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「スティッフレッグデッドリフト」と「通常のデッドリフト」の違いは?
スティッフレッグデッドリフトは、通常のデッドリフトよりも集中的に太もも裏・お尻の筋肉に刺激を与えられるトレーニングです。今回はこのスティッフレッグデッドリフトで鍛えられる筋肉の部位や正しいやり方、得られる効果などについて解説します。効果を高めるポイントや他のバリエーションなども紹介するので合わせてチェックしてみてください。
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スティッフレッグデッドリフトで鍛えられる筋肉部位
スティッフレッグデッドリフトは太もも裏やお尻の筋肉を集中的に鍛えられる筋トレ種目です。具体的には以下の筋肉を鍛えられます。
・ハムストリングス
・大臀筋
それではここから1つずつどのような筋肉なのか詳しく見ていきましょう。
ハムストリングス
スティッフレッグデッドリフトで鍛えられる筋肉の1つはハムストリングスです。骨盤から膝下までの太もも裏に付いており、膝の関節を屈曲させる作用を持っている筋肉です。またお尻の筋肉とも共働して脚を後方に向かって上げる作用もあります。
(ハムストリングスの鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)
ハムストリングスの鍛え方!15種の筋トレ&コツ!自宅でできる自重メニューも多数!
出典:Slope[スロープ]
大臀筋
お尻の大臀筋もこのトレーニングで鍛えられます。大臀筋は骨盤を覆うように付いていて、股関節を伸展させ脚全体を後ろに運ぶ作用を持っています。
フォーム解説から見たい人はこちら(大臀筋などのお尻のストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
お尻のストレッチメニュー!硬い筋肉のコリを秒速でほぐすコツを大公開
出典:Slope[スロープ]
スティッフレッグデッドリフトで得られる効果
太もも裏の筋肉を鍛えるのに効果的なスティッフレッグデッドリフトでは以下のような効果を得られます。
・筋肉の柔軟性や筋力の向上
・ハムストリングスのバランスを改善
それではそれぞれの効果について順番に詳しく解説します。
筋肉の柔軟性や筋力の向上
スティッフレッグデッドリフトはハムストリングスや大臀筋をストレッチさせながら負荷をかけます。そのため筋力をつけながら、ハムストリングスなどの筋肉の柔軟性も同時に改善できるのです。
ちなみにハムストリングス・大臀筋が弱いとバーベルスクワットやデッドリフトを行う時に脊柱起立筋に負荷が逃げ、背中が丸まり姿勢が崩れます。しかし、スティッフレッグデッドリフトでハムストリングスなどを鍛えれば、背中が丸まりにくくなります。このように他の種目で正しい姿勢を維持できる効果も得られるのです。
ハムストリングスのバランスを改善
太もも裏のハムストリングスを鍛える時は膝を曲げるレッグカールなどが選ばれることが多いです。このような種目では膝を曲げて、筋肉を収縮するのに主に力を発揮します。ところが収縮メインの種目だけでは刺激が偏ってハムストリングスを最大限に成長させられません。
しかし、スティッフレッグデッドリフトでは筋肉を伸ばしながら負荷をかけます。そのためレッグカールなどの収縮メインの筋トレ種目と組み合わせればさまざまな刺激を与えられます。その結果、筋肉全体のバランスが改善され、最大限にまで成長させられるのです。
スティッフレッグデッドリフトの効果的なやり方
それでは次にバーベルを使ったスティッフレッグデッドリフトの正しいやり方を解説します。間違った姿勢・フォームでは効果が低くなったり、怪我の原因にもなります。そのようなことを防ぐためにもここで正しく効果的なやり方を確認しておきましょう。
①バーを上げる
まずは通常のデッドリフトと同様のフォームでバーを上げましょう。パワーラックから外して行っても構いません。足の幅は腰幅程度の狭めになるよう意識します。
ずーみー(泉風雅)
柔軟性に余裕があるのであれば、スナッチグリップ(画像2枚目)と呼ばれる手幅を広げた状態での握り方をしてみましょう。そうするとより深くストレッチ負荷を掛けることが可能になります。
②なるべく膝を曲げないようにバーを降ろす
続いて膝関節をなるべく動かさず、腰が曲がらないようにしながら骨盤を前傾させ、バーを地面に向かって降ろします。
③切り返す
バーが地面につく寸前、もしくはハムストリングスが十分にストレッチされたと感じるところで切り返し、骨盤を立てた元の位置に戻します。骨盤を立てる時のバーの軌道は垂直上向きで、身体のそばを通るのが理想的です。
ずーみー(泉風雅)
