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自重の腕立て伏せは毎日やってもOK?
結論としては、自重の腕立て伏せであっても、筋トレとしての効率を最大化したいのであれば、毎日行うことは推奨されません。詳細は後述しますが、腕立て伏せは実のところウエイトトレーニングに分類される種目であるため、ウエイトトレーニングのセオリーである超回復理論にのっとり筋肉の回復する時間を考えていく必要があるためです。
目的別で見れば、筋持久力の向上、神経系の発達などを目的として毎日の高回数の腕立て伏せが有効あるいは必要となるケースはあるでしょう。しかし、本記事ではボディメイク目的でのウエイトトレーニングとしての腕立て伏せに焦点を当てています。そのため、今回は筋発達に最適な腕立て伏せのやり方、休息期間、メニューについて紹介していきたいと思います。
(腕立て伏せは回数をやれば効果が出るのかについては以下の記事も参考にしてみてください)
腕立て伏せは回数やれば効果出る?初心者向けにフォーム〜注意点まで解説!
出典:Slope[スロープ]
腕立て伏せで使う筋肉と超回復について
腕立て伏せで使う筋肉部位は、主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋です。以下にそれぞれの構造と作用について記載していきます。
大胸筋
大胸筋は腕立て伏せの動作時に使う主な筋肉の1部位で、腕を前に押し出す・閉じる動作、物を胸の前で抱える動作などに使われます。構造としては、上部・中部・下部に分かれており、腕立て伏せのやり方によっては、狙った部分にに集中的に負荷をかけることが可能となります。
大胸筋の筋トレ20選!急激にデカくなる鍛え方のコツをプロが解説
出典:Slope[スロープ]
上腕三頭筋
上腕三頭筋もまた腕立て伏せの動作で主に使用する筋肉です。二の腕の中で最も体積の大きい筋肉部位であり、主に肘関節の伸展動作に作用します。二の腕を引き締めたいときに主に狙うべき部位でもあります。
フォーム解説から見たい人はこちら(上腕三頭筋の筋トレ&ストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
上腕三頭筋の筋トレ&ストレッチメニュー!二の腕に効かせる鍛え方のコツも解説
出典:Slope[スロープ]
三角筋
肩の筋肉である三角筋もまた腕立て伏せで使用する筋肉の1部位です。前部・中部・後部に分かれており腕立て伏せでは主に前部が使われます。三角筋の前部は主に、腕を前に持ち上げる動き、肩関節の水平内転、大胸筋などとともに腕を前に押し出す動きに作用します。
(三角筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)
三角筋の鍛え方!肩が急激にデカくなる筋トレメニュー&ストレッチの方法を解説
出典:Slope[スロープ]
筋肉と超回復の関係
筋トレによって筋肉に負荷がかかると、筋繊維が傷つきます。その後、休息期間中に筋繊維が以前よりも太く回復しようとするため、筋肉が筋トレ前よりも大きくなるメカニズムを「超回復」と呼びます。厚生労働省では以下のように定義されています。
筋肉はレジスタンス運動を行うと筋線維の一部が破断されます。それが修復される際にもとの筋線維よりも少し太い状態になります。これを「超回復」と呼び、これを繰り返すと筋の断面積が全体として太くなり筋力が上がります。
引用元:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-092.html
この超回復理論は、器具を用いたウエイトトレーニングに関する理論であり、自重トレーニングである腕立て伏せには当てはまらないのではないかという意見も散見されます。しかし自重トレーニングはセルフウエイトトレーニングと呼ばれるウエイトトレーニングの一種に分類されるため、腕立て伏せもまたウエイトレーニングとして、超回復理論が当てはまる種目です。
ウェイトトレーニング(Weight Training)は、筋力トレーニングの1種目。バーベル、ダンベル、マシンまたは自重などを使い筋肉に負荷をかけ体を鍛えるトレーニング。主に筋力の増大、またはそれに伴う筋肉の増量などを目的とするトレーニングの総称。nn狭義にはバーベルやダンベル、専用のトレーニングマシンを使用したトレーニングであり、広義にはそれに自重を利用したトレーニングも含む。
また超回復の時間には筋肉部位の大きさに比例するとされており、腕立て伏せで使用される、大胸筋・上腕三頭筋・三角筋などの筋肉は、いずれも48時間程の休息期間が妥当であるとされています。
(超回復×筋トレの理論については以下の記事も参考にしてみてください)
超回復×筋トレの理論!時間・筋肉痛・頻度・プロテイン・食事との関係性など徹底解説!
出典:Slope[スロープ]
超回復前に毎日腕立て伏せをするとどうなる?
