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通常の『腹筋運動』は意味がない?効果半減NG例〜正しいやり方まで解説!

2020年11月30日

代表的な筋力トレーニングである腹筋。自重で行うプランクや器具を使った腹筋運動を数種類組み合わせて正しいやり方で行えばお腹痩せにも効果的です。ここではお腹の部位に合った腹筋のしかたや器具の正しい使い方、怪我をするNGなやり方を詳しく紹介します。

【監修】パーソナルトレーナー 高津諭

トレーニング指導歴22年。大阪・兵庫を中心に活動するパーソナルトレーニングを提供しています。現在、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会のマスタートレーナーとして、またJOTスポーツトレーナー学院の校長として後進の育成、指導にも尽力している。HP / ブログ / Twitter

腹筋運動は1種目だと意味がない?

腹筋とは腹直筋・腹斜筋・腹横筋3つの筋肉の総称を言います。従来の腹筋では真ん中の腹直筋だけを鍛えていて、両側にある腹斜筋・腹横筋を鍛えられていない可能性があります。ダイエットで痩せてくびれを作りたい・体のバランスを良くしたい方は、いくつかの腹筋運動を組み合わせて腹筋全体を鍛えていきましょう。

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腹筋運動で鍛えられる部位

出典:https://bukiya.net/blog/musclename/#i-8

腹直筋はお腹の真ん中に位置している筋肉で、シックスパックに割れるところがこの部位に当たります。ここは体を前傾にする際に使われ、重い荷物を持つときや物を押すときに体を安定させようとする筋肉になります。下腹部は弱くなるとポッコリお腹になってしまいます。

腹横筋はコルセットのように腹部を覆っている深層部の筋肉で、お腹を凹ませるときに使う筋肉になっています。筋肉自体は薄く、力を大きく発揮できませんが、競技のパフォーマンスを上げたりダイエットのエクササイズでウエストを引き締めるのに効果があります。

外腹斜筋と内腹斜筋はお腹を捻る動作に使われる筋肉です。お腹を捻る場合は外腹斜筋が主導筋として働き、支えとして内腹斜筋が使われます。また、腹斜筋を鍛えることで腹部の横に「くびれ」ができます。

効果がない腹筋運動のNG例

腹筋運動は正しいフォームを作れていないと、違うところに負荷がかかり腰痛などの原因になってしまいます。トレーニングしたのに引き締められなかったり、筋肉がつかずダイエットに繋がらないことを無くすために以下の注意点に気をつけましょう。

正しいフォームでやる

上体を起こす腹筋運動は、最後まで起き上がったり反動をつけて起きあがろうとするのはNGです、そのようなフォームで上下してしまうと首や腰への負担がとても大きくなり、首を痛めたり腰痛の原因にもなりますのでやめましょう。正しいフォームはおへそ覗き込める程度で行うことです。1度自分のフォームを確認しましょう。

また胃の調子が悪い方・弱い方は内臓を守るために腹筋が硬くなった状態になります。その状態でトレーニングをしてしまうと、硬くなった腹筋で内臓を押してしまい、下痢をする可能性があるので気をつけましょう。

腕力を使った腹筋はNG

腹筋がついてない人は腕の力で上体を上げようとしてしまいます。このやり方では、頭を巻き込むように腹筋運動をしようとするので首に負担がかかり、トレーニング中に首が痛いと感じるはずです。この痛みを無くすために、腹筋以外は力をリラックスしましょう。

腹筋運動は回数を繰り返す、速く行うのはNG

腹筋運動で何百回と繰り返しても負荷の低いものを繰り返すだけなので、負荷のしっかりかかった腹筋運動を少ない回数していく方が効率よく鍛えられます。回数以外にも素早く腹筋運動を行うと、フォームを乱してしまい、腹筋に負荷がうまくかからないのでやめましょう。

膝を伸ばし、足首を押さえるのはNG

クランチやシットアップなどの寝た状態でおこなう腹筋運動は、膝を曲げて腸腰筋・腹筋・大腿直筋(太腿)を使って上体を浮かせていくのです。しかし膝を伸ばし足首を固定されてしまうと大腿直筋と腹筋への刺激が弱くなり、腸腰筋や大腿四頭筋に強い刺激が加わり腹筋の効果が軽減します。

またそのようなフォームで行う事で、腸腰筋や大腿四頭筋にストレスがかかり腰痛になることもありますので、膝を伸ばし足首を押さえるのは控えるようにしましょう。

腹筋運動は毎日回数を重ねるだけでは効果がない?

