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アーノルドクラシックとはどんな大会?
アーノルドクラシックは、正式名を「アーノルド・スポーツ・フェスティバル」と言います。本来は、格闘技やクロスフィットなど、80もの競技や大会が行われる全米最大級のスポーツイベントです。参加人数は22,000人以上にのぼり、もはやオリンピックと肩を並べる規模と言ってもいいでしょう。
しかし、中でも注目度が高いのはボディビル競技です。そのボディビル競技の大会名を「アーノルドクラシック」と呼びます。イベントの中で最も注目を集める大会が、いつしかイベント全体をも指し示すようになりました。今ではアメリカだけでなく、ヨーロッパやアフリカなど、全世界で行われます。
「アーノルドクラシック」の「アーノルド」とは、あのアーノルド・シュワルツェネッガーです。ボディビルファンなら、ミスターオリンピアを7度制したレジェンドとして知る人は多いでしょう。その彼が立ち上げ、1989年に第1回大会が開かれたボディビル競技こそが「アーノルドクラシック」です。今回は、その「アーノルドクラシック」について紹介していきます。
アーノルドクラシックにどんな種目がある?
アーノルドクラシックで行われるボディビル競技は、IFBBのプロカードを所有する選手たちによるプロクラスと、それ以外の選手で争われるアマチュアクラスに分かれます。さらに、どちらのクラスもいくつかの部門に分かれますが、主なものは以下の通りです。
・ボディビル(体重無差別)
・ボディビル(212ポンド級)
・メンズフィジーク
・ウィメンズフィジーク
・クラシックフィジーク
他にもいくつかの部門がありますが、次の項目では特に上記の5部門について詳しく説明していきます。
アーノルドクラシックはボディビル&フィジークが主要種目
ここからは、アーノルドクラシックで行われる各部門について説明していきます。中でも、ボディビルとフィジークが主要となる種目です。部門ごとに求められる筋肉や体つきが変わりますので、画像を見て比較するのも良いでしょう。
ボディビル(体重無差別)
体重無制限で行われ、アーノルドクラシックの花形ともいえる種目です。他と比べるとこの種目の優勝賞金は突出し、日本円で約1500万円と言われます。出場者のほとんどが体重100kgを超え、かつ体脂肪を極限まで絞った超人たちによるメインイベントです。単純に筋肉の大きさを競うという明快さがあり、ボディビル初心者はまず見るべき種目と言っていいでしょう。
ボディビル(212ポンド級)
体重212ポンド(約96.16kg)以下の選手によって争われます。身長のあまり高くない選手にもチャンスがある種目です。体重無制限クラスと同じような筋肉の付き方をしているので、ボディビルの魅力で劣るということはありません。ただし、2019年・2020年はこの種目は行われませんでした。
メンズフィジーク
近年、出場者が爆発的に増えている種目です。サーフパンツを着用し、上半身の逆三角形ぶりなどを競います。ボディビルの選手とは明らかに体つきが違いますので、筋肉の付き方やバランスなどを比較するとさらに楽しめるでしょう。
ウィメンズフィジーク
もとは「ウィメンズボディビル」という種目名でしたが、近年になり「ウィメンズフィジーク」に改称されました。女性でもこれだけ筋肉を身にまとえるのかと感心すること間違いありません。こちらも女子の他種目と見比べる面白さがあります。
クラシックフィジーク
ボディビルでの過剰な筋肉量やステロイド依存に疑問を呈する意見に後押しされ、アーノルドクラシックでは2018年に新設された種目です。ボディビルとフィジークの中間に位置すると考えられています。ただし、クラシックフィジークの選手にも筋肉の肥大化が目立つようになり、ボディビルとの違いがわかりにくいかもしれません。
その他
アーノルドクラシックは、上記で紹介した以外にも、
・車椅子ボディビル
・フィットネス
・フィギュア
・ビキニ
などに分かれます。
車椅子ボディビル
下肢に障害を持つ選手たちが上半身の筋肉で競い合う部門は、障害者スポーツ先進国アメリカならではといえます。
フィットネス
バック転のような飛び技や片手腕立て伏せのような力技など、パフォーマンス的な要素も求められます。
フィギュア
フィジークと筋肉の付き方などはほとんど変わりませんが、規定ポーズとフリーポーズとがあるのがフィジーク、クオーターターンのみで競うのがフィギュアとなります。
ビキニ
フィジークやフィギュアよりも女性らしい体つきが求められるとされますが、筋肉がいらないという認識は誤りです。
アーノルドクラシックで優勝したことのある日本人選手
アーノルドクラシックで見事優勝した日本人選手がいます。2020年大会までに各部門で優勝した顔ぶれを1人ずつ見ていきましょう。
山岸秀匡
日本人初のプロボディビルダーである「ビッグヒデ」。2003年にIFBBのプロカードを取得すると、2007年にはアーノルドクラシックに招待選手として自身初の出場を果たします。ミスターオリンピアの日本人初出場も彼でした。
その後、プロ契約の解除など、低迷する時期もありました。しかし、そこからの復活は素晴らしく、2010年にこれまた日本人初のIFBBプロコンテスト優勝。その後無差別級から212ポンド級に転向すると、2016年の212ポンド級で日本人初となるアーノルドクラシック優勝の栄誉を手にしました。
(山岸秀匡については以下の記事も参考にしてみてください)
プロボディビルダー『山岸秀匡』を特集!生い立ち〜筋トレ&食事への考えまで!
