ボディメイク

有酸素運動

【心肺機能強化】自宅で出来るHIITトレーニング〜初心者・高齢者向けメニューまで!

2020年11月30日

心肺機能を強化するとランニングや水泳などのスタミナが必要な運動や、自転車をこぐなどの日常動作でバテにくい体を作ることが可能です。心肺機能を強化できるトレーニングメニュー、マスクをしてトレーニングする効果、どれくらいの期間で効果を実感できるのかなども解説します。

【監修】パーソナルトレーナー Riku

法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。
instagram / Twitter / HP

そもそも心肺機能を強化するメリットは?

心肺機能とは文字通り、心臓と肺の機能のことです。心臓は酸素を含んだ血液を全身に送り出し、肺は空気中の酸素を体に取り込む機能があります。心肺機能を強化することで得られるメリットについて見ていきましょう。

スタミナが向上する

心肺機能を強化するとスタミナ向上に繋がります。スタミナが必要なマラソンや、陸上の中距離や長距離、長距離の水泳、90分走り続けるサッカーなどのパフォーマンスを高めることができるのです。特にマラソンは、ペースを維持して走り切ることができるスタミナが欠かせません。

スタミナが必要なスポーツは有酸素運動が多く、吸った酸素を使って糖質や脂肪をエネルギー源にして運動をしています。多くの酸素を使うと、細胞はたくさんのエネルギーを作ることが可能です。そのため心肺機能を強化すると、スタミナが向上し、長時間高いパフォーマンスで運動ができるようになります。

バテにくくなる

心肺機能は年をとるにつれて低下します。何も刺激を与えなければ、筋肉が衰えていくのと同じように、衰えていくのです。心肺機能が低下すると酸素を効率的に摂取できなくなります。すると作れるエネルギーの量も少なくなってしまうのです。心肺機能が低下すると、少し走ったり、階段を上ったりするだけですぐに呼吸が乱れてしまったりバテてしまいます。

逆に、心肺機能を強化するとバテにくい体を作ることができます。心肺機能が強化されれば日常的な動作や運動も、呼吸を乱さず行えるようになるでしょう。さらに、バテにくいと集中力が上がり、運動や日常生活のパフォーマンス向上にも繋がります。

血行が良くなる

血行が悪く、体の末端まで血液が行き届かないと、冷え性などになってしまう場合もあります。心肺機能を強化すると、体の末端まで血液を送る心臓の機能を高めることが可能です。すると体の末端まで血液が届きやすくなるため、血行が良くなります。これにより、血行が悪いために引き起こされる冷え性などの改善も期待できるのです。

筋トレメニューからみたい方はこちら

心肺機能を強化できるトレーニングの負荷は?

ゆっくり長時間走って、心肺機能を鍛えることは可能です。しかし長時間中程度の負荷の有酸素運動を行うよりも、HIITを行う方が心肺機能を強化する効果が高いと言われています。

高強度の運動を繰り返すHIITがおすすめ

HIITとは「High Intensity Interval Training」、高強度インターバルトレーニングです。休憩を挟みながら高強度の運動を繰り返し行います。HIITは高強度の運動を行うため、体に強い負荷をかけることが可能です。

体に負荷がかかり、細胞内のエネルギーが枯渇すると、AMPKというたんぱく質が活性化されます。AMPKが活性化するとミトコンドリアが増えたり、血管新生を起こす効果を期待することが可能です。ミトコンドリアは細胞内で酸素を使ってエネルギーを作っている小器官で、多ければ多いほどバテにくく、長時間運動を行えます。


また高強度のトレーニングを行うと、心拍数が急激に上昇します。呼吸を乱しながら、体はより多くの酸素を取り込めるように心肺機能を高めるのです。すると、最大酸素摂取量も効率よく高めることができます。最大酸素摂取量とは1分でどれだけ酸素を取り込めるかという値です。

これらの理由から、HIITは有酸素運動より心肺機能を高めるのに効果的だと言われています。そして高強度のトレーニングでも、通常の無酸素運動の筋トレでは、心肺機能はあまり強化できません。呼吸が乱れる運動を連続して行うHIITだからこそ、心肺機能強化に繋がるのです。

