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ケトルベルクリーンの効果がヤバイと話題に!やり方〜重量・回数まで解説!

2021年05月20日

ケトルベルトレーニングの基礎のひとつであるケトルベルクリーン。筋肉を鍛えられるだけでなく、ダイエット効果も期待できることで話題になっているのです。家でも気軽に挑戦できるケトルベルクリーンについて、やり方や重量・回数を詳しく解説していきます。

【監修】パーソナルトレーナー 高津諭

トレーニング指導歴22年。大阪・兵庫を中心に活動するパーソナルトレーニングを提供しています。現在、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会のマスタートレーナーとして、またJOTスポーツトレーナー学院の校長として後進の育成、指導にも尽力している。HP / ブログ / Twitter

ケトルベルクリーンの効果

金属の球体に取っ手がついた、やかんのような形状が特徴のケトルベル。筋肉を鍛えるトレーニングはもちろんのこと、ダイエットにも有用的であることが周知されるようになりました。今ではトップアスリートにとどまらず、トレーニーやダイエッターなど多くの層で注目されている話題のアイテムです。

数あるケトルベルトレーニングのなかでも、基礎となる定番の種目がケトルベルクリーンです。ケトルベルを上下させる単純な動作を繰り返すトレーニングですが、全身を刺激するため高い効果が期待できます。ケトルベルクリーンには、主に以下の4つの効果があるといわれています。

・腕・腰・裏もも・ヒップが鍛えられる
・瞬発力を高められる
・体幹・インナーマッスルを鍛える
・有酸素運動によるスタミナ向上と脂肪燃焼

それでは、ひとつひとつ詳しく見ていきましょう。

腕・腰・裏もも・ヒップが鍛えられる

出典:https://bukiya.net/blog/musclename/

ケトルベルクリーンは、スイングの反動や股関節を上げる脚の力を利用して、重量を持ち上げるトレーニングです。生じる反動は全身と連動して多くの筋肉を使うため、全身の筋肉を刺激します。なかでも、強い負荷がかかる部位は上腕二頭筋ハムストリングス大臀筋や、腰下部の筋肉です。

ケトルベルを股下から胸の位置まで持ち上げる動作で上腕二頭筋、かがんだ上体を垂直に起こすときに腰の筋肉が使われます。さらに、スクワットのように腰を上下させる動作ではハムストリングスや大臀筋が使用されているため、これらの筋肉を鍛えることができるのです。

瞬発力を高められる

ケトルベルクリーンは瞬発力を高める効果も期待できます。かがんだ姿勢から体を伸ばしてケトルベルを上まで持ち上げるときに、股・膝・足首の関節が伸展するトリプルエクステンションが発生します。

ケトルベルクリーンは重量を一気に持ち上げるため、一時的に爆発的なパワーが生じ、脚の関節や筋肉を刺激するのです。一連の動作を繰り返し行うことでトリプルエクステンションを鍛えられます。

トリプルエクステンションはジャンプやスプリントを行う際に欠かせない動作で、瞬発力に大きく関わっています。トリプルエクステンションの能力が高まれば、必然と瞬発力も向上するというわけです。

(ケトルベルの効果の真相については以下の記事も参考にしてみてください)

体幹・インナーマッスルを鍛える

やかんのような形状のケトルベルは重心と持ち手に距離があるため、ダンベルよりも不安定な状態でバランスを取るのが難しいアイテムです。不安定な状況下で振ったり持ち上げたりする動作を行うと、バランスを取ろうとインナーマッスル体幹の筋肉が働くため、コアが鍛えられます。

有酸素運動によるスタミナ向上と脂肪燃焼

無理なく続けるケトルベルクリーンは、呼吸を整えながら継続する有酸素運動に分類されます。筋肉を鍛えると同時に、有酸素運動によってスタミナ向上や脂肪燃焼の効果が期待できるのです。

呼吸が関係する有酸素運動は心肺機能を活用して行うため、継続することで心肺機能や筋持久力が鍛えられてスタミナ向上に繋がります。また、ケトルベルトレーニングは1時間の消費カロリーが一番多いといわれており、ダイエッターにとっても嬉しい効果を発揮します。

(ケトルベルの効果を実感した体験談については以下の記事も参考にしてみてください)

ケトルベルクリーンの正しいやり方

次に、ケトルベルクリーンの正しいやり方について詳しく解説していきます。股下からスタートして胸の位置でキャッチするためハードなイメージがありますが、股関節のスイングを利用するため意外と楽に行えるトレーニングです。

