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インクラインベンチプレスのやり方!角度・重量など大胸筋上部に効かせるコツを解説

2020年03月16日

インクラインベンチプレスは大胸筋上部を効果的に鍛えられる筋トレです。今回はこのインクラインベンチプレスの正しいフォームや最適なベンチの角度・重量などのコツを解説します。またスミスマシンやリバースグリップ(逆手)などの応用も紹介するので、参考にしてみてください。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

インクラインベンチプレスは大胸筋上部に効く筋トレ

インクラインベンチプレスはインクラインベンチに寝そべり、バーベルを使ってプレスを行う筋トレです。特に大胸筋上部に効くので、中部や下部とのバランスの取れた綺麗な大胸筋が欲しい人にはおすすめです。

今回はそんなインクラインベンチプレスの効果的なやり方や効かせるコツ、応用などについて解説します。それでは最初にこのインクラインベンチプレスでどのような筋肉の部位が鍛えられるのかを得られる効果と合わせて確認してみましょう。

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(ベンチプレスの平均重量については以下の記事も参考にしてみてください)

インクラインベンチプレスで鍛えられる筋肉部位、得られる効果

インクラインベンチプレスで主に鍛えられる筋肉の部位は以下の3つあります。

・大胸筋上部
・上腕三頭筋
・三角筋前部

それではそれぞれがどのような筋肉なのか、得られる効果と合わせて解説していきます。

大胸筋上部

出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html#chapter-1

大胸筋上部は、鎖骨の内側から上腕骨かけて付いている筋肉です。腕を斜め上の方向へ腕を押し出す作用を持っています。

インクラインベンチプレスでは体が斜めの状態で行うため、大胸筋上部の走行と動作の軌道とが一致します。その結果、この大胸筋上部に大きな刺激が入るのです。

そしてこの大胸筋上部を鍛えると身体の厚みがより強調される効果が得られます。反対に大胸筋上部が発達していないと、下部が発達していても身体は厚く見えにくくなります。そのためより逞しい上半身を目指す方は積極的に鍛えておくと良いでしょう。

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ずーみー(泉風雅)

日本ではベンチプレスなどのフラットベンチで行う大胸筋中部・下部狙いの種目が人気です。しかし米国においては上部を鍛える種目から行うのが一般的だとされています。

(大胸筋上部の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

上腕三頭筋

出典:https://bukiya.net/blog/musclename/

上腕三頭筋は肩甲骨関節下結節や上腕骨から尺骨肘頭まで付いている筋肉です。主に肘を伸ばす作用を持っています。インクラインベンチプレスではバーベルを挙げる時に肘を伸ばすため、その時にこの上腕三頭筋を鍛えられるのです。

そして上腕三頭筋は腕の中で最も大きな筋肉なので、鍛えると腕を太くしやすいメリットが得られます。またベンチプレスなどのプッシュ系種目のパフォーマンスアップも期待できるのです。

(上腕三頭筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)

三角筋前部

出典:https://bukiya.net/blog/musclename/

三角筋前部は鎖骨から上腕骨にかけて付いている筋肉です。腕を前に上げる作用を持っています。また大胸筋と連動して上半身の押す動きを行うので、インクラインベンチプレスでも鍛えられるのです。

そしてこの三角筋前部を鍛えると肩の前側の厚みが増す効果や肩こりの予防・改善効果などが得られます。また上腕三頭筋と同様に他のプッシュ系種目のパフォーマンスアップも期待できます。

(三角筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)

インクラインベンチプレスの効果的なやり方

これからインクラインベンチプレスの効果的なやり方について解説します。大胸筋上部に効かせるにも正しいフォームやベンチの角度などのポイントをここで確認しておきましょう。

①ベンチの角度を調整する

まずはベンチの角度を30~45度あたりに調整してください。角度を高くしすぎると、三角筋前部に逃げてしまうので、最初は30度くらいから試してみると良いでしょう。

②インクラインベンチに寝て、バーを握る

インクラインベンチに寝て、足をしっかりと地面につけます。そこから通常のベンチプレスより狭めの手幅でバーを握りましょう。具体的にはバーが胸についた際に前腕が地面に対し垂直になるくらいの幅が目安です。