トレーニングの際には、通常のスクワットやデッドリフトも合わせて取り入れましょう。ただ、ハムストリングスが疲労すると腰が丸まりやすくなります。そのため通常のスクワットなどの前に行う場合はウォームアップ程度に留めておくようにしてくださいね。
スティッフレッグデッドリフトのコツ&注意点
スティッフレッグデッドリフトをより効果的に行うためには以下のようなコツや注意点があります。
①腰が曲がってしまう・痛い
②膝を完全に伸ばしきらない
③お尻の穴を後ろと下に交互に向ける意識を持つ
これらのコツや注意点を意識すればより安全で効果的な動作ができます。まずは①から順番に見ていきましょう。
①腰が曲がってしまう・痛い
スティッフレッグデッドリフトでよく起こる問題は腰が曲がる・痛むことです。これは以下のような理由で起こります。
・扱っている重量が重すぎる
・正しい姿勢を保てなくなる可動域で動作をしている
怪我を防ぐためにも扱う重量は身長に選んでください。そしてバーを降ろす時はハムストリングスが耐えられる範囲までに留めるように注意しましょう。
ずーみー(泉風雅)
股関節や太ももの骨の上部にある大転子を中心としたヒンジ運動がキープできる範囲で反復することが重要です。最初は自らの柔軟性に合わせた範囲で動くようにして、徐々に可動域を広げていくようにしましょう。
②膝を完全に伸ばしきらない
スティッフレッグデッドリフトはなるべく膝を曲げないで行う種目です。ただ、膝を完全に伸ばしきる必要はありません。なぜなら膝を伸ばすことにこだわりすぎると膝が逆向きに反ってしまう反張膝になり危険だからです。膝への負担を減らすためにも膝は無理のない範囲で伸ばしましょう。
③お尻の穴を後ろと下に交互に向ける意識を持つ
スティッフレッグデッドリフトの動作は股関節を中心に動かすと効果的です。しかし、中には言葉による説明だけでは正しい動作のイメージができない人もいるでしょう。
そんな人は「お尻の穴を後ろに向けていき、続いて下に向ける」という意識で動作を行ってみてください。腰の曲げ伸ばしでなく股関節を使った効果的な動作でバーを上げやすくなります。
ずーみー(泉風雅)
「腰の位置を高く保つデッドリフト」「膝の動きが小さいデッドリフト」といったイメージで自らの柔軟性に合わせた動作を行いましょう。
スティッフレッグデッドリフトの最適な重量・回数・セット数
スティッフレッグデッドリフトの効果を最大限に高めるには正しいフォームだけでは足りません。重量や回数、セット数などの負荷の調節も重要なのです。そこでこれからウエイトを使う場合と自重で行う場合のそれぞれで最適な重要や回数などについて解説します。
(筋トレのセット数・回数の最適解については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレのセット数・回数の最適解はコレ!目標別に成長効率を上げるコツを解説!
出典:Slope[スロープ]
バーベルやダンベルなどのウエイトを使う場合
バーベルなどのウエイトを使う場合、最適な重量や回数は目的によって変わります。筋力アップを狙うなら1~6回、筋肥大が目的なら6~12回、筋持久力を上げたいなら15回以上で限界になる重量を選びましょう。ちなみに筋肥大が目的の場合、限界まで行えば、高回数でも同等の効果を得られます。
ただ、どんな目的の筋トレでも効果を高めるためには正しいフォームを守った上で限界まで追い込むことが重要です。また怪我を防ぐためにもフォームが崩れるような重量は決して扱わないようにしましょう。
またセット数についてはトレーニングのレベルが上がるにつれて増やしていくのが基本です。具体的には初心者の場合は週に1回3セット、上級者の場合は週に2回6セットを目安に行うと良いでしょう。
自重で行う場合
自重で行う場合、正しいフォームを守れる上で限界の回数を追い込むのが基本的な考え方です。ちなみにこの後に解説する片足でのバリエーションを行えば、自重でも負荷を高められます。負荷が足りない人はぜひこのバリエーションで負荷を調整すると良いでしょう。
セット数についてはウエイトを使う場合と同じように初心者の場合は週に1回3セット、上級者の場合は週に2回6セットがおすすめです。
スティッフレッグデッドリフトのバリエーション
スティッフレッグデッドリフトにはバーベル以外にもいくつかのバリエーションがあります。それぞれ違うにメリットがありますので、余裕があればぜひチャレンジしてみてください。
①ダンベルスティッフレッグデッドリフト
ダンベルをバーベルの代わりに使うとより深いストレッチポジションから始められるメリットがあります。さらにバーベルよりも重心が不安定なので、バーベルとは違う刺激を筋肉に与えられるのも大きなメリットです。
また軽い重量でもできるので、バーベルのバーだけでも重たいと感じる初心者にもおすすめです。
▼ダンベルスティッフレッグデッドリフトのやり方
①ダンベルを持ち上げる
②なるべく膝を曲げないようにダンベルを降ろす
③切り返す