出典: Slope[スロープ]
鈴木雅
日本ボディビル界の「ゴールデンボーイ」鈴木雅。日本ボディビル選手権9連覇など、日本のボディビルを牽引する存在です。それ以外にも、ゴールドジム研究所所長や読売ジャイアンツのフィジカルトレーナーなど、活躍の場が広がっています。
プロのボディビルダーとしては活動していないため、アーノルドクラシックにはアマチュア部門で出場しています。それでも、80kg級で2016年優勝・2017年2位の記録は快挙としか言いようがありません。特に、強豪がひしめく80kg級で優勝したことに大きな価値があります。
(鈴木雅については以下の記事も参考にしてみてください)
ボディビルダー鈴木雅とは?巨人との契約〜生い立ち、筋トレ・食事・サプリなど
出典: Slope[スロープ]
佐藤正悟
不動産会社社長やアパレルブランド経営者としての顔もある佐藤正悟ですが、日本のフィジーク界のパイオニアであることも忘れてはなりません。2015年からJBBFメンズフィジークで3連覇を果たしています。
アーノルドクラシックには、2017年のアマチュア部門クラスC(175㎝以下級)で優勝しました。フィジークでは日本人初の優勝となります。2020年にはIFBBのプロカードを取得し、日本人6人目のIFBBフィジークプロとなりました。
(佐藤正悟については以下の記事も参考にしてみてください)
フィジークIFBBプロ『佐藤正悟』を特集!生い立ち〜筋トレ&食事への考えまで!
出典: Slope[スロープ]
湯浅幸大
湯浅幸大は、前に紹介した佐藤よりも早く、2019年にIFBBフィジークのプロとなりました。日本人では4人目となります。かつてはボディビル競技にも出場し、東京オーブンなどで優勝しました。2つの競技を経験した知識を生かして、パーソナルトレーナーとしても活躍中です。
アーノルドクラシックには、2017年にアマチュア部門のフィジーククラスA(170cm以下級)で優勝しました。佐藤も2017年に優勝したので、同じ年にフィジークの日本人王者が2人誕生したことになります。つまり、彼も日本人初の快挙を達成した1人です。
(湯浅幸大については以下の記事も参考にしてみてください)
「フィジークIFBBプロ『湯浅幸大』を特集!生い立ち〜筋トレ&食事への考えまで!」
出典: Slope[スロープ]
秋山千香子
秋山千香子は2019年アーノルドクラシックのアマチュア部門に出場し、ウィメンズフィットネスクラスAで優勝しました。日本人女子がアーノルドクラシックで優勝したのは、彼女が初めてとなります。乳癌を克服して競技に取り組む彼女の姿を見て、勇気をもらった人は多いはずです。
アーノルドクラシックの歴代優勝者
アーノルドクラシックの主要種目であるボディビルとフィジーク。歴代優勝者にはビッグネームが名を連ねます。それぞれ見ていきましょう。
ボディビル
ボディビルは第1回のアーノルドクラシックから途切れることなく続いています。歴代優勝者(無差別級)は以下の通りです。
1989年:リッチ・ギャスパリ
1990年:マイク・アシュリー
1991年:ショーン・レイ
1992年:ビンス・テイラー
1993年:フレックス・ウィラー
1994年:ケビン・レブローニ
1995年:マイケル・フランソワ
1996年:ケビン・レブローニ
1997年:フレックス・ウィラー
1998年:フレックス・ウィラー
1999年:ナッサー・エル・サンバティ
2000年:フレックス・ウィラー
2001年:ロニー・コールマン
2002年:ジェイ・カトラー
2003年:ジェイ・カトラー
2004年:ジェイ・カトラー
2005年:デキスター・ジャクソン
2006年:デキスター・ジャクソン
2007年:ビクター・マルティネス
2008年:デキスター・ジャクソン
2009年:カイ・グリーン
2010年:カイ・グリーン
2011年:ブランチ・ウォーレン
2012年:ブランチ・ウォーレン
2013年:デキスター・ジャクソン
2014年:デニス・ウルフ
2015年:デキスター・ジャクソン
2016年:カイ・グリーン
2017年:セドリック・マクミラン
2018年:ウィリアム・ボナック
2019年:ブランドン・カリー
2020年:ウィリアム・ボナック
過去にはデキスター・ジャクソンが5度優勝するなど、複数回優勝した選手が目立ちます。過去のチャンピオンを破って優勝することがいかに難しいか、一目でわかるのではないでしょうか。
(デキスター・ジャクソンについては以下の記事も参考にしてみてください)
デキスタージャクソンを特集!生い立ち・トレーニング・食事・名言&画像集まで!