③ラックアウトしてバーを降ろす

ラックアウトして、肩甲骨を寄せながらバーを降ろします。この時、鎖骨の中心から胸をがばっと開くように横のアーチを作るのがポイントです。また肘は常にバーベルの真下に位置するようにして、大胸筋上部の走行に沿った軌道での動作を意識しましょう。

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ずーみー(泉風雅)

腕を降ろす位置を水平から30度あたりにすることで、大胸筋上部の走行と負荷の方向を一致させることができます。鎖骨の下あたりの位置を目安にすると良いでしょう。

④バーを上げる

バーを上げて元の姿勢に戻ります。この時、肩甲骨は自然に外に出る程度で良いでしょう。

ちなみに初心者の方の場合、肩の柔軟性が足りないケースも少なくありません。その場合、まずは狭い範囲だけで動作を始めてください。そして柔軟性が高まるにつれて少しずつ下に向かって降ろせるようにしていきましょう。

上級者の方は大胸筋上部の動きが特に大きいボトムからミッドレンジあたりまでの範囲を往復するテクニックにも挑戦してみてください。

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ずーみー(泉風雅)

インクラインベンチプレスは、ラグビーやアメフトといったコンタクトスポーツなどのトレーニングとしても有効です。

なぜなら実際のタックル動作に近いのはインクラインの方だからです。そのためコンタクトスポーツをしている方はフラットではなく、インクラインのベンチプレスをメインに取り組むと良いでしょう。

インクラインベンチプレスのコツ&注意点

次にインクラインベンチプレスをより効果的に行うための以下のコツ&注意点を解説します。

①肘が外に開いてしまう
②グリップが内側に入ってしまう
③手首が曲がってしまう

それでは①肘が外に開いてしまうことから詳しく見ていきましょう。

①肘が外に開いてしまう

インクラインベンチプレスでは肘が外に開いてしまうことに注意しないといけません。上の画像のように肘が外側に開いてしまうと、上腕二頭筋に余計な負担がかかってしまいます。また肩甲骨の動きが悪くなり、肩への負担も大きくなってしまうのです。

負荷を大胸筋上部に集中させるためにも、肘の位置は常にバーベルの真下になるよう意識して動作を行いましょう。

②グリップが内側に入ってしまう

上の画像のように、グリップが内側に入ってしまうことも注意するべき問題です。グリップが内側に入ると、肘の曲げ伸ばしが大きくなることで上腕三頭筋に負荷が乗ってしまいます。そしてバーベル負荷と肩関節のモーメントアームが短くなり、大胸筋上部への負荷が小さくなってしまうのです。

この場合も、常に肘がバーベルの真下に位置するよう心がけて対処しましょう。

③手首が曲がってしまう

インクラインベンチプレスでは手首が曲がったまま動作を行うのも避けてください。上の画像のように手首が曲がったまま動作を行うと手首に痛みが出やすいからです。また肩がすくみ上がって、鎖骨から胸を開いていく動作が行いにくくなるデメリットもあります。

これらのデメリットを解消するためにもインクラインベンチプレスではバーベルを手首の根元に載せるようなイメージで深く握るようにしましょう。

インクラインベンチプレスの最適な重量・回数・セット数

紡錘状筋である大胸筋の筋トレはややハイレップ気味で仕事量を多くするのが向いています。しかし、インクラインベンチプレスでの最適な重量と回数は基本的に筋トレの目的に合わせて決めましょう。筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重量がおすすめです。

ただ、最も重要なのは正確なフォームで追い込みをかけることです。間違ったフォームでは平均重量を大きく超えた重量を扱っても意味がほとんどなく、怪我に繋がる可能性もあります。そのため常に正確なフォームを守るように意識しましょう。

最適なセット数に関しては筋トレ初心者か、上級者かによって変わってきます。初心者の方であれば週1回で3セット、上級者の方であれば週2回で6セット程度のペースで行いましょう。

インクラインベンチプレスのバリエーション

インクラインベンチプレスにはいくつかのバリエーション種目があります。通常パターンでのトレーニングに慣れたら、ぜひこれから紹介するバリエーション種目にも挑戦してみてください。

スミスマシン

スミスマシンを使うと軌道が安定するため、通常よりも力を出すことに集中できます。またバーベルでは動作が困難な初心者などにもおすすめです。

ちなみに軌道が斜めのスミスマシンを使う場合は、バーを上げるほど頭側に流れるような向きで使うと良いでしょう。

▼スミスマシンインクラインベンチプレスのやり方

①ベンチの角度を30度~45度に調整する
②インクラインベンチに寝そべり、バーを握る
③バーを降ろす、挙げるの動作を繰り返す

重量と回数は目的によって設定します。筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重量が目安です。セット数については初心者は週1回で3セット、上級者あれば週2回で6セット程度のペースで行いましょう。