筋トレメニューからみたい方はこちら

負荷は心拍数を目安にする

短期間で心肺機能を高めるには、高強度のトレーニングを取り入れるのが有効です。この高強度というのは「最大心拍数の80~90%の運動強度」になります。これは呼吸が激しく乱れる運動強度です。

心拍数を目安にして運動すると、トレーニングメニューを変えても身体機能が向上しても、体に同じ負荷をかけることができます。すると効率よく心肺機能を向上させることが可能です。

(心拍数については以下の記事も参考にしてみてください)

低酸素トレーニングもおすすめ

低酸素環境下のトレーニングは、最大心拍数の60~70%の運動強度で「最大心拍数の80~90%の運動強度」と同程度の効果が得られるのでおすすめです。「マスクをしてトレーニング行えば、低酸素環境下と同じ効果が得られるのでは?」と考える方もいるでしょう。しかしマスクをしてトレーニングをしても、低酸素トレーニングの代用になるわけではありません。

低酸素環境下の場合は、そこにいる人は時間経過とともに低酸素環境に順応して酸素効率が上がりますが、マスクをしている場合は、単に少ない量の空気で呼吸しているにすぎません。肺に入る酸素濃度はいつもと同じなのです。

しかしマスクをしてトレーニングをすると、肺がマスクをしていない場合と同じ量の空気を吸おうとして、次第に肺と横隔膜が強化される可能性はあります。ただしマスクをすると呼吸が苦しく、特に高強度のトレーニングをする場合は、負荷がかかりすぎる可能性があるのでおすすめしません。

自宅で出来る心肺機能トレーニング『HIIT』

心肺機能を高める効果が期待できるHIITには、ジムに通わなくても、雨で外でトレーニングができない日でも、自宅で行えるメニューがあります。HIITは基本的に、1種目ごとに20~40秒全力で行い、休憩を挟むトレーニングです。休息時間は運動時間の倍程度で設定し、慣れてきたら休息時間を短くしましょう。それでは自宅でできるHIITメニューを紹介します。

(HIITトレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)

バーピー

バーピーは家などの室内で行える代表的な高強度の有酸素運動です。直立姿勢からスタートし、しゃがんで腕立て伏せの姿勢になります。できる方はここで腕立て伏せを1回行いましょう。続いてしゃがんだ姿勢に戻り、その姿勢からなるべく高くジャンプしてください。着地したらその流れのまましゃがみ、初めから繰り返します。

バーピーの効果を最大限に出すためにはできる限り早く動作を繰り返す必要があります。意識して素早く動作を行ってください。また、バーピーより負荷は低くなりますが、腕立て伏せとスクワットの動作を組み合わせるのもおすすめです。

(バーピーについては以下の記事も参考にしてみてください)

マウンテンクライマー

マウンテンクライマーは全身の筋肉を使う有酸素運動のメニューです。まず肩の真下に手を置き、四つん這いになりましょう。姿勢をまっすぐにした状態から、脚を交互に曲げ、素早く入れ替えてください。強度を上げる場合は脚をさらに前に出すようにしましょう。

特に脚を前に出すように意識すると弾みやすくなってしまいますが、弾まないように意識しながら行ってください。また、呼吸を止めてしまいがちですが、マウンテンクライマーは高強度の有酸素運動なので、しっかり呼吸をしましょう。ジャンプの動作を含まないので、比較的自宅で音を気にせず行うことができるトレーニングです。

(マウンテンクライマーについては以下の記事も参考にしてみてください)

ジャンピングスクワット

ジャンピングスクワットは瞬発力も高めることができるトレーニングです。バーピーより負荷が少なめなので、バーピーが難しい方はジャンピングスクワットから行っても良いでしょう。まずは、脚を肩幅に開いて立ちます。そこから思い切りしゃがんでジャンプしましょう。静かに着地し、またジャンプすることを繰り返します。

