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前途した通り懸垂は、1回もできなくてもおかしくはないというほど難易度の高い種目です。体格差も大きく関係してくる小中学校の体育テストで実地してしまうと、調整力調査も不可能で行う意義が無いと議題になり廃止されました。
最も果敢にスポーツを行う高校年代でも平均回数が10回にも満たないことから、決して平均回数が低すぎるわけでは無いということがわかりますね。
(下記がスポーツテストから正式に外された際の資料です。)
旧スポーツテストの見直しn1999年(平成11年)を目処に、旧スポーツテストを全面改訂することになった。その大きな理由は以下の二点である。nn高齢化社会が進行する中、60歳以上の高齢者も参加できる安全性の高いテストが必要となったため。n学校五日制の実施にあわせ、テスト項目の削減・改訂による実施時間の短縮が必要となったため。nつまり、安全性の重視・種目と記録の妥当性・場所や計測法の簡略化が要求され、以下の項目が削除対象となった。nnジグザグドリブル – 調整力よりもドリブルの練習量に左右される。日常的に鞠つき遊びを経験していた女子のタイム基準が厳しい。n懸垂腕屈伸・斜懸垂 – 筋力不足で懸垂ができない対象者が多数あり、調整力調査すら不可能な種目である。n伏臥上体反らし – 実際は背筋力を用いた運動であり、柔軟性が反映されているとは言えない。n背筋力 – 肩や腰への衝撃が大きい。頑丈な背筋力計での怪我も無視できない。n走り幅跳び – 小学校低学年は立ち幅跳びで代用しており、生涯を通じて立ち幅跳びを継続することが望ましい。また天候に左右される屋外で実施せざるを得ない。n垂直跳び – 高齢者の場合、着地時の転倒や壁面への衝突が危惧される。n立位体前屈 – 体型の変化(長脚化)により記録は悪化傾向にある。腰への衝撃が大きい。n踏み台昇降運動 – 同時に実施していた持久走と相反する結果が頻繁に出るため、全身持久力指標運動といえるか疑わしい。
自衛隊の体力測定での懸垂の最低合格ラインが8回
自衛隊で行われる体力測定では懸垂の回数の最低合格ラインが8回とされています。厳しい訓練やサバイバルを耐え抜く為に相当な筋力が必要となる自衛隊ですが、最低合格ライン(=なんとかなる筋力)が8回とされていることからも平均回数の妥当性がわかります。
したがって、一般男性が8回以下だとしても全くおかしなことではありません。
懸垂の世界記録
懸垂の世界記録は『1分間で68回(男性)』『24時間で7600回(男性)』『24時間で3737回(女性)』となります。もちろんどんな競技でもこのような怪物級の人たちはいますが、その種目に特化した相当なトレーニングを積んでいるので一般人には参考になりません。この数値は、有名なプロスポーツ選手でも達成することはできないでしょう。
(懸垂の効果的な頻度や回数を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください。)
懸垂は毎日やると逆効果?効果的な頻度・回数〜正しいフォームを解説!
出典:Slope[スロープ]
懸垂の回数を伸ばすには正しいフォームの習得が近道
これまで解説してきたように懸垂は難易度が高く、背筋という大きな括りではなく実際に懸垂の練習をしなくては回数をこなせるようにはなりません。しかし、無闇に懸垂のトレーニングを重ねても腕が疲れてしまったり他の部位に負担がかかり回数が伸びない他、怪我のリスクも高まります。まずは回数に拘らず正しいフォームの習得に比重を置くことが回数を伸ばす近道となるでしょう。
それでは、懸垂の正しいフォームを簡潔に解説して行きます。
(背筋のトレーニングについては以下の記事も参考にしてみてください)
ワンハンドローイングのやり方!広背筋に効かせるコツ〜引く角度で変わる部位などを解説
出典: Slope[スロープ]
懸垂の正しいフォーム
▼懸垂の正しいフォーム
①手幅は肩幅の1.2〜1.4倍ほどでバーを握る
②バーと鎖骨の下がぶつかる辺りまで引き上げる
③降ろしきらず肩甲骨の内側に力が入った状態で止める
④動作を繰り返す
▼懸垂のコツ&注意点
・降ろしきると肩甲骨が開き、腕に負荷が入ってしまうので要注意
・首は真っ直ぐを意識し反り過ぎないこと
・広背筋を狙う場合は足を後ろで組むこと
・大円筋を狙う場合は足と頭を結んで真っ直ぐにする
(懸垂のやり方をもっと詳しくみたい方はこちらの記事を参考にしてください。)
懸垂(チンニング)の効果&やり方!できない人向け&腹筋・二頭筋など部位別のメニューも!
出典:Slope[スロープ]
懸垂が1回もできない方向けの練習メニュー
懸垂が1回もできなくて練習にもならないという方は、台などに乗りジャンプをして上体を上げてゆっくり降りるというネガティブという方法がおすすめです。その他にも、斜め懸垂やラットプルダウンで広背筋や大円筋の強化をするというトレーニング方法もありますが、懸垂は慣れも重要なので実際の動作にこの方法を継続するのがおすすめです。
ずーみー(泉風雅)
多くの人はいきなりプルアップはできませんのでゆっくり焦らず取り組んでいきましょう。
(懸垂ができないとお悩みの方は以下の記事も参考にしてみてください)