筋肉痛が残っているときに、その痛む筋肉部位を筋トレで鍛えてもよいのでしょうか?nn答えはノーです。nnなぜならば、筋肉の発達にもっとも重要な「超回復」と呼ばれる生体反応を妨げてしまうからです。nn超回復が完了しないままトレーニングを続けると、筋肉は目的とは裏腹に細く弱くなってしまいます。
上記引用文のように筋トレにおいては超回復前にトレーニングを行うことは、逆効果とされています。自重の腕立て伏せであっても筋肉痛になるほどターゲットの筋肉を追い込んだあとは、休息期間を設けるべきでしょう。また筋肉痛がなくとも疲労感を感じるときは、トレーニングを控えるのが賢明であると思われます。
筋肉痛が治らないほどの過剰な頻度で腕立て伏せを行なってしまった場合、筋発達が妨げられるだけでなく、肘、手首といった関節への負担、集中力の低下などの弊害が考えられます。これらの状態でトレーニングを行なった場合、フォームの乱れやケガに繋がることがあるので、ちゃんと身体を回復させる期間を設けてから次のトレーニングに臨んだほうが良いでしょう。
様々な部位を鍛えられる腕立て伏せの種類
腕立て伏せには様々なバリエーションがあり、種目によっては特定の部位に集中的に負荷を与えることができます。ウエイトトレーニングとしての腕立て伏せで大切なのは、「100回やろう」などと回数にこだわるのではなく、正しいフォームで限界まで追い込むことです。また、追い込んだ部位に合わせた回復時間を取るようにするとより筋トレの効率が上がります。
①腕立て伏せ(大胸筋/上腕三頭筋/三角筋前部)
最もオーソドックスな腕立て伏せのやり方です。手幅は肩幅の1.3〜1.5倍程度まで取り、横から見た際に手、肩、足が直角三角形の形になるようにしましょう。この体勢から身体を一直線に保ったまま下げていき、床すれすれまで下げたら元の姿勢に戻るという動作を繰り返していきましょう。
主に大胸筋、上腕三頭筋、三角筋の前部などの「押す筋肉」を鍛えられる種目です。動作中は身体を一直線に保ち続け、下ろすときに肩甲骨をしっかりと寄せることを意識するのが、ターゲットとなる筋肉に負荷を与えるコツです。いずれの筋肉も追い込んだ後は、48時間程休息期間を取るようにしましょう。
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②膝つき腕立て伏せ(大胸筋/上腕三頭筋/三角筋前部)
膝つき腕立て伏せは、通常の腕立て伏せを膝立ちで行うことで負荷を下げて行う方法です。通常の腕立て伏せを行うのが厳しい方や二の腕を引き締めたいという女性におすすめの筋トレと言えるでしょう。加えて通常の腕立て伏せが限界になった時に膝つき腕立て伏せに移行して、さらに追い込んでいくといったやり方もできます。
通常の腕立て伏せとほぼ同じ部位を鍛えることができます。膝をついた場合でも膝から頭までを一直線に保ち続け、肩甲骨をしっかり寄せて動作を行いましょう。基本的に通常の腕立て伏せとの違いは、膝をつくかつかないかだけです。膝が痛い時はヨガマットなどを膝の下に敷くのが良いでしょう
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③ワイドプッシュアップ(大胸筋/三角筋前部/広背筋)
通常の腕立て伏せよりも広い手幅で行うのがワイドプッシュアップです。通常の腕立て伏せのフォームからさらに手幅を広げていき、親指を人差し指から少し離して、両手を八の字型に開くのが正しい姿勢となります。体を下ろす時は肩甲骨を柔軟に使い、鎖骨の中心から勢いよく胸を開いていくイメージで行いましょう。
通常の腕立て伏せよりも肘の伸縮の動きが小さくなる代わりに、肩関節の動きがより大きくなります。肩関節が大きく動くことにより上腕三頭筋への負荷は小さくなりますが、その代わりに大胸筋への負荷が大きくなります。これらの要素から通常の腕立て伏せよりも大胸筋によりフォーカスした種目といえるでしょう。また広背筋にも多少の負荷が入る種目でもあります。
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④ナロープッシュアップ(大胸筋中部(内側)/上腕三頭筋/三角筋前部)
ナロープッシュアップは通常の腕立て伏せよりも狭めの手幅で腕立て伏せを行う筋トレです。基本的な腕立て伏せの姿勢から手幅を肩幅程度まで狭めて腕立て伏せの動作を行います。体を下ろす時は、脇をしめて肘を畳みながら下ろすように意識しましょう。元の姿勢に戻る時に小指側に力を入れて体を持ち上げると上腕三頭筋に刺激が入りやすくなります。
ナロープッシュアップは、大胸筋よりも上腕三頭筋に負荷が入る種目です。そのため上腕を集中的に鍛えたいという人は、ナロープッシュアップを取り入れていくと良いでしょう。加えて脇をしめて動作を行う関係上、大胸筋の内側に刺激が入りやすくなります。そのため、大胸筋の内側にフォーカスして鍛えたいという人にもおすすめできる種目です。
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⑤ダイヤモンドプッシュアップ(大胸筋/上腕三頭筋/三角筋前部)
ダイヤモンドプッシュアップは、手をひし形にして接地させた状態で腕立て伏せの動作を行う種目です。ナロープッシュアップよりもさらに手幅を狭めて行う種目であり、効果が高くなるのに比例して難易度も高くなります。体を下ろした時に肘が痛むという問題がよく見られるので、最初は無理に可動域を広げないようにし、徐々に肘を畳んでいけるようにしましょう。
