回外筋の構造・作用
回外筋は前腕の筋肉のひとつです。あまり大きくなく、名前もそれほど知られていない筋肉ですが、腕を動かすうえでは重要な役割を担っています。
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回外筋は肘付近の深層にある筋肉です。支配神経は橈骨神経で、表層の部分には尺側手根伸筋などがあり、拮抗筋には円回内筋と方形回内筋があります。
回外筋のある前腕は屈筋群と伸筋群に分けられ、回外筋が属するのは伸筋群です。前腕伸筋群は手首の関節の背屈(伸展)に作用する筋肉の総称で、他には腕橈骨筋・橈側手根伸筋・尺側手根伸筋などがあります。
(尺側手根伸筋の筋トレ&ストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
尺側手根伸筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説
出典:Slope[スロープ]
作用・役割
回外筋は、上腕二頭筋や腕橈骨筋とともに前腕の回外(手の甲を上にした状態から手のひらを上にする動き)に作用しています。この作用においては上腕二頭筋につぐ貢献度のため、かなり重要な筋肉と言えます。また、肘関節を動かす役割もあります。
なお、回外筋の中は後骨間神経という運動神経が通り抜けています。そのため、回外筋を酷使して神経障害が起こると、肘の痛みなどが生じることがあります。
(上腕二頭筋の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
上腕二頭筋の筋トレメニュー!急激に力こぶを発達させる鍛え方のコツを解説
出典:Slope[スロープ]
回外筋の筋トレ・ストレッチをするメリット
回外筋は、上腕二頭筋などとともに前腕の回外動作を行う筋肉です。この動きは、テニスやバドミントン、ゴルフ、バレーボールなど幅広い種目で必要とされるため、筋トレで回外筋を鍛えることによりさまざまなスポーツでのパフォーマンス向上が期待されます。
また、回外筋は使いすぎると肘が痛くなったり、指が動かなくなったりする可能性があります。ストレッチで筋肉をほぐしてあげることにより、これらの症状を回避することができます。
回外筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ
回外筋は上腕二頭筋などと同じく前腕にある筋肉で、前腕伸筋群に分類されています。ここでは、その前腕伸筋群に効果的な筋トレを中心に、回外筋に効果がある種目を解説します。
回外筋のトレーニング①ラジアルフレクション
ラジアルフレクションは、ダンベルなどの片側を掴んで手首で持ち上げる種目です。手首を背屈したり橈側に側屈したりする筋肉を鍛えていくことができます。
▼ラジアルフレクションのやり方
①ダンベルを持って直立する
②手首を曲げてダンベルを上に上げる
③ダンベルを下げる
ラジアルフレクションの最適な回数は、筋トレの目的によって変わります。筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上を目安に行ってください。重量は、その回数で限界がくるものを使用します。
セット数は、トレーニングのステータスに応じて設定してください。初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットがおすすめです。
▼ラジアルフレクションのコツ&注意点
・手首を動かす関節を鍛えるため、肘は曲げず、腕をぶら下げたまま行いましょう
ダンベルを使った方法を紹介していますが、ダンベルがなければ、トンカチのように重心が手の位置から離れている棒状のものでも行えます。
ずーみー(泉風雅)
ラジアルフレクションは、重い重量で低回数行うよりも、軽い重量で高回数行う方がおすすめです。軽いダンベルを使用し、スピードを上げて行うことで、スポーツ動作などにも繋げやすいでしょう。
(ラジアルフレクションの効果&やり方については以下の記事も参考にしてみてください)
ラジアルフレクションの効果&やり方!前腕を太くする筋トレのコツを解説
出典:Slope[スロープ]
回外筋のトレーニング②リバースカール
リバースカールは腕橈骨筋や上腕筋を鍛える種目です。前腕の筋トレとして知られるリストカールとは逆に、手の甲を上にしてバーベルやダンベルを持って行います。前腕の太さを強調したい人におすすめです。
▼リバースカールのやり方
①立った状態でバーベル(ダンベル)を順手で持つ
②肘を曲げてバーベル(ダンベル)を持ち上げる
③元の位置に下げる
リバースカールの最適な回数は、ラジアルフレクションと同様に筋トレの目的によって決めましょう。筋力アップのためなら1~6回、筋肥大のためなら6~12回、筋持久力アップのためなら15回以上が目安です。重量も同じく、その回数で限界がくるものを扱いましょう。
セット数も同じように、筋トレ初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。
▼リバースカールのコツ&注意点
・手首の関節が下に曲がらず、あおり上げないで扱える重量を用いましょう
・ストレートバーを使うと前腕により大きな刺激を与えられます
・持ち上げるときに肘が前に出ないように注意してください
ダンベルを使用するときは、手首が楽なほうに流されないように気を付けてください。
ずーみー(泉風雅)