▼ケトルベルクリーンのやり方

①脚を肩幅まで開く
②ケトルベルを脚の間に置く
③前屈姿勢になり片手でケトルベルを持つ
④腕を体の後ろに軽く振る
⑤股関節と一緒に体を下げて反動で持ち上げる
⑥ケトルベルが腰の位置を通過したら肘を曲げる
⑦ケトルベルを胸の前でキャッチする

ケトルベルクリーンのやり方のポイントは、体と腕の動きを合わせてバラバラな動きにならないように気をつけることです。バランスを取りやすいように、まずは利き手からはじめてみましょう。

▼ケトルベルクリーンのコツ&注意点

・ヒップドライブで持ち上げることを意識
・肘を体に近づけてケトルベルをキャッチする
・手首の向きは内側→正面→外側になるように回転させる
・ケトルベルは親指の付け根・小指の外側・手首の付け根で支える

ケトルベルクリーンでは、ケトルベルを下から上に持ち上げるときに手首の向きが変わります。しっかりと肘を体に近づけて、手首を回転させるようにフォームを整えることで、スムーズで痛みを感じない動作となります。手首や腕が痛いという方は、手首を回転させるフォームを意識しましょう。

ケトルベルクリーンの重量・回数・セット数

ケトルベルクリーンの重量は、自分の筋肉量に合わせて選ぶのがベストです。市販のケトルベルは4~48kgまでの重量が販売されています。初心者の方は12~16kg、筋トレに慣れている方は16~20kg、アスリートレベルの方は24kg以上の重量を目安に選んでください。筋肉に自信がなく10kgでも厳しいという場合は、無理せずに4kgからスタートしましょう。

回数とセット数については、1セット10~20回を3セットほど行うのが目安です。回数とセット数も自身の筋肉量と相談して、物足りないと感じた場合は回数やセット数を増やして調節してください。持久力アップを狙うのであれば無理に重量を上げず、軽い重量で回数を増やすという方法もあります。

【応用編】ケトルベルクリーン&ジャーク

ケトルベルクリーン&ジャークは、クリーンの後にジャークの動作を追加で行うトレーニング。ケトルベルを胸から頭の上まで持ち上げるジャークは、脚に強いパワーが加わるため下半身を鍛えるのに最適な種目です。瞬発力を高められるというメリットがあります。

▼ケトルベルクリーン&ジャークのやり方

①ケトルベルクリーンの動作を行う
②クリーンで持ち上げたケトルベルを胸の前にセット
③膝を軽く曲げて腰を下ろす
④膝を伸ばすと同時にケトルベルを上までプッシュ
⑤ケトルベルを一度胸まで下ろし、スタート位置に戻す
⑥1~5の繰り返し

ケトルベルクリーン&ジャークの回数は1セット10回を2・3セットを目安に行ってください。ジャークの動作が加わることで腕や足腰に強い負荷がかかるため、重量は無理せずに軽いものからはじめましょう。はじめから重いケトルベルを使うと怪我の原因になります。

▼ケトルベルクリーン&ジャークのコツ&注意点

・脚の力を使って勢いよく持ち上げる
・ケトルベルが浮いたときに膝を少し曲げて、腕を真上に伸ばす
・肘はお腹に乗せる
・ケトルベルは肘より外に出さない
・腰を反りすぎない

ケトルベルを腕の力のみで上げようとすると、すぐに腕が疲れてしまい多くの回数をこなせません。腕の力ではなく、いかに脚のドライブを利用してプッシュするかがケトルベルクリーン&ジャークの大きなポイントです。

その他、ケトルベルクリーンの応用メニューもチェック

ケトルベルクリーンはケトルベルトレーニングの基礎となる動作です。クリーンに別の動作を追加した応用メニューがたくさんあるので、おすすめの応用種目を5つ紹介します。

ケトルベルクリーン&プレス

ケトルベルクリーン&プレスは、クリーンの動作の後にプレスの動作を行うトレーニングです。低い位置から頭の上まで持ち上げるため全身の筋肉を刺激します。肩と腕の筋肉を使って頭の上まで持ち上げるので、肩周りを鍛えたい方におすすめの種目です。

▼ケトルベルクリーン&プレスのやり方

①クリーンの動作をおこなう
②ラックポジションから、肩・腕の力でケトルベルを持ち上げる
③腕を耳の近くに持っていき、しっかりと肘を伸ばす
④腕をラックポジションに戻す
⑤ケトルベルをクリーンのスタート位置まで下ろす
⑥1~5を繰り返す

