ボディメイク

筋トレ

大腿筋膜張筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説

2020年04月22日

大腿筋膜張筋は太ももの付け根にある筋肉です。大腿筋膜張筋の主な役割は歩行を支援することですが、鍛えることにより太ももの引き締め効果、腰痛の改善やO脚の予防なども期待されます。ここでは大腿筋膜張筋の構造や作用、鍛え方のコツ、筋トレ&ストレッチを紹介します。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

大腿筋膜張筋の構造・作用

出典:http://internalreform.seesaa.net/article/434203467.html?1456439420

大腿筋膜張筋の筋トレやストレッチメニューを紹介する前に、まずは大腿筋膜張筋とはどんな筋肉でどんな役割を担っているのかをを知っておきましょう。

構造

大腿筋膜張筋は太ももの外側にある筋肉です。臀筋群(でんきんぐん)の一つで、臀筋はお尻にある大殿筋中殿筋・小臀筋と、腸骨につく大腿筋膜張筋で構成されています。

作用・役割

大腿筋膜張筋を含む臀筋群には股関節を動かす働きがありますが、大腿筋膜張筋の具体的な働きは股関節の屈曲、外転、内旋です。足を前に出したり、横に広げたりするときに作用し、足を内側にひねる動作にも関与しています。

また、大腿筋膜張筋は途中から腸脛靭帯(ちょうけいじんたい)に連なり、膝の屈曲と側方回転も支援します。簡単にいうと大腿筋膜張筋の主な役割は歩行を支援することです。

筋トレメニューからみたい方はこちら

大腿筋膜張筋の筋トレをするメリット

大腿筋膜張筋は、骨盤を形成する骨の一つである腸骨につき、股関節の動きに作用します。足を動かす際に働くほか、骨盤の安定にも関わる筋肉です。筋トレで鍛えたり、ストレッチでほぐしたりすることで腰を安定させ、腰痛を改善する効果も期待できます。

また、大腿筋膜張筋が硬くなって収縮してしまうと、骨が引っ張られて膝下部分のO脚になりやすくなってしまいます。大腿筋膜張筋をストレッチすることで太ももの引き締め効果だけでなく、O脚の予防効果も期待できるでしょう。

さらに、マラソンランナーなどに生じる膝の痛みのひとつ腸脛靭帯炎にも、大腿筋膜張筋と腸脛靭帯のストレッチが効果的とされています。

大腿筋膜張筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

大腿筋膜張筋に効果のある筋肉トレーニングと鍛え方のコツを紹介します。骨盤を屈曲させたり、外転させたりすることで大腿筋膜張筋は働きます。自重で行う負荷の軽いものから、ダンベルなどを使った負荷の重いもの、筋力が必要な上級者向けのものまで様々なトレーニングがありますので、自分に合った鍛え方を見つけてください。

大腿筋膜張筋のトレーニング①ヒップアブダクション(自重版)

ヒップアブダクションは股関節を外転する筋肉を鍛えるトレーニングです。人間が二足歩行するために重要な中臀筋などを鍛えることができます。股関節の外転にも作用する大腿筋膜張筋も刺激することが可能です。

アブダクションは自重で行う方法とマシンを使って行う方法があります。自重で行う方法は家でも気軽に始めることができます。また、チューブやケーブルを使って負荷を高めるバリエーションもありますがこちらは後ほど紹介します。

▼ヒップアブダクション(自重)のやり方

①横向きに寝る
②脚を上に上げる
③脚を下げる

基本的に筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量を目安にしましょう。しかし筋肥大に関しては限界まで行えば軽い重量の高回数でも同等の効果が得られます。

▼ヒップアブダクション(自重)のコツ&注意点
・下側の手は頭の上側に伸ばすなどし、頭をまっすぐに保つ
・上側の手は身体の前で地面に付くか骨盤の上に置く
・腹斜筋(脇腹にある筋肉)を使って動かしてしまわないように注意する
・中臀筋を集中的に鍛えたい場合は、軽く股関節を伸展させた状態(後ろに脚を蹴った状態)にする

初心者の方は週1回・3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。重要なのは回数ではなく正しいフォームで限界まで追い込むことを意識して取り組みましょう。

アイコン

ずーみー(泉風雅)

中臀筋も非常に重要な筋肉です。中臀筋が弱るとトレンデンブルグ歩行という骨盤がグニャグニャと左右に揺れてしまう歩き方になってしまいます。このような状態では転倒のリスクが高まります。

(ヒップアブダクションのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

大腿筋膜張筋のトレーニング②ヒップアブダクション(マシン版)

続いては先ほど紹介したヒップアブダクションをマシンでする場合のやり方について解説していきます。マシンでするメリットは軌道が固定されるので力の発揮に集中できます。また同負荷で両足を同時に鍛えることができるのもマシンを使うメリットになります。