腹筋運動は昔から回数をこなせば強靭な腹筋を手に入れられるとたくさん言われてきたのではないでしょうか。間違いではありませんがそれは筋持久力(筋肉を長い時間使える力)が鍛えられるだけになります。腹筋の筋力アップや筋肥大を目的とする人は、10回前後で限界になるような負荷で行うことで効果が得られます。

(腹筋の回数について以下の記事も参考にしてみてください)

確実に効果を出す腹筋運動メニュー

誰でも簡単に自宅でできて、器具が必要ないトレーニングや家に隠れている腹筋ローラーを使ってすぐ始められる腹筋運動をご紹介します。必要なのは、腹筋に意識をしっかり向けつつ、呼吸をすることでダイエット効果のある腹筋運動になりますので参考にしてください。

ノーマルクランチ(初心者向け)

この腹筋運動はお腹の真んにある腹直筋を鍛えるトレーニングで、上体を丸くするだけで鍛えることができます。これは手軽で誰でも簡単に始められますので、やり方を詳しく解説していきます。

▼ノーマルクランチのやり方
①床に寝転んで、膝を立てます
②息を吐きながら腹筋に力を入れて背中を持ち上げます
③息を吸いながらゆっくり下ろしていきます

そして回数は10回前後を目安に3セット行ってください。無理に最初から回数とセット数を上げると続かなくなってしまうので、出来る範囲で取り組んでみましょう。

▼ノーマルクランチのコツ&注意点
・両手を頭の後ろか胸の前にクロスさせる
・両手を頭の後ろで組むときは、手は頭に添えるだけで押さない
・体を起こす際は頭から上がり、勢いはつけない

ノーマルクランチは勢いをつけずに呼吸と共にゆっくり行うことが大事です。正しいフォームと呼吸法を無視すると引き締め効果や筋力向上に繋がらない腹筋運動になってしまうので気をつけましょう。

(筋トレ初心者でも効率のいい腹筋トレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)

ドローイング(初心者向け)

ドローイングはお腹を凹ませる動作に腹式呼吸を合わせた腹横筋の簡単なトレーニング方法です。大きな動きがないので、いつでも掴まる場所があれば、簡単にできるダイエット方法としておすすめです。

▼ドローイングのやり方
①背筋をまっすぐにし、肩を引き上げないように息を吸い込む
②膨らんだお腹を凹ませながらに息を吐く
③凹ませたら10〜20秒キープ
④キープ後40〜60秒の休憩を入れて、また①から繰り返す

負荷がほとんどかからないので、腰への負担がなくとてもやりやすいトレーニングです。回数の目安は5回×2セットや10回×3などできる回数をやってみましょう。

▼ドローイングのコツ&注意点
・腹部に意識をする
・背中を丸めない
・できるだけリラックスした状態でやる
・膨らんだお腹を凹ませながら息を吐時が一番効果が出る

ドローイングだけでなかなかオーバーワークになることはありませんが、あまりにも回数を多くすると体を傷つけることになりますので、注意しましょう。

(ドローイングについては以下の記事も参考にしてみてください)

ロシアンツイストハイパー

ロシアンツイストハイパーはアウターマッスル(外側の筋肉)の腹直筋とインナーマッスル(深層部の筋肉)の腹横筋・腹斜筋を鍛えることができ、お腹まわり全体の引き締め効果があります。

▼ロシアンツイストハイパーのやり方
①床に横になり、状態を起こし始めで腹筋をキープ
②腕を体前斜め上に伸ばし掌を合わせる
③お腹を凹ませながら、両側に腕を振る

回数は初心者は10回を2〜3セット、慣れてきたら20回を2〜3セット行うようにしましょう。負荷が足りない場合はメディシンボールやダンベルを使って行うとより効果的に引き締められ、くびれやすくなります。

▼ロシアンツイストハイパーのコツ&注意点
・腰から捻るのではなく、みぞおちを中心に胸を捻る意識で行う
・どうしても難しい場合は、捻る側の肩を地面につけるような意識をもつ
・忘れてはいけないのは呼吸をしながら行うこと、苦しいトレーニングは無呼吸になりやすいので注意