ケトルベルクリーンの後、ラックポジションから頭の上まで持ち上げるときは、体の中心からズレないようにまっすぐ上に上げましょう。回数は1セット10回を目安に、2・3セットを目指してください。重量は自身のトレーニング経験値に合わせて、徐々に重くしていきましょう。

▼ケトルベルクリーン&プレスのコツ&注意点

・クリーンの後は間を置かずにプレスに移る
・リズムよく一連の動作を行う
・脚と腰は使わずに、腕と肩の筋肉を使って持ち上げる

ケトルベルクリーン&プレスは、ケトルベルクリーン&ジャークによく似た動作のトレーニングです。異なる点はケトルベルを脚・腰で上げるか、肩・腕で上げるかの違いです。ケトルベルクリーン&プレスはラックポジションから肩と腕の力のみで持ち上げます。膝を曲げないように気をつけてください。

ケトルベルクリーン&フロントスクワット

ケトルベルクリーン&フロントスクワット(ゴブレット・スクワット)は、クリーンでケトルベルを胸まで持ち上げた後に、スクワットの動作を行うトレーニングです。深々と腰を下ろす動作が加わるため、太ももやお尻の筋肉により高い負荷をかけることができます。

▼ケトルベルクリーン&フロントスクワットのやり方

①クリーンの動作をおこなう
②胸の前でケトルベルを両手で抱える
③膝を曲げてお尻を深く落とす
④腰とお尻を上げる
⑤ケトルベルをスタート位置に戻す

動画ではケトルベルを2個使用していますがシングルでもOKです。シングルで行う場合は、右手左手で同じ回数・セット数を行って左右のバランスを取ってください。ケトルベルを使ったフロントスクワットは前に重心があるので、はじめから重いものを使うと姿勢が崩れてしまいます。軽い重量からスタートして、1セット20回を目安に3セット程度行いましょう。

▼ケトルベルクリーン&フロントスクワットのコツ&注意点

・ラックポジションでは腰を前に突き出さない
・まっすぐの姿勢を維持する
・お尻を落とした状態でも背筋はまっすぐ
・お尻を落とすときはかかとに重心を置く
・つま先から膝が出ないように気をつける

ケトルベルを使用したフロントスクワットは、バーベルと違って前に重心があるため体が前に傾きがちです。体がまっすぐの状態を維持して、クリーンからフロントスクワットの一連の動作を繰り返し行うことが大切になります。

(ケトルベルを使ったスクワットの効果については以下の記事も参考にしてみてください)

ボトムアップ・クリーン

通常のケトルベルクリーンと動作は同じですが、ボトムアップ・クリーンの場合はラックポジションでキャッチしません。持ち上げた後にケトルベルをしっかりと握り、顔の近くで持ち上げた状態をキープさせます。持ち上げた後も腕や体幹に力を入れたままになるため、握力や体幹の力を鍛えられます。

▼ボトムアップ・クリーンのやり方

①肩幅に脚を開く
②ケトルベルのグリップが横になるように、脚の間に置く
③前かがみになり、手の甲を正面に向けてグリップを握る
④ケトルベルを顔の前まで持ち上げる
⑤キャッチせずに持ち上げた状態をキープする
⑥ケトルベルをスタート位置に戻す

ケトルベルを持ち上げたらすぐに戻すのではなく、数秒間キープさせることで腕に負荷をかけることができます。回数は1セット10~15回を目安に3セット行いましょう。通常のケトルベルクリーンよりも腕にかかる負荷が高いため、腕の筋肉に自信がない方は一番低い4kgからはじめてください。

▼ボトムアップ・クリーンコツ&注意点

・ケトルベルを持ち上げたら、手の甲を側面に向ける
・脇を閉めて肘をしっかりと固定する

ケトルベルをデッドポジションから持ち上げるとき、腰を通過したあたりで手の甲を側面に向けるのがポイントです。脇を閉めて肘の位置を意識することで、腕の正しい部位に負荷がかかります。

ケトルベルデッドクリーン

ケトルベルデッドクリーンは、ケトルベルを床に置いて静止した状態からスタートします。通常のケトルベルクリーンとは違って、腕の反動やヒップドライブによる勢いを使用しないので、肩・腕・体幹の筋肉に強い負荷をかけられます。

▼ケトルベルデッドクリーンのやり方

①脚を肩幅まで開く
②脚の間にケトルベルを置く
③腰を下ろし前かがみになり、ケトルベルのグリップを握る
④ケトルベルを持ち上げて、ラックポジションでキャッチ
⑤ケトルベルを床まで戻す

