薄筋のストレッチ&筋トレ!構造・作用〜膝・股関節の痛みの対処法まで解説

薄筋は内転筋群を構成する筋肉の1つです。あまり目立たない筋肉ですが、筋トレやストレッチをすることで骨盤のゆがみや腰痛の改善、太ももの引き締めなど様々な効果が得られます。今回はそんな薄筋の構造・作用やおすすめの筋トレ・ストレッチメニューなどを紹介します。

監修 |パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)
所属:早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー 経歴:2017全日本学生ボディビル優勝、JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、...
所属:早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー 経歴:2017全日本学生ボディビル🥇優勝、JOC日本ジュニアボディビル🥇優勝、2018全日本学生ボディビル🥈準優勝、関東学生ボディビル🥇優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙) 資格:NSCA SNS □TwitterYouTube

目次

  1. 薄筋の構造・作用
  2. 薄筋のストレッチ&筋トレをするメリット
  3. 骨盤のゆがみを予防する
  4. 腰痛の予防や改善
  5. 股関節や膝の動きの改善
  6. 鵞足炎の予防
  7. 太ももの引き締め
  8. 薄筋のストレッチメニュー
  9. 薄筋のストレッチ①
  10. 薄筋のストレッチ②
  11. 薄筋のストレッチ③
  12. 薄筋の筋トレメニュー
  13. 薄筋の筋トレメニュー①サイドランジ
  14. 薄筋の筋トレメニュー②アダクション(マシン)
  15. 薄筋の筋トレメニュー③アダクション(自重)
  16. 薄筋の筋トレメニュー④ワイドスクワット
  17. 薄筋の筋トレメニュー⑤ダンベルワイドスクワット
  18. 薄筋のストレッチ・筋トレをマスターしよう

薄筋の構造・作用

出典:https://www.godhand.biz/15172966439390

薄筋は内転筋群を構成する筋肉の1つです。起始停止についてですが、起始は骨盤の恥骨下肢の内縁で停止は鵞足部と呼ばれる脛骨粗面の内側となっています。また支配神経は閉鎖神経です。

薄筋の作用としては他の内転筋群と連動して、股関節の内転や内旋、また股関節の屈曲などが挙げられます。

筋トレメニューからみたい方はこちら

(内転筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)

内転筋の筋トレ&ストレッチメニュー!内ももに効果的な鍛え方のコツまで徹底解説

薄筋のストレッチ&筋トレをするメリット

あまり目立たない小さな筋肉の薄筋をストレッチしたり、筋トレするメリットは主に以下のようなものがあります。

・骨盤のゆがみを予防する
・腰痛の予防や改善
・股関節や膝の動きの改善
・鵞足炎の予防
・太ももの引き締め

それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。

骨盤のゆがみを予防する

骨盤には薄筋を含む内転筋群だけでなく、腸腰筋大腿四頭筋大腿二頭筋、臀筋群など数多くの筋肉が付いています。そしてそれぞれの筋肉の柔軟性や筋力によって骨盤は正常な状態を保っているのです。

しかし、薄筋のような目立たない筋肉でも柔軟性や筋力が落ちてしまうと他の筋肉とのバランスが崩れてしまいます。その結果、骨盤がゆがんでしまい、姿勢の悪化などを招いてしまうのです。

薄筋をストレッチやトレーニングで柔軟性や筋力を高めておくことはこういったバランスのくずれによる骨盤のゆがみを予防する効果が期待できるのです。ちなみに薄筋を含む内転筋を鍛えることは、多くの女性が悩んでいるO脚改善にも良い影響があります。

腰痛の予防や改善

薄筋を含む内転筋は股関節周りに付いていて、歩行などの動作において股関節の動きをサポートしています。この薄筋の動きがトレーニング不足などで悪くなってしまうと、股関節が上手く動かなくなってしまいます。そして股関節の動きが悪化するとその分の負担が腰にかかってしまい、腰痛を引き起こすことがあるのです。

このような原因による腰痛の予防や改善にも日ごろの薄筋のストレッチやトレーニングは良い影響を与えてくれます。

股関節や膝の動きの改善

薄筋は内転筋群の1つですが、他の内転筋を構成する筋肉とはある違いがあります。それは股関節と膝関節に同時に関わっている二関節筋であるという点です。そのため薄筋の柔軟性や筋力をアップさせれば、他の内転筋群の筋肉とは違って、股関節と膝の2つの関節の動きの改善効果も期待できるのです。

鵞足炎の予防

薄筋は先ほども解説したように骨盤から膝の鵞足部にかけてつながっています。そして薄筋が緊張して硬い状態になってしまうと、膝の鵞足部を強く引っ張って炎症起こし、痛みが出ることがあるのです。

