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小円筋とは?役割・鍛える効果は?筋トレ・ストレッチメニュー&やり方も解説

2020年04月25日

小円筋は、ローテーターカフ(回旋筋腱板)と呼ばれる肩周りの筋肉の一つです。小円筋のトレーニングを行うと、スポーツのパフォーマンス向上や肩こり、怪我予防など嬉しい効果があります。ここでは、小円筋の役割や鍛える効果を解説しつつ鍛え方やストレッチ方法を紹介します。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

小円筋の構造・作用

出典:https://ogw-media.com/medic/cat_rehabili/896

構造

肩を動かす回旋筋腱板のひとつである小円筋は、肩甲骨の外側から上腕骨に付着する筋肉です。回旋筋腱板とは、上腕骨をつないでいる4つの筋肉の総称で、小円筋、棘上筋棘下筋肩甲下筋の腱から形成されておりどれも重要な役割をしています。

作用・役割

小円筋は、主に肩関節を外旋する動きとない点させる作用をもちます。例えばドアを開ける、カーテンを引くなど、外向きに捻る動作は小円筋の働きによります。また、同じローテーターカフである棘下筋同様、野球の投球で振り下ろした腕にブレーキをかけるのも小円筋です。

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小円筋の筋トレ・ストレッチするメリット

肩周りの動きを司る小円筋。その構造と働きを理解したところで、次に小円筋を筋トレ・ストレッチするメリットを解説します。小円筋を鍛えたりストレッチをすることでえられる効果は以下の3つです。

①スポーツ時のパフォーマンスアップ
②肩こり予防や肩のケガ防止
③見た目アップ

それでは詳しくみていきましょう。

①スポーツ時のパフォーマンスアップ

小円筋は腕を外向きに捻る動きに関わる筋肉なので、鍛えることで腕や肩を使うスポーツ、特に野球やテニス、バレーボールで効果があるとされます。テニスにおけるバックハンドの強化には欠かせませんし、野球肩からくる痛みの防止にも小円筋の強化は効果があります。

小円筋を鍛えることによって腕がふりやすくなったり、腕をふるスピードが速くなったりするため、パフォーマンス向上につながります。

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②肩こり予防や肩のケガ防止

肩関節は人体の中で最も不安定な関節です。その関節を安定させる働きも小円筋は併せ持ちます。そこを鍛えることは肩関節の安定に繋がり、肩のケガや痛みを予防、改善します。また鍛えることによって外旋しやすくなり腕が正しい位置におさまる効果も。正しい位置に腕があることで、僧帽筋への負担が軽減され肩こりの予防や改善が期待できるでしょう。

③見た目アップ

同じ肩のインナーマッスルである棘下筋、棘上筋、肩甲下筋ともども小円筋を鍛えると、筋肉が盛り上がってがっちりとした肩周りとなります。そうなると同じ服を着ても見た目が変わってきますし、服の選択肢も増えてきます。

小円筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

鍛えるとさまざまなメリットが期待できる小円筋。効果が上がるトレーニングは、小円筋が収縮する動きを伴うものになります。家で手軽に出来る自重トレーニングから器具を使ったやり方まで紹介しますので、自分に合ったものをチョイスして下さい。

小円筋のトレーニング①タイプライタープッシュアップ

大胸筋上腕三頭筋三角筋の前部などを鍛えるプッシュアップ(腕立て伏せ)の一つ、タイプライタープッシュアップは、器具を使わずに小円筋も鍛えられるトレーニングです。ただし、大きな負荷がかかるので、女性や初心者は膝をついて行って下さい。

▼タイプライタープッシュアップのやり方

①床に膝を付けて腕立て伏せの状態を作る。膝から頭は一直線になるようにする
②手は肩幅2つ分ほど広げます。指先は、軽く外向きにして下さい
③この体勢で体を下げ、まず、左腕が伸びきるまで右胸を右肘に寄せます
④伸びきったところで、今度は逆に右腕が伸びきるまで左胸を左肘に寄せます
⑤その後、中央のポジションまで戻します

通常のプッシュアップ同様、正しいフォームをキープできる限界の回数を目安に行いましょう。最適なセット数についてはトレーニングのステータスによって変化させてください。具体的には初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にすると良いでしょう。

▼タイプライタープッシュアップのコツと注意点

・動作中、身体は一直線になるよう心がける
・身体を左右に動かす際は、肘を真横に動かすイメージで

正しいフォームで行わないと腰が浮いてしまい、負荷がかからずトレーニングの効果が上がりません。効果が感じられない方はもう一度フォームを見直してみましょう。

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ずーみー(泉風雅)

手首が痛いという方は手の平ではなく、手首の根元の方に重さを載せるようにするとよいかもしれません。プッシュアップバーを使うのも良いでしょう。

(腕立て伏せのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

小円筋のトレーニング②アームカール

ここからは器具を使ったトレーニングになります。まず紹介するのはアームカールです。肘を曲げることで上腕二頭筋を鍛えられるアームカールは小円筋の鍛錬にも有効で、マシンやバーベルなどの器具を使うパターンもありますが、ここではダンベルを使い立ったまま行うやり方を解説します。