▼ヒップアブダクションのやり方

①しっかりと体幹に力をいれ背中をシートにつけて座ります
②お尻の筋肉を意識しながら股関節を動かすイメージでゆっくりと脚をひらきます
③お尻の筋肉を意識しながらゆっくりと脚を閉じていきます

筋力アップなら1~6回、筋肥大なら8~12回、筋肉の持久力アップなら15回以上で限界が来る重量を扱うようにしましょう。セット数については自重と同じく初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。

▼ヒップアブダクションのコツ&注意点

・腕や足先に無駄な力がはいると刺激が減るので体幹を固めることとお尻を意識すること
・より強い刺激を与えるために1セット分の回数を終えるまではお尻の筋肉の力を抜かない
・つま先が正面を向くことを意識して行う

自重のヒップアブダクションよりも高負荷のトレーニングになるため、オーバーワークにならないように注意しましょう。

アイコン

ずーみー(泉風雅)

股関節が屈曲位に近づくほど、つまり座ったような状態で行うほど中殿筋の後部線維が鍛えられます。股関節が伸展位、つまり寝たような状態で行うほど中殿筋の前部線維が鍛えられます。

大腿筋膜張筋のトレーニング③チューブヒップアブダクション

前述のヒップアダクションのチューブを使って負荷を高めるバリエーションです。前述したヒップアブダクションとは違い、立った状態で行います。脚を上げる際、動かすほうの脚は身体の少し後ろから股関節を外転させていきましょう。こうすると大腿筋膜張筋に負荷が入ります。逆だと中臀筋に負荷を入れることができます。

▼チューブヒップアブダクションのやり方

①片方の脚にチューブを引っかけ、もう片方の脚で踏んで固定する
②脚を開く
③元の状態に戻す

筋力アップなら1~6回、筋肥大なら8~12回、筋肉の持久力アップなら15回以上で限界が来る重量を扱うようにしましょう。セット数については自重と同じく初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。

▼チューブヒップアブダクションのコツ&注意点

・脚を開く際、股関節を外転させることで大腿筋膜張筋を鍛えることができる
・体幹を固めて骨盤や腰の動きを抑え、股関節だけで動かすようにする

効果を感じられない人はコツ&注意点を再チェックしましょう。正しいフォームで行うことを意識して取り組みましょう。

アイコン

ずーみー(泉風雅)

ループバンド式のチューブがない場合は、通常のチューブをループ状に結んで使うことも可能です。

大腿筋膜張筋のトレーニング④ケーブルヒップアブダクション

ケーブルを使って負荷を高めるヒップアブダクションのバリエーションの一つです。ケーブルマシンを使って行います。脚を上げる際、身体の少し後ろから股関節を外転させていくことで、大腿筋膜張筋に負荷をかけることができます。逆だと中臀筋に負荷をかけられます。動かさないほうの脚にケーブルがひっかからないように、脚の位置に注意しましょう。

▼ケーブルヒップアブダクションのやり方

①動かすほうの脚にケーブルをかける
②脚を開く
③元の状態に戻す

筋力アップなら1~6回、筋肥大なら8~12回、筋肉の持久力アップなら15回以上で限界が来る重量を扱うようにしましょう。セット数については自重と同じく初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。

▼ケーブルヒップアブダクションのコツ&注意点

・脚を開く際、股関節を外転させることで大腿筋膜張筋を鍛えることができる
・骨盤を動かしたり身体を曲げたりせず、股関節だけで動かすようにする

回数を増やすよりも、正しいフォームで限界まで行う事を意識して取り組みましょう。

アイコン

ずーみー(泉風雅)

足首にケーブルを掛けるための専用のアタッチメントを使いましょう。もしない場合はタオルを輪にするように結ぶと代用できます。

大腿筋膜張筋のトレーニング⑤サイドレッグレイズ

サイドレッグレイズは、中臀筋などの股関節外転筋を鍛えるトレーニングです。足を上げる際、軽く斜め後ろの方向に上げていくと中臀筋をしっかりと使うことができます。逆に、斜め前方向に上げていくと大腿筋膜張筋に効いてきます。

中臀筋は大臀筋の奥にあり、股関節を外転させる働きなどがあります。中臀筋を鍛えると、スクワットなどのトレーニングの際に起こるニーイン(膝がつま先よりも内側に入ってしまう現象)を防ぐことが可能です。また、大臀筋とともに鍛えることで美尻効果が期待できます。

▼サイドレッグレイズのやり方

①横向きに寝る
②上側の脚を上げる
③脚を元に戻す

筋力アップなら1~6回、筋肥大なら8~12回、筋肉の持久力アップなら15回以上で限界が来る重量を扱うようにしましょう。セット数については自重と同じく初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。

▼サイドレッグレイズのコツ&注意点
・身体は一直線にします。ただし、下側の脚は曲げていてもOK
・下側の腕は自分の置きやすい位置に置き、上側の手は骨盤の位置に置く

