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ボディビルダーがステロイドを使用するようになったのはいつから? 歴史を解説
ボディビル業界では筋肉増強剤の一種であるアナボリック・ステロイドは副作用があり、公平性に欠けるため大会での使用を禁止されています。しかし隠れて使用されるケースが多く、問題になっています。今回はそんなアナボリック・ステロイドに迫ります。まずはアナボリック・ステロイドとその歴史についてご覧ください。
(ステロイドについては以下の記事も参考にしてみてください)
ボディビルダーのステロイド・ナチュラルの違い!ユーザーの真似はNG!
出典:Slope[スロープ]
アナボリック・ステロイドとは
アナボリック・ステロイドとは筋肉増強剤の一種で、男性ホルモンのアンドロゲンに近い構造を有する合成物質のことを指します。アナボリック・ステロイドを体内に投与することでタンパク質を取り込みやすくして筋肉量を爆発的に増やすことが可能です。
しかし筋肉を爆発的に肥大化させる効果がある一方で、精子の損傷、睾丸の萎縮、発がん性などの副作用が報告されています。また公平性に欠けるということからボディビル界やスポーツ界では禁止されています。
オリンピックの影響で誕生
東西冷戦が激化してくると東欧の東側諸国が国威発揚の場と化したオリンピックで結果を残すため選手たちにドーピングを組織的に行うようになります。それに対抗する形で諸外国がテストステロンの代替物としての合成薬の研究に着手します。1955年にアメリカの重量挙げの選手団の専属医によってアナボリック・ステロイドが生み出されました。
1960年代にはボディビルの選手の間でもアナボリック・ステロイドが浸透し始めます。そして1970年代にアーノルド・シュワルツェネッガーが活躍したことで世界的にボディビル人気が高まり、ボディビルダー同士の競争が激しくなると、アナボリック・ステロイドがボディビル業界に蔓延することになりました。
現在アナボリック・ステロイドは副作用があり、また公平性に欠けるため大会で禁止されている場合が多いですが、隠れて使用するケースが後を絶ちません。
ステロイドが無かった時代のボディビルダー画像!
アナボリック・ステロイドは1960年代からボディビル界に浸透し始めましたが、それ以前のボディビルダーはどのような肉体を持っていたのでしょうか。ここからはアナボリック・ステロイドがなかった時代に活躍したナチュラルな体を持つボディビルダーを見ていきましょう。
ユージン・サンドウ
ユージン・サンドウは近代ボディビルの礎を築いた人で、近代ボディビルダーの父と呼ばれています。古代から行われていた筋トレを科学的に体系化すると、それを元に書籍を執筆して販売し、理論を広めました。
他にも運動器具(マシンド・ダンベル、スプリング・プーリー、テンション・バンド)の発明・販売、トレーニングジム開設、そしてイギリス・ロンドンにて世界初のボディビル・コンテスト開催など数々の功績を残しています。ユージン・サンドウのスタイルは今でいう細マッチョですが、バランスよく鍛えられています。
(ユージン・サンドウについては以下の記事も参考にしてみてください)
ユージンサンドウはボディビルの祖先!生い立ち〜筋トレ・食事、画像集まで紹介!
出典:Slope[スロープ]
若木竹丸
若木竹丸は伝説の日本人ボディビルダーです。ユージン・サンドウの書籍に感銘を受けて肉体を鍛え上げ、自身のトレーニング理論を確立すると書籍を執筆し、多くの格闘家・武道家にウエイトトレーニングを指導するなど日本にウエイトトレーニングを広めました。
若木竹丸の全盛期の画像を見ると尊敬するユージン・サンドウよりも見事な肉体美であることが分かります。
(若木竹丸については以下の記事も参考にしてみてください)
伝説ボディビルダー『若木竹丸』を特集!生い立ち〜筋トレ&食事への考えまで紹介
出典:Slope[スロープ]
スティーブ・リーブス
スティーブ・リーブスはアメリカ出身のボディビルダー兼俳優です。史劇映画『ヘラクレス』で見事な肉体美を披露し、世界中にボディビルブームを巻き起こしました。アーノルド・シュワルツェネッガー、シルベスター・スタローン、ドウェイン・ジョンソンといったスターが影響を受けて俳優を志したと公言しており、史上最も影響力があるボディビルダーと言えます。
上の画像はスティーブ・リーブスの全盛期の姿ですが、バランスが良く鍛えられておりまるでギリシャ彫刻のようです。
(スティーブ・リーブスについては以下の記事も参考にしてみてください)
スティーブリーブス特集!ボディビルダー〜俳優の生い立ち、画像集まで紹介!
