毎日行うとトレーニング効果が失われてしまうように、プライオメトリックトレーニングも同様、疲労している状態でのトレーニングは効果が減少するのではなく、トレーニング効果がないと言っていいほどです。そのため、自分の状態やトレーニング計画をよく練って適切な頻度で行うことが重要です。

はじめはトレーナーに聞くのもあり

専門的な指導者に指導を仰ぐことが効果を向上させるための近道となります。専門知識がないうちでの正しいトレーニングフォームへの動きの修正や適正な負荷は、自分だけではわからないこともあると思います。

そこで、ジムのトレーナーの方にフォームや負荷の相談をしてみるという方法があります。ジムにいるトレーナーは専門的な知識を兼ね備えている人材です。もし、アドバイスをもらうことが可能であれば、自分では気づいていない動きの癖や必要な負荷量をアドバイスしてくれることでしょう。

プライオメトリックトレーニングで瞬発力を手に入れよう

プライオメトリックトレーニングを行うことで鍛えられ、より強い筋肉とバネのある瞬発力を獲得した身体は、今までよりもできることがより多くなります。日々の生活から競技スポーツまで様々な場面で活躍することができるでしょう。

今回挙げたトレーニングは、初心者の方から中級者の方向けとなっています。プロのアスリートの方のような上級者になるとジャンプ懸垂や、様々な動くを組み合わせた動きや、いきなりの方向転換を交えたトレーニングがあります。

ぜひ皆さんも可能な範囲で日々のトレーニングに取り入れてみてください。