出典: Slope[スロープ]
フィジーク
フィジークは今や筋トレ愛好家などに大人気の種目ですが、アーノルドクラシックでは2015年からと、意外に歴史の浅い種目です。過去の優勝者は以下の通りとなっています。
2015年:サディック・ハゾビック
2016年:ブランドン・ヘンドリクソン
2017年:ライアン・テリー
2018年:アンドレ・ファーガソン
2019年:アンドレ・ファーガソン
2020年:アンドレ・ファーガソン
最初の優勝者であるサディック・ハゾビックなど、フィットネスモデルとしても活躍している選手が名を連ねています。そういったこともあり、この種目も注目度が高まるようになりました。
2021アーノルドクラシックの注目選手
ここからは、2021アーノルドクラシックの注目選手を紹介していきます。すでに実績のある選手ばかりなので、今のフィットネスシーンを代表していると言ってもいいでしょう。
ウィリアム・ボナック
ウィリアム・ボナックは、アーノルドクラシックにおいて、2018年から優勝・2位・優勝と抜群の成績を挙げています。2021年もボディビルで優勝候補の有力候補となるのは間違いありません。筋肉の大きさよりも、バランスやコンディションの良さでアピールするタイプです。
ガーナ出身で若い頃オーストラリアに移住したボナックは、移住先での生活に馴染めなかったのが原因で、ストレス発散のために筋トレを始めたと言います。しかし、その筋トレで後に世界を制したのですから、人生はわからないものです。身長170cmと、無差別級では小さい部類に入りますが、「ボディビルの未来」と称されるほど彼には大きな期待が寄せられています。
(ウィリアム・ボナックについては以下の記事も参考にしてみてください)
ウィリアムボナックとは?生い立ち・成績〜筋トレ・食事・私生活〜画像集まで紹介!
出典: Slope[スロープ]
マムド・エルスビエイ
例年ですとアーノルドクラシックは3月、もう1つのビッグイベントであるミスターオリンピアは9月に開催されます。2大大会の間隔が空いているため調整が難しく、選手はどちらかの大会に照準を絞って出場することがセオリーとなっていました。しかし、2021年は両大会とも年の後半に開催される模様で、どちらにもエントリーする選手が増えると予想されます。
ミスターオリンピアを主戦場としていた選手で、期待したいのは「ビッグラミー」ことマムド・エルスビエイです。2020年12月のミスターオリンピアで優勝した彼が、今度はアーノルドクラシックを目標とすることも考えられます。ケガからの復帰戦となった2020年3月のアーノルドクラシックでは3位に入り、次こそはと狙ってくる可能性はあるでしょう。
(ビッグラミーについては以下の記事も参考にしてみてください)
ビッグラミーとは?生い立ち・成績〜筋トレ・食事・私生活〜画像集まで紹介!
出典: Slope[スロープ]
アンドレ・ファーガソン
アンドレ・ファーガソンには、アーノルドクラシックのメンズフィジーク4連覇がかかっています。ボディビルでも4年連続で優勝というのはなく、もし達成すれば文句なしの大記録です。まだ獲得していないミスターオリンピアの方に力を注ぐ可能性もありますが、期待せずにはいられません。
記者会見の場での他選手との言い合いなど、何かとお騒がせな選手としても知られます。しかし、左右のシンメトリーがきれいな筋肉など、見るべきものが多い選手です。そんな彼も、ハードな筋トレや食事制限をせずに出場した大会で好成績を挙げたことがプロを目指すきっかけとなったので、動機というものは案外そういったものかと感じさせます。
(アンドレ・ファーガソンについては以下の記事も参考にしてみてください)
アンドレファーガソン特集!生い立ち〜筋トレ・食事・画像集まで紹介!
出典: Slope[スロープ]
今年からアーノルドクラシックに注目してみよう!
2021年のアーノルドクラシックは、秋頃の開催が噂されています。ですから、例年3月に開催される大会を見逃すところだった人にはまたとないチャンスです。この機会にアーノルドクラシックに出場するトップ選手たちの筋肉を見て、あなたの筋トレへの起爆剤にしましょう!