回数を増やすよりも、正しいフォームで限界まで行う事を意識して取り組みましょう。

アイコン

ずーみー(泉風雅)

股関節の動作を体幹部の動作で代償してしまっていると、骨盤の位置が動くといったことが起こります。股関節の動きだけを抽出することを意識し、上側の手でのモニタリングを忘れないようにしてください。

(サイドレッグレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

大腿筋膜張筋のストレッチメニュー

大腿筋膜張筋は多くの人でこわばり、硬くなってしまっています。こわばった筋肉は、ストレッチすることで柔らかくすることが可能です。

大腿筋膜張筋のストレッチには、立って行う方法や座って行う方法、横向きに寝そべって行う方法など、様々な種類があります。また、腰痛改善に効果的なストレッチ、太ももを引き締めるストレッチなど目的に合わせて選べます。自分に合った方法でしっかりとほぐしていきましょう。

大腿筋膜張筋のストレッチ①3種類のストレッチ

大腿筋膜張筋に効果的なストレッチです。立って行う方法、横向きに寝そべって行う方法、仰向きに寝そべって行う方法があります。足をクロスさせるようにし、そのままの状態を15〜30秒間保つことで大腿筋膜張筋がしっかりと刺激されます。

▼大腿筋膜張筋ストレッチのやり方

立って行う方法

①立った状態で壁などに手をつく
②壁側の足を後ろに下げてクロスさせる
③腰を壁のほうに動かす

横向きに寝そべって行う方法

①横向きに寝そべる
②上側の足を前に出す(足の裏は地面につける)
③上体を起こす

仰向けに寝そべって行う方法

①仰向きに寝そべる
②片方の足を上げて反対側へ下ろす

▼大腿筋膜張筋ストレッチのコツ&注意点
・横向きに寝そべって行う場合、上側の膝とつま先は正面に向ける
・どの方法も、そのままの状態を15〜30秒間保ってストレッチを効かせる

アイコン

福田翔馬パーソナルトレーナー

立って行うストレッチでは、伸ばす足を横だけでなくしっかり後ろにも引くことが重要です。また、前脛骨筋とも連結もあるので、足首も底屈させるとより効果的です。

大腿筋膜張筋のストレッチ②腰痛改善に効果的なストレッチ

硬くなりがちな大腿筋膜張筋をほぐし、腰痛対策としても効果的なストレッチです。上半身を傾けるだけでなく、ねじることで大腿筋膜張筋をしっかりとストレッチすることができます。座った状態で行えるので、気軽に始められます。

▼腰痛改善に効果的な大腿筋膜張筋ストレッチのやり方

①椅子などに腰を下ろした状態で片脚をもう片方の膝上に置く
②上半身を横に傾ける(下になった足のほうに傾ける)
③そのまま上半身をねじる
④そのままの状態を30〜40秒間保つ

▼腰痛改善に効果的な大腿筋膜張筋ストレッチのコツ&注意点

・組んだほうの膝を手で押さえてから、上半身を横に傾ける
・上半身をねじる際は、斜め上の方向を見るようにしてねじる
・上半身をねじったら、一度深呼吸をしてから30〜40秒間保つ

アイコン

福田翔馬パーソナルトレーナー

このストレッチでは伸ばす側の股関節の外旋と、体をしっかり反対側に倒すことを意識しましょう。股関節を外旋、内転の形にすることで大腿筋膜張筋がよく伸びます。

大腿筋膜張筋のストレッチ③脚痩せに効果的なストレッチ

普段はあまり使わない太ももの外側の筋肉をストレッチすることで、太ももをすっきりさせる効果が期待できます。ストレッチをする際は、痛みのない、無理のない範囲で行ってください。

▼脚痩せに効果的な大腿筋膜張筋ストレッチのやり方

①四つん這いになる
②片脚を前に出す
③もう片方の脚を斜めにし、腰を下のほうに下げる

▼脚痩せに効果的な大腿筋膜張筋ストレッチのコツ&注意点

・片脚を前に出すときは、地面についた手の外側に置く
・腰を下ろすときは上体を真っ直ぐに保ち、曲げてしまわないように気をつける

アイコン

福田翔馬パーソナルトレーナー

伸ばす側だけでなく、反対側の足もしっかり胸に近づける意識を持ってください。そうすることで伸ばす側の股関節が相対的に伸展方向に持っていかれるので、より効果的です。

(脚痩せ効果が期待できるスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)

大腿筋膜張筋を鍛えて太ももの付け根を強化しよう

大腿筋膜張筋は太ももの外側、付け根の部分にあり、股関節の屈曲、外転、内旋に作用します。骨盤の安定にも関わり、歩く動作にも必要な大切な筋肉です。鍛えることで太ももの引き締め効果のほか、腰痛の改善やO脚の予防などの効果も期待されます。筋トレやストレッチでしっかりと強化していきましょう。