▼アームカールのやり方

①立った状態で両手にダンベルを持ち両肘は脇腹に密着させる
②ダンベルの負荷を高めるため、小指が中央の位置でダンベルを握る
③片方のダンベルを上腕二頭筋を使って巻き上げ、手は内側に旋回させる
④最後はゆっくりとダンベルを下ろす

基本的に筋力アップ目的では1~6回、筋肥大目的では6~12回、筋持久力アップ目的であれば15回以上、限界がくる重量を扱うようにしましょう。初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。

▼アームカールのコツと注意点

・ダンベルは深くしっかりと握り、手首を反り返らせない
・筋肉により負荷をかけるため、肘は前に出さない。動かしても最小限に
・息は巻き上げる時、吐き出し、下ろす時、吸い込みます

左右交互にするオルタネイトスタイルは片方が動いている間、片方が休んでしまうデメリットがあります。左右同時に行う方法は正しくコントロールしなければ身体が前後にブレてしまいます。片方だけを動かし、片方のセットが終わったらもう片方する方法がおすすめです。

(アームカールのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

小円筋のトレーニング③ダンベルフライ

仰向けになってダンベルを横に開閉するダンベルフライも、小円筋を伸縮させるため有効なトレーニングの一つです。

▼ダンベルフライのやり方

①両手にダンベルを持ってベンチに仰向けに寝転がります
②ダンベルを向かい合わせに持って胸を自然に張ります。
③肩甲骨は寄せ、肩は後ろに
④肘を曲げたままゆっくりと、両方のダンベルを結んだ線が胸の高さに来るまで下ろします
⑤下ろした後は、ゆっくりと中央に戻します

基本的に筋力アップ目的では1~6回、筋肥大目的では6~12回、筋持久力アップ目的であれば15回以上、限界がくる重量を扱うようにしましょう。初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。

▼ダンベルフライのコツ&注意点

・肩甲骨をしっかりと寄せて胸をはって体幹の横アーチを作るようにしましょう
・おろした時のダンベルやハンドルは肘の少し外側に位置する程度にしましょう

効果が感じられない人はもう一度正しいフォームになっているのかを確認しましょう。回数よりも正しいフォームで行う事を意識しておこなってください。

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ずーみー(泉風雅)

肘の開き具合やグリップによっては、ダンベルを強く握りすぎてしまいます。このような状態でトレーニングすると、前腕や腕が疲れてしまうので注意しましょう。手の根元にダンベルを乗せるようにすると前腕は疲れにくくなります。

(ダンベルフライのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

小円筋のトレーニング④リアレイズ

三角筋後部に負荷をかけて鍛える種目のリアレイズも、小円筋に刺激を与える筋肉トレーニングです。先に取り上げたダンベルフライトは逆に、下を向いて取り組みます。

▼リアレイズのやり方

①ダンベルを握り、足は肩幅分程度開きます
②膝を曲げお尻を突き出しますが、その際、地面に対しての角度は30度くらいの深さです
③肘の曲げ伸ばしがあまり出ないよう意識しながらダンベルを上げます
④肩の高さまで上げたら、そこで少しだけホールドし、ゆっくりと下げます

ダンベルの重量は6回程度で限界が来るものが目安となります。オーバーワークに気を付け、週1回3セットがお勧めです。

▼リアレイズのコツと注意点

・肩甲骨は外に出した状態でロックする
・背中が丸まらないよう体幹と肩のラインでTの字を作る
・ダンベルを上げる時は「引く」イメージではなく、肘を軽く曲げたまま「回す」を意識

正面から見たフォームが正しいのか、パートナーに見てもらうのも効果を高めてくれます。正しいフォームで限界まで追い込むことを意識して取り組みましょう。

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ずーみー(泉風雅)

この種目では、三角筋後部の繊維の方向を意識しながら挙げていきます。ダンベルを上げれば上げるほど負荷が大きくなる収縮種目として、リアを動かす感覚が掴めます。軽く肩関節を外旋する意識を持つと、かなり強力な収縮感が得られるはずです。

(リアレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

小円筋のトレーニング⑤サイドレイズ

三角筋中部を鍛えるサイドレイズのうち、今回は小円筋を鍛えるためダンベルを使ったパターンを紹介します。

▼サイドレイズのやり方

①ダンベルを持ち、いかり肩で直立不動の姿勢を取ります
②次にダンベルを、外側に遠く開いていく動きを意識しながら上げます
③肩の高さまで上げたら、そこで一瞬停止
④脇に柔らかいボールを挟んでいるイメージで下ろし、下ろしきる前に止めます

この種目はモーメントアームが長いため、重い重量は持てません。初心者の方は2kgまでの重量でもキツイ可能性があります。回数は高回数気味の方がおすすめ。低回数しかできない重量を無理にもってしまうと僧帽筋の働きが悪くなります。15~20回くらいできる重量を目安にはじめましょう。