関節に負担をかけないように、滑らかに着地することを心がけ、なるべくその場でジャンプするようにします。またジャンピングスクワットを行う時は、つま先が膝より前に出ないようにしましょう。膝が内側に入ってしまう姿勢もNGです。どちらも怪我の原因になるので注意してください。その場で跳ぶ運動なので、自宅に広いスペースが無くても行うことができます。

(ジャンピングスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)

走って心肺機能を強化するトレーニング

自宅で行うHIIT以外にも心肺機能を鍛えるメニューはあります。色んな種類がありますが、最初に紹介するのは、走って心肺機能を強化するトレーニングです。

ペース走

決まった距離を一定のペースで走るのがペース走です。最初は8~10km程度の距離から始めましょう。1km7分のペースではマラソンの完走が狙えます。慣れてきたら距離を伸ばしたり、ペースを上げたりしてください。心拍数を測りながら行うと、客観的に自分の心拍機能の成長を実感できます。

同じ距離を同じペースで走った場合、1カ月前と現在の心拍数を比べて心拍数が下がっていれば、心肺機能が強化されたということです。ペース走やインターバル走は高強度のトレーニングなので、1日行ったら2~3日休んで行いましょう。週2~3回の頻度が目安です。

インターバル走

ペース走より強い負荷がかけられるのがインターバル走です。疾走と休息を繰り返して、疾走で心拍数を一気に上げ、休息で心拍数を落ち着かせて心肺機能に負荷をかけ、心肺機能を効果的に鍛えます。負荷が大きいため、あまりランニングをしない方や運動初心者の方にはおすすめできません。本格的に走っていてマラソンのタイム向上が目的の方向けです。

インターバル走を行うと最大酸素摂取量の向上、スピードアップ、回復力向上などの効果が得られます。インターバル走は、中距離の種目では300m、400m、500m、600mといったインターバル走が良いでしょう。長距離の種目やマラソンでは1000mインターバル走を行う場合が多いです。

インターバル走では設定した距離を疾走し、疾走した時間の半分~2倍の時間休息します。疾走する時の運動強度は、最大心拍数の85~100%の強度です。休息の時の運動強度は、最大心拍数の50%の強度を下回らないようにしましょう。初心者の方は余裕をもって、休息時間を長く設定するのがおすすめです。

ダッシュ

ダッシュは、広い場所があればできるトレーニングです。全力で短時間走ります。ダッシュはHIITやランニングの途中に組み込んで、心拍数を急上昇させることも可能です。ダッシュの設定は距離や時間で行いますが、100mや30秒に設定すると全力疾走しやすいでしょう。ただし、急に筋肉を激しく動かすトレーニングなのでストレッチは必ず行いましょう。



坂道ダッシュ

坂道ダッシュは坂道でダッシュを行うトレーニングです。坂道で行うことによって、通常のダッシュより強い負荷をかけられ、効率的に心肺機能を強化できます。上りをダッシュで、下りを歩きか軽いジョギングで行うことで、インターバル走と同じように疾走と休息になり、心肺機能に負荷をかけられます。

坂の傾斜と走る距離によって運動強度が変わりますが、心肺機能を高めるには緩やかな坂で100m以上走るのがおすすめです。体への負荷が大きいのでトレーニング前後のストレッチは欠かさず行いましょう。また、頻度は週1~2回までにしてください。

バイクで心肺機能を強化するトレーニング

自転車やエアロバイクも心肺機能の強化におすすめです。心肺機能以外に下半身の筋力を鍛えることができます。特にエアロバイクは簡単に負荷を調節できるため、心肺機能を強化するHIITトレーニング向きです。初心者でも体への負担が少なく、全身の筋肉を刺激することもできます。

エアロバイクでHIITトレーニングをするときは、基本的に8セットがおすすめです。20秒全力でこぎ、10秒休息するのを1セットとして行いましょう。初心者は3~4セットから始め、慣れてきたら少しずつセット数を増やしてください。