ロシアンツイストハイパーは腹筋全体の意識が必要になります。このトレーニングも筋肉を意識し、インナーとアウター両方を一緒に鍛えてバランスの良い腹筋を作りあげていきます。

(ロシアンツイストハイパーについて以下の記事も参考にしてみてください)

ツイストクランチ

ツイストクランチは腹斜筋と腹直筋を刺激するトレーニングなので、筋肉量が少ない方は難しく感じると思います。ある程度基礎の腹筋運動ができるようになったら挑戦してみましょう。

▼ツイストクランチのやり方
①仰向けになり、両手を頭の後ろへ
②対となる手足の肘と膝を近づける
③②の動作を左右交互に連続して繰り返す

回数は正しいフォームで行える限界の所までやるのが効果的ですが、呼吸にばらつきが出てきても効果がなくなってしまうので、苦しくなったらやめましょう。

▼ツイストクランチのコツ&注意点
・体を捻った後は背中も足も浮かせたまま、常に腹筋には腹圧がかかった状態にする
・呼吸法は上半身を捻った時に吐く、足を入れ替える際に吸う
・急がず、筋肉を意識しながら捻りを入れていく

ツイストクランチを勢いに任せてやってしまうと首が痛い・腰が痛いなど関節を痛める原因になるので、筋肉を意識してゆっくり動かすようにしましょう。

(ツイストクランチについて以下の記事も参考にしてみてください)

レッグツイスト

レッグツイストは腹斜筋が鍛えられ、普段あまり使わない腹筋の下の部分を鍛えることができます。くびれを求めながら、ぽっこりお腹を解消できるため男女問わずおすすめです。

▼レッグツイストのやり方
①仰向けに寝て、手を横に開く
②上半身と下半身の角度が90度になるように足を上げる
③左右に両肩が浮かないように体幹を捻り、脚を横に下ろしていく

レッグツイストは腹筋の下部や腹斜筋に負担が大きいので、回数は限界を感じる回数までで、セット数は3セットをやりましょう。腰回りが柔らかい方は床ギリギリまで足を下げて行うと負荷がもっと強くなります。

▼レッグツイストのコツ&注意点
・腰痛がある方は治ってから行うようにしましょう
・顔は天井を向き、固定する
・脚を下ろした際に床につけない

体幹の筋肉がある程度安定していないと、脚を下ろした際に腰まで回転してしまい、翌日腰痛になってしまうこともあるので腹筋運動が慣れてから行うと良いでしょう。腰が痛い状態では決してやらないようにしてください。

(レッグツイストについて以下の記事も参考にしてみてください)

腹筋ローラー

腹筋ローラーは体幹全体を鍛えることができ、お腹の引き締めにとても効果があります。またローラーは全身を使うものなので、腹筋以外も鍛えられて全身の引き締めやダイエットの効果を発揮してくれます。

▼腹筋ローラーのやり方
①ローラーのグリップを握り、四つん這いの姿勢になります
②脚・腕・肩の位置を固定し、下腹部に力を入れる
③目線は下・顎を引いてローラーを前進させる
④うつ伏せ状態に1〜3秒キープし、腰が反らないように少し丸める
⑤キープ後、手をついて戻る

毎回うつ伏せの状態でキープした後に全身の力を抜いて、スタートボジションに戻って下腹部を意識して四つん這い状態を作り直すことが大切です。回数は、初心者が1〜3回を3セット・慣れてきた方は8〜12回を6セットを行ってください。力を抜いたときに腰が痛いなどの症状がある場合は、休憩をはさみながら行ってください。

▼腹筋ローラーのコツ&注意点
・下腹部を毎回意識すること
・体を前に倒すときに腹這いに潰れやすいので、ゆっくり行う

このトレーニングはローラーの使い方を身に付けるのが目的で、下腹部への意識付けと動作を確認して、正しい使い方を覚えましょう。

(腹筋ローラーについては以下の記事を参考にいてください)

バイシクルクランチ

出典:https://slope-media.jp/posts/187

バイシクルクランチは腹直筋と腹斜筋を鍛え、下腹部のたるみやくびれを作りたい方におすすめの種目となっています。では、やり方とコツ・注意点について確認していきましょう。