▼スミスマシンインクラインベンチプレスのコツ&注意点

・鎖骨の下あたりにバーが降りるようにする
・失敗した時のためにセーフティバーを調整する

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ずーみー(泉風雅)

バリエーション種目にはダンベルで行うものもありますが、バーベルを使うインクラインベンチプレスよりも不安定性が増します。

(スミスマシンベンチプレスの使い方については以下の記事も参考にしてみてください)

リバースグリップ(逆手)

リバースグリップは通常のグリップに比べて肩甲骨を動かしやすいのが大きな特徴です。ただ、バーベルで行うと滑り落ちてくる恐れがあるのであまりおすすめはできません。リバースグリップで行うのであれば、安全のためにもスミスマシンを使うと良いでしょう。

またリバースグリップは通常よりも弱い形なので、高重量を扱うことができない欠点もあります。しかし、腕を縦方向に動かしやすく大胸筋上部が動く感覚をつかみやすいメリットがあるので、絶対に必要ないという訳ではありません。

ウォームアップだけに取り入れて大胸筋上部を動かす感覚を覚えるためだけに使うなど、リバースグリップの良いところだけ活用するのをおすすめします。

▼リバースグリップインクラインベンチプレスのやり方

①ベンチの角度を30度~45度に調整する
②インクラインベンチに寝そべり、バーを逆手で握る
③バーを降ろす、挙げるの動作を繰り返す

重量と回数は目的によって設定します。筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重量が目安です。ただし、高重量が扱いにくいフォームなので、無理はしないように注意してください。セット数については初心者は週1回で3セット、上級者あれば週2回で6セット程度のペースで行いましょう。

▼リバースグリップインクラインベンチプレスのコツ&注意点

・肘は常にバーの真下に維持する
・降ろした時に前腕が地面と垂直になるようにする

(リバースグリップベンチプレスについては以下の記事も参考にしてみてください)

インクラインベンチプレスの効果を高める為のポイント

それでは最後にインクラインベンチプレスの効果を高めるためにフォーム以外に意識したい以下のポイントを紹介します。

・トレーニングのやり過ぎに注意する
・ベンチプレスやプルダウン種目と一緒に行う

それでは1つずつ確認していきましょう。

トレーニングのやり過ぎに注意する

インクラインベンチプレスを行う時は、トレーニングのやり過ぎに注意しなければなりません。なぜなら手首や肩に負担がかかりやすく、無理をすると怪我につながる恐れがあるからです。そのため常に正しいフォームを保てる最適な負荷でのトレーニングを行うようにしましょう。

また、トレーニングの頻度を上げすぎてしまうとオーバーワークを引き起こす可能性もあります。確かに頻度については週1回よりは週2回のほうが効果的だとされています。しかし、それ以上の頻度で行うことでより効果が得られるかどうかは明らかにされていません。そのためやりすぎには注意して、自分のできる範囲でトレーニングを行うようにしてください。

(オーバーワークについては以下の記事も参考にしてみてください)

ベンチプレスやプルダウン種目と一緒に行う

インクラインベンチプレスは通常のフラットベンチで行うベンチプレスやプルダウン種目と一緒に行うのがおすすめです。ベンチプレスでは大胸筋中部や下部を刺激でき、大胸筋上部とのバランスを取りやすくなります。

また懸垂ラットプルダウンなどのプルダウン種目では主動筋の大胸筋上部に対しての拮抗筋が鍛えられます。拮抗筋を鍛えると主動筋のパフォーマンスがアップしたり、怪我の予防効果などが得られるのです。一緒に行うメニュー選びに悩んでいる人は、ぜひこれらの種目を取り入れてみてください。

インクラインベンチプレスで大胸筋上部を鍛えて綺麗な胸板に

インクラインベンチプレスは、大胸筋上部を集中的に鍛えられる筋トレです。ぜひ今回紹介したベンチの角度や肘の位置、バーを降ろす際のフォームなどを押さえて、効果的なトレーニングを行ってください。そしてバランスの良い綺麗な胸板を作り上げていきましょう。