バーベルが重くて上げられないときは、まずは重量を見直してください。間違ったフォームで無理に行うと、ケガをするおそれがあります。また、ドラッグカールのように肘を後方に引くやり方で行うのもおすすめです。
(リバースカールのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
リバースカールのやり方!プロ直伝の前腕・上腕筋を『極太』にするコツを解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
回外筋のトレーニング③スピネーション
スピーネーションは前腕の筋肥大が狙えるトレーニングです。前腕を外側にひねることにより、回外筋や上腕二頭筋を鍛えることができます。ダンベルのほか、ハンマーバーでもトレーニングできます。
▼スピネーションのやり方
①地面と平行になるようにダンベルを持つ(手の甲を上にする)
②ダンベルを持ったほうの腕をベンチに置く
③ダンベルが地面と垂直になるように動かす
④ダンベルを元に戻す
左右それぞれ10〜15回を3セットほどを目安に行いましょう。
▼スピネーションのコツ&注意点
・スタートポジションでは手の甲を上に向け、ダンベルは地面と平行にしましょう
・ダンベルは端のほうを持ちましょう
・ダンベルを持っていない方の手でダンベルを握った方の肘を固定します
・ダンベルを動かすときは、肘を動かさずに手首だけをひねるようにします
動作中に痛みを感じた場合はすぐに筋トレを中止してください。無理に続けると腕を痛める可能性があります。
回外筋のトレーニング④アームツイスト
両方の手にそれぞれダンベルを持って腕をひねる動作を行います。前腕を内側にひねる動きと外側にひねる動きを同時に行うことができます。
▼アームツイストのやり方
①両手にダンベルを持って肘を曲げる
②前腕をひねってダンベルを振る
アームツイストの最適な回数は、筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上です。重量は、その回数で限界がくるものを使用しましょう。セット数は、初心者なら週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安に行ってください。
▼アームツイストのコツ&注意点
・肘は直角に曲げましょう
・ダンベルを動かす方向は左右に揃えず、内側・外側に向けるようにしましょう
負荷がきついと感じたら無理せず軽めのダンベルに持ち替えるなどし、重すぎる重量を扱わないようにしましょう。
回外筋のストレッチメニュー
ストレッチは身体の痛みのケアとしても行われています。回外筋は神経(後骨間神経)が突き抜けており、この神経に障害が起こると肘の痛みや指が伸ばせないといった症状が出ることがあります。この神経障害は、回外筋を酷使すると発症する可能性があります。間違った方法での過度なトレーニングはやめましょう。
また、筋肉は日常の動作でも疲弊してしまいます。筋トレだけでなくストレッチも行い、手首・肘の関節や筋肉をケアしてください。
回外筋のストレッチ①
腕橈骨筋・回外筋・橈側手根屈筋を狙ったストレッチを解説します。肘と手首の筋肉をほぐし、疲労回復などの効果が期待できます。
▼肘と手首のストレッチのやり方
①片方の手のひらを上向きにする
②親指をもう片方の手で握る
③親指を引っ張って肘を伸ばす
左右それぞれ15秒ずつを2セット行います。
▼肘と手首のストレッチのコツ&注意点
・親指を引っ張ったあと、親指を内側へひねるようにするとさらに伸ばすことができます
肘や手首をケアするためにも、筋肉をしっかりとストレッチさせましょう。
福田翔馬パーソナルトレーナー
親指を引っ張る時に、内側への捻りと手首も親指側に引っ張るとより効果的にストレッチできます。肘の後ろから外側を伸ばしているという意識をしっかり持ってください。
回外筋のストレッチ②
続いては、回外筋のOCLストレッチです。肘にある回外筋や骨間膜を狙ったストレッチで、関節や筋肉に作用し、日常生活やスポーツで使われることの多い腕のひねりの動作を改善することができます。
▼回外筋のOCLストレッチのやり方
①片手の親指を立てる
②親指を外側に向ける
③もう片方の手で親指を握る
④親指を握ったまま両方の肘をつける
⑤腕を上に上げてから前に出す
⑥腕を下まで下げる
⑦息を吸って吐く
左右で1セットとし、3セット行います。
▼回外筋のOCLストレッチのコツ&注意点
・腕は一度上げてから前に出すようにしましょう
・腕を下げるときは立てた親指を下に向けるようにしましょう
・親指を立てたほうの腕はしっかりと肘を伸ばしましょう
このストレッチを行うことで、前腕の回外動作などがしやすくなります
福田翔馬パーソナルトレーナー
回外筋は伸筋に分類されます。そのため、腕を下に下げた時に少し背中を丸めるように下ろしてみましょう。丸めることで、背中から腕にかけての伸筋が全体的によく伸びます。
回外筋の筋トレ・ストレッチをマスターしよう
回外筋は上腕二頭筋とともに前腕を回外する際に働きます。スポーツなどでもよく使われる筋肉で、鍛えることでパフォーマンスの向上が期待されます。
回外筋を鍛える筋トレにはダンベルなどで負荷をかける方法が多く、間違ったやり方では手首の関節などを痛める可能性もあるので気をつけてください。また、回外筋の使い過ぎにより肘に痛みが生じることがあります。筋肉や関節のケアもしっかり行いつつ、正しいフォームと適した重量で強化していきましょう。