▼バイシクルクランチのやり方
①まず両手を頭の後ろに組む
②上体と足を軽く浮かす
③肘と膝をクロス方向にくっつける
④クロス動作を回数まで続ける

回数は筋力アップのためなら1〜6回、筋肥大なら6〜12回、筋持久力なら15回以上を行うのがおすすめです。常にフォームを意識して行うことが効率よく筋肉をつけることに繋がりますので、正しいフォームを忘れないようしてください。

▼バイシクルクランチのコツ&注意点
・背中をベッタリ床につけない
・腰を反らせない
・上背部をしっかり浮かせておくことが大事

トレーニングやり初めの方は、張り切ってオーバーワークになりやすいです。オーバーワークになると筋肉の回復が遅くなり、怪我の原因になりますのでしっかり休憩を取りましょう。

(バイシクルクランチについて以下の記事も参考にしてください)

ノーマルシットアップ

出典:https://slope-media.jp/posts/151

ノーマルシットアップは部活動でよくやる腹筋運動です。シンプルに腹筋を鍛えたい方にはおすすめのトレーニングです。
▼ノーマルシットアップのやり方
①床に背中をつけ、膝を立てる
②上体を起こし、腹筋を立てた膝に近づける
③ゆっくりと上体を戻す

ノーマルシットアップ道具の必要がない自重トレーニングです。正しいフォームでできる限界の回数まで行い、初心者は週1回3セット・上級者は週2回6セットを行いましょう。

▼ノーマルシットアップのコツ&注意
・両手を胸の前でクロスさせるか頭の後ろで組む
・上体を上げるときは首→胸→お腹の順番で
・反動を使わずに、上体だけをあげる

正しいフォームである腰が反っていない状態で行わないと腰痛になってしまいます。おへそを覗き込むように意識すると正しいフォームの形になり、腰への負荷が減ります。

(ノーマルシットアップについては以下の記事も参考にしてください)

腹筋運動でお腹痩せしたい場合に一緒にすべきこと

腹筋運動は体幹や腹筋を鍛えることによってお腹周りを痩せさせることができますが、ただやるだけでは効果は薄いです。そこで大事なのは脳で筋肉を意識する・呼吸法で負荷を増やす、それ以外にも筋肉に休養を与えるこの3種類がトレーニングの重要ポイントになるので説明していきます。

食事を意識する

まずは朝食をしっかり取ってください。何故かというと、朝食を摂ることによって体内時計がリセットされ、代謝が上がると同時に体温が上がるからです。代謝が上がるということは脂肪を燃やしてくれるのでダイエットになるわけです。運動せずに正しい量のご飯を食べることで痩せられるということです。

栄養面で、糖質は余分な量を摂ると脂肪に変わってしまいます。食物繊維を摂ると糖質・脂質の吸収を遅らせて、太りにくい体にしてくますし、便通が良くなり体の不要なものが出ていくことでお腹まわりがスッキリします。

(お腹痩せに効く食事は以下の記事も参考にしてください)

腹筋と有酸素運動を組み合わせる

腹筋運動などの筋トレ後に有酸素運動を取り入れることで、効率良く脂肪分解をし、ダイエット効果がある体が出来上がります。腹筋運動と有酸素運動を取り入れることで基礎代謝を上げ、自然に脂肪燃焼するような体に作り上げていくことが出来ます。ぜひ楽なお腹痩せの仕組みを作っていきましょう。

(筋トレと有酸素運動については以下の記事も参考にしてください)

筋トレは超回復時間を利用して強くなる

そもそも筋肉には超回復という休息時間が必要となってきます。この時間が筋肉を効率よく増やしていくことが出来るのですが、皆さん勢いで毎日筋トレをして筋細胞を壊したままにしてしまい、筋肉がつきにくい状態になってしまいます。

腹筋部分の超回復時間は24時間なので、時間をしっかり空けることによって締まった腹筋へと変化していきます。鍛えた付近はとにかく休めて、その間は他の筋肉を筋トレしましょう。

超回復を理解することによって、回復した筋肉が活性化されダイエット効果につながるので、十分に把握していただけると痩せやすい体を手に入れることができます

(超回復については以下の記事も参考にしてください)

正しい腹筋運動を継続して目標を達成しよう

正しい腹筋運動を行うには日々正しいフォームで筋肉を意識して腹圧をかけられているかがとても大切になってきます。今目標にしていることを日々正しいフォームで鍛えていれば、しっかりとした筋肉とダイエット効果が付いてきますので、辛くなったら回数などを変えるなど、自分のできる範囲内で継続してみてください。