バイクを全力でこぐのは高強度の運動です。水分をしっかり摂って、怪我に注意して行いましょう。また、体への負担は少ないですが、かなり疲れるので頻度は週2回程度から始めるのがおすすめです。

(エアロバイクを使ったHIITについては以下の記事も参考にしてみてください)

水泳で心肺機能を強化するトレーニング

水泳も心肺機能を強化するのにおすすめです。水泳は水中で行うので、関節に負担があまりかからないので、膝が痛くて、走るトレーニングが行えない方にもおすすめです。また、水泳では全身の筋肉をバランスよく鍛えることも可能です。水中では胸に水圧がかかります。さらに水中では意識しないと呼吸を行えないため、心肺機能が刺激されるのです。

初心者は週3回、1回30分、ゆったりしたペースで泳ぐことから始めてください。慣れてきたら頻度を増やし、ペースを上げましょう。息継ぎをしながら泳ぐことによって、肺活量も増えます。水中では呼吸ができないため、1度に大きく息をするので肺活量が向上するのです。

運動初心者・高齢者は歩くだけでも心肺機能を強化できる?

心肺機能を強化するトレーニングを紹介してきました。しかし「ここまで紹介されたトレーニングでは負荷が高すぎる」「ゆっくり心肺機能を強化したい」という方もいるでしょう。そんな方におすすめの心肺機能を強化するメニューを紹介します。

ウォーキング

普段運動をしない方や高齢の方にはウォーキングがおすすめです。歩くだけでも、年齢とともに低下してくる心肺機能を強化する効果が期待できます。ランニングより膝や腰への負担が少ないので、幅広い人が行うことが可能です。

1回で長時間歩くよりも継続することが重要です。運動が苦手な方は、5~15分程度のウォーキングから始めましょう。背筋を伸ばし、腕をやや内側に振りながら歩くと効果的です。

(ウォーキングについては以下の記事も参考にしてみてください)

踏み台昇降運動

踏み台昇降運動は自宅で簡単にできる、心肺機能を強化する効果が期待できる有酸素運動です。階段などの段差や踏み台があれば、テレビを見ながらでも行うことができます。

やり方は20㎝以下程度の適度な高さの台を用意し、姿勢を正して、右足を台の上に乗せます。続いて左足も乗せてください。右足を台から下ろし、左足も下ろします。これを繰り返します。初心者はまず5分から始めましょう。

(踏み台昇降については以下の記事も参考にしてみてください)

縄跳び

実は縄跳びは有酸素運動です。縄跳びをすることで心肺機能を高め、体幹を鍛える効果も期待できます。縄跳びのコツは肘からではなく手首で縄を回すことと、重心の真下で着地するように心がけることです。

無理せずゆっくり跳んでも良いですが、200回前跳びを行うと効果的なので、目標にすると良いでしょう。メトロノームを使って、速いリズムで跳ぶ縄跳びインターバルなどをすると、さらに運動強度を高めることができます。

(縄跳びについては以下の記事も参考にしてみてください)

登山

登山を行うのも心肺機能強化に繋がります。心肺機能と同時に足腰も鍛えることが可能です。ただし、傾斜や標高によっては強度が高い運動になります。ウォーキングや縄跳びで基礎体力をつけるなど、準備をしっかり行ってから、登山に行くようにしてください。

心肺機能を強化出来るまでにかかる期間は?



通常の有酸素運動の場合、心肺機能の強化を実感するには3ヶ月程度の期間が必要です。高強度のトレーニングを行い、体に負荷をかけることで期間は短縮されますが、1週間や2週間のような短期間では効果は実感しにくいでしょう。3か月を目安にトレーニングを継続するのがおすすめです。

また、トレーニングの際に心拍数を測ると、心肺機能が強化されていくことが客観的に感じられます。数値にすることで成長を実感できるので、心拍数を測ると良いでしょう。

心肺機能を強化すると健康になり運動能力もUP!

心肺機能を強化するとスタミナが付き、バテにくくなります。すると日常生活でも運動の場でも、パフォーマンスの向上に繋がるのです。この記事で紹介したトレーニングを行って、心肺機能を強化しましょう。