ダンベルを使う場合でも、重量・回数・セット数はバーベルの時と同様に設定します。具体的には筋力アップが目的なら1~6回、筋肥大が目的なら6~12回、筋持久力アップが目的なら15回以上で限界になる重量です。セット数は初心者なら3セット×週1回、上級者なら6セット×週2回程度が最適でしょう。
▼ダンベルスティッフレッグデッドリフトのコツ&注意点
・柔軟性のある人は深い位置までダンベルを降ろす
・バーベルと同じように腰は曲げないで行う
②スミスマシンスティッフレッグデッドリフト
スミスマシンを使うと軌道が固定されるため、動作が安定します。そして安定する分、股関節や筋肉の動きに集中できるというメリットがあるのです。フォームにばかり意識が向き、筋肉に効かせにくいと悩む人には特におすすめです。
▼スミスマシンスティッフレッグデッドリフトのやり方
①バーを上げる
②なるべく膝を曲げないようにバーを降ろす
③切り返す
重量・回数・セット数はバーベルの時と同様に設定します。具体的には筋力アップが目的なら1~6回、筋肥大が目的なら6~12回、筋持久力アップが目的なら15回以上で限界になる重量です。セット数は初心者なら3セット×週1回、上級者なら6セット×週2回程度が最適でしょう。
▼スミスマシンスティッフレッグデッドリフトのコツ&注意点
・軌道が斜めなら上げる時に背中に来る向きで使う
(スミスマシンの使い方については以下の記事も参考にしてみてください)
スミスマシンの使い方!初心者もわかるメニュー&やり方!向きに要注意?
出典:Slope[スロープ]
③片足スティッフレッグデッドリフト
片足で行うとバランスを取るために体幹部の筋肉の活動が増えるのが大きなメリットです。また片足だと脚への刺激が倍になる代わりに体幹部への負担は半分になります。そのため腰のねじれにさえ注意すれば腰を痛めにくいメリットも得られるのです。
▼片足スティッフレッグデッドリフトのやり方
①片足で立ってバーやダンベルを上げる
②軸足の膝をなるべく曲げないようにバーやダンベルを降ろす
③切り返す
重量・回数・セット数はバーベルの時と同様に設定します。具体的には筋力アップが目的なら1~6回、筋肥大が目的なら6~12回、筋持久力アップが目的なら15回以上で限界になる重量です。セット数は初心者なら3セット×週1回、上級者なら6セット×週2回程度が最適でしょう。
▼片足スティッフレッグデッドリフト足のコツ&注意点
・腰がねじれないように動作を行う
・ダンベルかスミスマシンで行う
スティッフレッグデッドリフトの効果を高める為のポイント
最後にスティッフレッグデッドリフトの効果を高めるために意識したい以下のポイントについて解説します。
・トレーニング用ストラップを使う
・栄養や休養も意識する
それではそれぞれのポイントについて1つずつ見ていきましょう。
トレーニング用ストラップを使う
スティッフレッグデッドリフトを行う時には握力の補助となるトレーニング用のストラップを使うのをおすすめします。なぜなら握力が足りなくなるとバーベルなどを握るのに意識が向き、フォームの崩れに繋がりやすくなるからです。
反対にストラップを使っていれば握力の消耗に気を使わずに動作に集中できます。バーベルなどウエイトを使う筋トレ全般にも活用できるので、興味があればぜひ取り入れてみてください。
栄養や休養も意識する
完璧なフォームでトレーニングができたとしても筋肉は最大限に成長しません。なぜなら筋肉を作るためには栄養素や休養も必要だからです。もし栄養管理などをしないとトレーニングの効果が低くなってしまいますので、栄養や休養も十分に確保するようにしましょう。
栄養摂取については1日に体重1kgあたり2gのタンパク質が目安です。またその他の炭水化物はタンパク質の倍の量、そして脂質は3分の1程度にするとバランスよく栄養が確保できます。
休養については睡眠時間が短いとホルモンバランスの乱れなどが原因で脂肪が減りにくくなったりします。また疲労が抜けにくくなり、筋トレの質が落ちるなどの悪影響もあります。こういった悪影響を無くすためにも毎日できるだけ長く睡眠時間を確保して、しっかりと休むようにしましょう。
スティッフレッグデッドリフトは下半身筋トレの追い込みに最適!
ここまでスティッフレッグデッドリフトの正しいやり方や効果を高めるためのポイントなどを解説しました。このトレーニングを継続すればハムストリングスや大臀筋が強くなるだけでなく、スクワットなどの姿勢維持やその他の脚の種目の強化にもつながります。ぜひ下半身のメニューに取り入れて、効果的に脚を鍛えていきましょう。
(一緒に行うべきメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
デッドリフトの正しいフォーム!種類別の効果UPのコツ&腰を痛めない注意点を解説
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