この痛みのことを鵞足炎と呼びますが、薄筋をストレッチなどでほぐしていれば、引っ張る力も抑えられるためこの鵞足炎を予防する効果も期待できるのです。この鵞足炎はランニングにおける代表的な怪我の1つでもあるので、特に趣味などでランニングをしている人は薄筋を積極的にストレッチしておくべきだと言えるでしょう。

太ももの引き締め

薄筋を含む内転筋は太ももの内側に付いている筋肉群です。そのため薄筋をターゲットにしたトレーニングを行うことで、太ももの内側の引き締め効果も期待できます。

ただし、太ももの引き締め効果を得るためには適切な重量と回数でトレーニングする必要があります。後ほど具体的な数字を解説するので、興味がある方はしっかりとチェックした上で鍛えるようにしてください。

薄筋のストレッチメニュー

それでは次に薄筋のストレッチメニューを紹介します。柔軟性の向上はもちろん、肉離れなどの怪我の予防にもなるのでトレーニング前後や入浴後などのタイミングで取り入れてみてください。

薄筋のストレッチ①

最初に紹介するのは片足ずつ行う薄筋のストレッチです。体が硬い人でも行いやすいので初心者の方でも取り組みやすいでしょう。

▼薄筋ストレッチのやり方

①床に座ってストレッチで伸ばす足を45度開く
②反対の膝は曲げておく
③股関節から折りたたむように上半身を前方に倒す
④反対の脚も同様に行う

上半身を倒した時に10秒~30秒キープしましょう。そしてこの一連の動作を左右それぞれ3~5回繰り返してみてください。

▼薄筋ストレッチのコツ&注意点

・ゆっくりした動作で太ももの内側を伸ばすように意識する
・上半身を倒す時は背中が丸まらない様にする
・伸ばす方の足のつま先は前に倒さない
・曲げている脚は動かないように固定する
・伸ばす方の足のつま先はしっかり立てておく

このストレッチでも筋肉がつるような感じがして辛い方は薄筋を含む内転筋がガチガチになっている可能性があります。そのような場合はストレッチと合わせて筋肉のコリを緩めるための筋膜リリース等に取り組んでも良いでしょう。

薄筋のストレッチ②

次に紹介するのは両脚同時に薄筋を伸ばすストレッチです。開脚をより大きく開けられるように行われるストレッチとしても有名なので、やったことがある人も多いでしょう。

▼薄筋ストレッチのやり方

①床に座る
②膝を伸ばしたまま両足を大きく広げる

脚を広げた時に太ももの内側から膝の内側まで伸びるのを感じながら、20秒~30秒キープしましょう。そして合計で3~5回繰り返し行ってください。

▼薄筋ストレッチのコツ&注意点

・ゆっくり動作を行い、内ももが伸びるのを感じる
・足のつま先をしっかり立てる

薄筋は坐骨結節についているため、骨盤を後傾させます。つまり反対に骨盤を前傾させると薄筋がよく伸びるということなので、このストレッチをする時には骨盤の前傾もしっかりと意識してみてください。

薄筋のストレッチ③

仰向けで行う薄筋のストレッチです。足の重みを利用するのでリラックスした状態で行えます。

▼薄筋ストレッチのやり方

①壁際で仰向けに寝て、足を伸ばして壁に付ける
②両足同時に横に広げていく

脚を開いた時に付け根付近から太ももの内側まで伸びるのを感じながら10秒~30秒キープしましょう。そしてこの動作を3~5回繰り返し行ってください。

▼薄筋ストレッチのコツ&注意点

・足のつま先をしっかり立てたまま開脚する
・股関節に痛みがある場合は中止する

このストレッチでは脚を上げる時に胸に引き寄せてしまい、膝が曲がる方がいます。しかし、薄筋は膝関節屈筋であるため膝が曲がると伸び辛くなります。しっかりと伸ばすためにも、膝は常に伸ばした状態をキープしましょう。

薄筋の筋トレメニュー

それでは次に薄筋の筋トレメニューを紹介します。それぞれのメニューでの鍛え方のコツも解説するので、合わせてチェックしてください。

薄筋の筋トレメニュー①サイドランジ

サイドランジは直立姿勢から横方向に踏み込んで、腰を落とす動作を行うトレーニングメニューです。薄筋を含む内転筋だけでなく、大腿四頭筋やハムストリングス、臀筋群など太ももやお尻周りも鍛えられます。

▼サイドランジのやり方

①足を肩幅よりも大きく開いて立つ
②横方向に大きく踏み出して、腰を落とす
③蹴るように力を入れて立ち上がり、元の姿勢に戻る
④逆の足も同様に行う

バーベルなどを使う場合は筋トレの目的に合わせて重量や回数を調節してください。具体的には筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さがおすすめです。自重で行う場合は、正しいフォームを維持できる限界の回数をこなすのを基本とすると良いでしょう。

セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットが目安です。

▼サイドランジのコツ&注意点

・しっかりとお尻を落としてしゃがみ込む
・反対側の脚の膝は曲げないで真っ直ぐを維持する

トレーニング中に上半身が前後に傾いてバランスが崩れると負荷が逃げてしまいます。上半身は姿勢よく固定し、バランスが崩れないように気をつけてください。

(サイドランジのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

サイドランジの効果&やり方!内転筋を鍛えて短期間で脚痩せ!ダンベルなど応用メニューも

薄筋の筋トレメニュー②アダクション(マシン)

アダクションはマシンを使って脚を閉じる動作を行うトレーニングメニューです。薄筋を含めた内転筋群の作用である脚を閉じる動き自体が動作となっているため、薄筋を直接的に鍛えられます。

▼アダクション(マシン)のやり方

①股関節が動作軸上に来るようにマシンに座る
②内ももの力で両脚を閉じる
③元の位置に戻す

このメニューでは筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さがおすすめです。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼アダクション(マシン)のコツ&注意点

・パッドはストレッチが強すぎない範囲にセットする
・膝がつま先よりも内側に入らないようにする

薄筋を上手く鍛えるためには股関節を内側に回す内旋動作ではなく、太ももの内側で挟むような内転動作を行うことが重要なポイントになります。

(アダクションのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

アダクションやり方!短期間で美脚GET!脚痩せ効果UPのコツをマシン・自重別に解説

(動画で見たい方はこちら)

薄筋の筋トレメニュー③アダクション(自重)

これは先ほどのマシンを使ったアダクションを自重で行うトレーニングメニューです。特別な道具は必要ありませんので、自宅でいつでも始めることができます。

▼アダクション(自重)のやり方

①横向きに寝そべり、上側の脚を立てる
②下側の脚を上方向に持ち上げていく
③元の位置に戻す

自重によるこのメニューでは正しいフォームを維持できる限界の回数をこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットが目安です。

▼アダクション(自重)のコツ&注意点

・膝を伸ばした状態で動作を行う
・両腕は前に出し、上側の手は床について身体を支える

自重によるアダクションは動作の範囲が狭いので、負荷も高くありません。初心者や女性の方もぜひ気軽に挑戦してみてください。

薄筋の筋トレメニュー④ワイドスクワット

ワイドスクワットは足幅を広げた状態でスクワット動作を行なうトレーニングメニューです。自重でも十分に内ももに負荷をかけることができ、中級者や上級者であればバーベルで負荷を上げることもできます。

▼ワイドスクワットのやり方

①バーを担いで立つ
②足幅を肩幅より少し広めのワイドスタンスにする
③上体を倒しながらしゃがみ込み、立ち上がる

バーベルなどを使う場合は筋トレの目的に合わせて重量や回数を調節してください。具体的には筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さがおすすめです。自重で行う場合は、正しいフォームを維持できる限界の回数をこなすのを基本とすると良いでしょう。

セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットが目安です。

▼ワイドスクワットのコツ&注意点

・上半身を立てたまま動作をしない
・膝が内側に入らないように注意
・腰が曲がったり、反ったりさせない

ワイドスクワットでは通常のスタイルのスクワットと比べて股関節の屈曲が強調されるため、薄筋などの内転筋群により刺激を与えられます。またローバースタイルとなるので股関節伸展筋である大臀筋やハムストリングスなども十分に鍛えられるメリットもあります。

(ワイドスクワットのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

ワイドスクワットのやり方!脚痩せ効果UPのコツ!短期間で内もも・お尻が引き締まる!

(動画で見たい方はこちら)

薄筋の筋トレメニュー⑤ダンベルワイドスクワット

ダンベルワイドスクワットはダンベルを持って行うワイドスクワットです。バーベルとは違って、重心が低くなり動作が安定しやすい特徴があります。正しいフォームを覚えるのにも向いているので、初心者にもおすすめです。

▼ダンベルワイドスクワットのやり方

①ダンベルを胸の前で抱えて立つ
②足幅を肩幅より広げて、お尻を引いてしゃがむ
③ゆっくりと立ち上がり元の位置に戻る

このメニューでは筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さがおすすめです。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼ダンベルワイドスクワットのコツ&注意点

・常に膝とつま先の方向を一致させる
・上体が前傾しすぎないようにする

ダンベルワイドスクワットはダンベルの代わりにケトルベルを使うこともできます。

(ダンベルワイドスクワットのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

ダンベルスクワットのフォーム!重さ・回数など初心者でも下半身に効くコツを解説

薄筋のストレッチ・筋トレをマスターしよう

薄筋は内転筋群を構成する筋肉の1つです。目立たない筋肉ですが、筋トレなどをすると骨盤のゆがみの予防や腰痛の改善、ランニングでよく起こる鵞足炎の予防等のさまざまな効果が得られます。いずれかの効果に魅力を感じた方は、ぜひ今回紹介したストレッチやトレーニングメニューをマスターしてください。