回数とセット数は通常のケトルベルクリーンと同じく、1セット10~20回を目安に3セット行うのがおすすめです。初心者の方であれば4kgからスタートし、徐々に重量を上げてください。筋トレに慣れている方であれば、20kg前後を目安にケトルベルを選びましょう。

▼ケトルベルデッドクリーンのコツ&注意点

・腕を振らない
・ヒップドライブを利用しない
・ケトルベルのスタート位置は前すぎないように注意

必ずケトルベルが静止した状態からはじめてください。ヒップドライブや腕の反動を利用してしまっては、ケトルベルクリーンの動きと同じになり、デッドクリーンのような強い負荷で肩・腕・体幹を狙うことができません。

ダブルオルタネイティングクリーン(1カウント式)

ダブルオルタネイティングクリーンはケトルベルを2個使用して、左手と右手を交互にクリーンさせるトレーニングです。体をかがめることが難しくなるため、バックスイングによる反動が利用できません。そのため、腕の力だけで引き上げることになり、腕や肩を狙って強い負荷をかけられます。

▼ダブルオルタネイティングクリーンのやり方

①床にケトルベルを2つ置く
②脚を肩幅に開き、腰を落として前かがみになる
③右のケトルベルをラックポジションまで持ち上げる
④左は股のハングポジションにセット
⑤右を下ろすと同時に、左をラックポジションまで上げる
⑥左を下ろすと同時に、右をラックポジションまで上げる
⑦5と6を目標回数繰り返す

ダブルオルタネイティングクリーンはハードなパワートレーニングなので、1セットの回数は少なめに設定するのがおすすめです。1セット8~10回を目安に2セット行いましょう。ケトルベルを2個同時に使用するため、重量は通常よりも下げて挑戦してください。無理をしてしまうと手首を痛めてしまう原因になります。

▼ダブルオルタネイティングクリーンのコツ&注意点

・上半身をツイストさせるように動かす
・リズミカルに連続して行う
・腕の力だけでケトルベルを持ち上げる

ダブルオルタネイティングクリーンは両手を交互に上下させるので、動きに合わせて上半身をひねるとスムーズな動きが実現します。一連の動作は止めずに行うことが大切なので、疲れを感じたら無理をせずに休憩を挟みましょう。

(ケトルベルのトレーニングメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

ケトルベルクリーンを行う際のコツ&注意点

最後に、ケトルベルクリーンを行う際のコツと注意点を解説します。ケトルベルクリーンの効果を最大限に生かすために、以下のポイントに注意して取り組んでみてください。

・ヒップドライブで持ち上げる
・手首の向きに注意する

それでは、ひとつひとつ見ていきましょう。

ヒップドライブで持ち上げる

ケトルベルクリーンは腕の力やバッグスイングの反動だけに頼るのではなく、ヒップドライブで押し上げることが肝となります。ヒップドライブとは、しゃがんだ状態からお尻を持ち上げる動作のことで、スクワッド系のトレーニングでよく使われるものです。

ケトルベルクリーンの場合はスクワッドほど深くはしゃがみませんが、股関節を後ろに引いて前に突き出す動作で軽くしゃがむ必要があります。腕の力はケトルベルを持つだけの最小限の力で抑えて、ヒップドライブで持ち上げましょう。ヒップドライブを意識することで、ハムストリングスや大臀筋に強い負荷がかかります。

手首の向きに注意する

ケトルベルクリーンでは、ケトルベルの持ち方や手首の向きにも注意しましょう。ケトルベルトレーニングで、手首が痛いと感じてしまう方がいますが、ケトルベルの持ち方やフォームが正しくないことが原因で痛みを生じます。

ケトルベルクリーンでは、デッドポジションで手首を内側にひねり、ケトルベルが上がると共に手の甲が外側を向くように回転させるのが正しいフォームです。独自のフォームで行うと怪我に繋がるので注意してください。

ケトルベルクリーンを普段のメニューに取り入れてみよう

ケトルベルクリーンは全身の筋肉を鍛えられるだけでなく瞬発力や体幹の向上、ダイエット効果なども期待できるトレーニングです。ケトルベルクリーンの基礎を覚えて応用メニューに取り組めば、自分の目的に合わせてトレーニングが行えます。ケトルベルは家でも扱えるので、ぜひ自宅トレーニングでチャレンジしてみてください。