ナロープッシュアップと同じく大胸筋よりも上腕三頭筋にフォーカスした種目ですが、こちらの方がナロープッシュアップよりもさらに上腕三頭筋への負荷を高めることができます。ナロープッシュアップに慣れてきたら、次のステップのトレーニングとして挑戦してみると良いでしょう。
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⑥デクラインプッシュアップ(大胸筋上部/上腕三頭筋/三角筋前部)
デクラインプッシュアップは、椅子やベンチなどの台に足を乗せて行う腕立て伏せです。足を高くあげることで通常の腕立て失せよりも多くの負荷をかけて筋肉を鍛えることができます。加えて通常の腕立て伏せとは違った部分により強く負荷をかけることができるトレーニングでもあります。動作中はしっかり体を一直線に保ちましょう。
通常の腕立て伏せとほぼ同じ部位が鍛えられますが、デクラインプッシュアップでは、大胸筋の上部により負荷を与えルことができます。大胸筋上部は器具を用いなければ負荷を与えるのが難しい部位であるため、自重で大胸筋上部に負荷を与えられる珍しい種目でもあります。器具を使わず自重で大胸筋上部を鍛えたい方におすすめの種目といえます。
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⑦インクラインプッシュアップ(大胸筋下部/上腕三頭筋/広背筋)
インクラインプッシュアップは、デクラインプッシュアップとは逆に手を台の上に乗せて腕立て伏せを行います。通常の腕立て伏せよりも動作が容易であるので、通常の腕立て伏せの前のステップとして取り入れても良いかもしれません。
インクラインプッシュアップでは大胸筋の下部にフォーカスして負荷を与えることができます。また、広背筋を意識しながら肘を限界まで曲げることで広背筋にも負荷を与えることができます。広背筋に関しては超回復までの時間の目安が72時間とされているので、もしある程度追い込んだと感じたら大胸筋や上腕三頭筋よりも1日ほど長く休息期間を取りましょう。
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⑧パイクプレス(上腕三頭筋/三角筋前部)
パイクプレスは、槍(パイク)のようにお尻を突き出すフォームが名前の由来となった、腕立て伏せの変形版のような動作のことをいいます。体幹部と脚が90°くらいになるようにして、ショルダープレスの動きに近いかたちで体の上下動作を行います。膝の曲げ伸ばしの力を使ってしまうと脚に負荷が分散されてしまうので、動作中は脚をまっすぐに保ちましょう。
パイクプレスは、腕立て伏せのバリエーションの中では特に肩の筋肉にフォーカスした種目であり、三角筋の前部に負荷を集中的にかけることができます。肩の筋肉を集中的に狙いたい方は、パイクプレスを取り入れると良いでしょう。
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⑨ヒンズープッシュアップ(大胸筋/上腕三頭筋/三角筋前部/僧帽筋/広背筋/腹筋)
ヒンズープッシュアップは、インド式レスリングの鍛練法をルーツにもつ腕立て伏せの変形版です。パイクプレスのような体勢から地面すれすれに体を通し、肘を伸ばしながら斜め後方に体を戻していくという動きを繰り返します。ちょうど体を前方にぐるぐると回しているように見えるのが特徴です。
通常の腕立て伏せと同じく、大胸筋や上腕三頭筋を主に鍛えられますが、僧帽筋、広背筋、腹筋など体幹部の筋肉もくまなく鍛えることができます。腕立て伏せのバリエーションの中でも全身運動としての趣が強い種目といえるでしょう。
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⑩リバースプッシュアップ(上腕三頭筋/三角筋前部/広背筋)
リバースプッシュアップもまた腕立て伏せの変形版の一つです。フラットベンチに後ろ手に手をつき身体の上下動作を行なっていきます。動作中は反動を使わないように注意しましょう。膝は基本的に真っすぐに保ちますが、負荷を弱めたいときは、膝を曲げて行うという方法もあります。
通常の腕立て伏せと比較すると、大胸筋ではなく上腕三頭筋、三角筋、広背筋を集中して鍛えることができます。自重で広背筋を鍛えるための懸垂の代替種目として取り入れてみても良いでしょう。
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「腕立て伏せを毎日行って良いのか」という疑問を超回復の観点から解説してきました。ボディメイク目的で腕立て伏せに取り組むのならば、ウエイトトレーニングの理論に基づいて、超回復のための休息期間を設けるのが最適です。毎日追い込むほどの腕立てを行なってしまうと、筋発達に効果ないばかりかケガの原因ともなってしまいます。
自重で様々な部位を鍛えられる腕立て伏せのバリエーションについても紹介してきました。いずれの種目を行うにしても、筋肉を追い込んだ後は、一定時間の休息期間を設けるように心がけてください。最適な頻度の腕立て伏せによって、理想の肉体への最短ルートを駆け抜けていきましょう。
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