出典:Slope[スロープ]
チャールズ・アトラス
チャールズ・アトラスはイタリア生まれのアメリカ人ボディビルダーです。動物園の虎が伸びをしているところを見たときに、虎が筋トレ器具を使わずとも筋肉を発達させ、維持していることに気づき、トレーニング器具を使用せずに体を鍛えるダイナミック・テンション法を考案しました。
そのトレーニング法によって見事な肉体美を手に入れると、1921年にボディビル・コンテストで優勝して「世界で最も発達した男」と称され、人気者になりました。全盛期の画像を見ると脂肪がついているもののシックスパックの腹筋が見事です。
レオ・ロバート
レオ・ロバートは1950年代から1960年代の初頭にかけて活躍したフランス系カナダ人のボディビルダーです。全盛期にはアメリカでもっとも筋肉質な男と称されていました。主なタイトルは1955年のミスター・ユニバース優勝で、カナダ人として初めての優勝でした。全盛期のレオ・ロバートのスタイルは特に胸筋が大きくて迫力があります。
ジャック・デリンジャー
ジャック・デリンジャーは1940年代から1950年代にかけて活躍したアメリカ出身のボディビルダーです。現役時代はミスター・北カルフォルニア、ミスター・アメリカ、ミスター・ユニバースでの優勝を成し遂げています。上の画像は全盛期のジャック・デリンジャーの画像ですが、上半身が逆三角形で絵になります。
ジョン・グリメック
ジョン・グリメックは1930年から1940年にかけて活躍したボディビルダーです。1940年、1941年、1948年のミスター・アメリカ、1948年のミスター・ユニバースに輝き、無敗のままボディビルダーから引退しました。亡くなった翌年の1999年には現役時代の功績が評価され、IFBB(国際ボディビルダーズ連盟)に殿堂入りしました。
ジョン・グリメックの全盛期は二の腕の太さがまるでアニメのキャラクターのようですごいです。理想の腕と言えます。
ジュールス・ベーコン
ジュールス・ベーコンはアメリカ出身のボディビルダーです。主なタイトルは1943年のミスター・アメリカ優勝です。ジョン・グリメックは生涯の親友でした。ジュールス・ベーコンの全盛期の画像を見ると特にシックスパックの腹筋が芸術的に美しいです。
スティーブ・スタンコ
スティーブ・スタンコはアメリカ出身のボディビルダーです。1944年にミスター・アメリカ、1947年にミスター・ユニバースを獲得しました。重量挙げの選手としても活躍していて1938年の世界選手権で銀メダルを獲得しています。全盛期のスティーブ・スタンコの画像を見ると特に三角筋がすごかったことが分かります。
ロイ・ヒリゲン
ロイ・ヒリゲンはアメリカ出身のボディビルダーです。現役時代はミスター南アフリカで三連覇、ミスター・アメリカで優勝、ミスター・ワールドで準優勝を果たすなど数々の功績を残しました。そんなロイ・ヒリゲンですが、菜食主義者で肉をあまり食べたことがないとコメントしています。
全盛期のロイ・ヒリゲンの画像を見ると筋肉がきれいに鍛えられていることが分かります。菜食主義者でありながらこうした肉体を作り上げたのは驚異的です。
クラレンス・ロス
クラレンス・ロスはアメリカ出身のボディビルダーです。1945年にミスター・アメリカ、1947年のミスター・USA、1955年にミスター・ユニバース(トールクラス)で優勝しています。ミスター・USAではスティーブ・リーブスに勝っていますが、スティーブ・リーブスが負けた2人のうちの1人です。
全盛期のクラレンス・ロスは筋肉が大きく、とても迫力があります。ナチュラルでここまで鍛えられるのはすごいことではないでしょうか。
ステロイドが無かった時代はボディビルダーの筋トレ・食事も違った?
アナボリック・ステロイドがなかった時代はどのような筋トレと食事で筋肉を大きくしたのでしょうか。ここからはステロイドがなかった時代のナチュラルなボディビルダーの筋トレ・食事について紹介していきます。
(現代のボディビルダーの食事については以下の記事も参考にしてみてください)
ボディビルダーの食事メニュー例!増量・減量別に!真似はNG?危険な事例も!
出典:Slope[スロープ]
ステロイドが無かった時代の筋トレ
ユージン・サンドウのトレーニングメニューですが、腕はリストカールやバイセップカール、肩はショルダープレスやフロントレイズ、胸はダンベルフライやプッシュアップで鍛えていました。
スティーブ・リーブスのトレーニングメニューは肩はミリタリープレス、胸はベンチプレス、背中はデッドリフト、腕はバーベルカール、脚はパラレルスクワットなどを行っています。
またクラレンス・ロスはスーパーセット法を行っていました。昔のボディビルダーたちも今でもある種目やスーパーセット法で鍛えています。しかし当時は現代のように筋トレのマシンが充実していなかったので、ダンベルやバーベルを使用したフリーウエイトを中心に行っていました。
ステロイドが無かった時代の食事
スティーブ・リーブスは現在のトレーニーと同じように精製されていない食材を中心に食べていました。またトレーニングの前日にはトレーニングと筋肉生成のエネルギー源となるカーボ(炭水化物)の摂取量を増やしています。サプリメント・プロテインは当時からあったものの現在のように充実していなかったので食事から摂取する栄養を重視していました。
具体的な例を挙げると、炭水化物を摂取するためにジャガイモを食べたり、タンパク質を摂取するために全卵やステーキを摂取していました。
ステロイドが無かった時代のボディビルダーを見習おう
アナボリック・ステロイドがなかった時代のボディビルダーたちを紹介してきましたがいかがでしたか?見た目はとてもナチュラルでした。発がん性などの副作用があるアナボリック・ステロイドを使用せずに、昔のボディビルダーを見習って筋トレをし、マッチョを目指したいものですね。