▼サイドレイズのコツと注意点

・ダンベルを上げる時は、上方向にあげるという意識よりも外側に遠く開いていく意識で行いましょう
・肘が主動で腕を上げると、肘に対してダンベルが動いていないので仕事量が小さくなります
・ダンベルはトップポジションで地面と平行で、肘と同じ高さに来るようにしましょう

ダンベルを真横に上げると肩甲骨が動き、効果が落ちてしまいます。正しいフォームで限界まで行うことを意識して取り組みましょう。

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ずーみー(泉風雅)

サイドレイズを行う際は、脇に柔らかいソフトテニスのボールを挟んだイメージを持ちましょう。こうすることで僧帽筋ではなく、三角筋軸の動きにすることができます。三角筋の動きを強調するため、あえて肩甲骨を動かさないようにするのがポイントです。

(サイドレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

小円筋のトレーニング⑥エクスターナルローテーション

エクスターナルローテーションとは「外側に回す」と言う意味の種目で、小円筋のような外旋する筋肉を鍛えるのにピッタリなトレーニングです。チューブとダンベルを使うバージョンがありますが、今回はダンベルを使ったエクスターナルローテーテーションのやり方を紹介します。

▼エクスターナルローテーションのやり方

①ベンチ台やマットを敷いた床に横向きに寝転がります
②ベンチ台(床)と接していない方の手でダンベルを握ります
③肘の位置は身体の真横から少しだけ斜め前で、90度に固定します
④水平に対して-45度から45度の間の、90度の範囲でダンベルを上げ下げします

基本的に筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量を扱うようにしましょう。しかし筋肥大に関しては限界まで行えば軽い重量の高回数でも同等の効果が得られます。

▼エクスターナルローテーションのコツと注意点

・肘が動くと三角筋の動きが大きくなり、トレーニングの効果が薄れます
・肘は身体の真横からやや斜め外前に出した位置で固定するようにしましょう

大きな動きで行うと肩や肘が動いてしまい、思ったような効果が期待できなくなります。効果を感じられない方は正しいフォームで行えているのかチェックしてみましょう。

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ずーみー(泉風雅)

負荷が大きすぎるとフォームが乱れ、アウターの三角筋などを使ってしまいがちです。しっかりとインナーマッスルである小円筋などを狙っていくため、比較的たくさんできる程度の負荷が理想です。

(エクスターナルローテーションのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

小円筋のストレッチメニュー

小円筋は筋肉トレーニングだけでなく、ストレッチでも鍛えられます。そこで、手軽に取り組めるストレッチのやり方を紹介します。

小円筋のストレッチ①スリーパーストレッチ

▼スリーパーストレッチのやり方

①床に引いたマットの上に、ストレッチしたい側を下にして横向きに寝転がる
②下になった腕を前方に出して肘を90度曲げ、もう一方の手でその手を支える
③手の甲を床に向け押し、ゆっくりと元に戻す

▼スリーパーストレッチのコツ&注意点

脇の下が十分伸びるよう、肩を床から浮かさないことがポイントです。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

小円筋をストレッチするとき、腕は挙上しておくと効果的です。腕と体が直角になる角度で行うようにしてください。

小円筋のストレッチ②クロスアームストレッチ

▼クロスアームストレッチのやり方

①直立もしくは椅子に座った体勢で背筋を伸ばす
②一方の腕を前方に肩の高さまで上げる
③上げた腕の肘に、もう一方の腕を引っ掛ける
④そのまま腕を身体に引き寄せ、30秒程度ホールドし、力を抜いてもとの姿勢に戻す

▼クロスアームストレッチのコツ&注意点

腕と一緒に上体も動くと効果が上がりません。上体の動きには注意する必要があります。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

上体を動かないようにするコツは、肩甲骨を背骨側に寄せることです。そのためにも、背筋をしっかり伸ばしながら行うようにしましょう。

小円筋のストレッチ③チューブを使ったストレッチ

▼チューブを使ったストレッチのやり方

①胸の高さ程度で机の前に座る
②一方ので手でチューブを掴み、もう一方の手は机の端で押さえる
③この体勢から肘や手首の角度を維持したまま、3秒かけて限界まで立てていく
④チューブが緩まないところまで、同じように3秒かけて戻す

▼チューブを使ったストレッチのコツ&注意点

・チューブが緩んでいないか確認する
・動作はゆっくりと

また、チューブが緩んでいたり、動作が速いと効果がありません。しっかりと負荷がかかるよう心がけて下さい。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

これは筋肉の収縮を利用したストレッチなので、小円筋を使わないと意味がありません。肘や手首で代償しやすいので、肘と手首は固定して肩を動かすようにしましょう。

小円筋を鍛えて筋トレ効果をUPしよう

小円筋は鍛えると、スポーツのパフォーマンスアップや肩関節の安定に伴うケガの予防など、様々な効果が認められます。また、小円筋をトレーニングすることは、同じローテーターカフである棘下筋なども刺激を受けます。ただし、インナーマッスルは繊細な筋肉なので、負荷をかけ過ぎると逆に痛めてしまいかねません。筋膜リリースなどでケアしながら、安全に取り組みましょう。