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オーバーヘッドスクワットは下半身・上半身共に鍛えられる筋トレ
オーバーヘッドスクワットは頭上でバーベルをキープした状態、すなわちスナッチポジションでスクワットを続ける筋トレです。重心や不安定性が高く少し難しいとされていますが、下半身・上半身が連動して動くため全身を効果的に鍛えることができます。「体幹を維持する機能を高めたい」という方はぜひトレーニングに取り入れてみてください。
まずは、このトレーニングで鍛えられる筋肉部位や得られる効果について押さえていきましょう。
(動画で見たい方はこちら)
オーバーヘッドスクワットで鍛えられる筋肉部位
オーバーヘッドスクワットは体幹の姿勢維持のための筋肉とインナーマッスル、そして肩甲骨の安定性に貢献する筋肉を刺激する筋トレです。そのため、主に以下の2つの筋肉部位が鍛えられます。
・脊柱起立筋
・ローテーターカフ
それではまず、脊柱起立筋がどういった筋肉なのかについて確認していきましょう。
脊柱起立筋
脊柱起立筋は脊柱沿いにあるインナーマッスルの長背筋群の一部で、腸肋筋・最長筋・棘筋の3つによって構成されています。最長筋は腸肋筋とセットで働き、体幹部を回す・伸ばす・外側に曲げる動作を担う筋肉です。また、棘筋は脊柱に張りついており、体幹部の姿勢維持のために重要な働きをします。
(脊柱起立筋の筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)
脊柱起立筋の筋トレ&ストレッチ!短期間で背中の筋肥大・姿勢矯正が実現するコツを解説
出典:Slope[スロープ]
ローテーターカフ
オーバーヘッドスクワットでは、ローテーターカフと呼ばれる肩甲骨周辺の筋肉も鍛えることができます。ローテーターカフを構成しているのは肩甲下筋・棘上筋・棘下筋・小円筋の4つの筋肉です。いずれも上腕を動かすために重要な役割を果たし、肩甲骨の安定性にも大きく影響しています。
フォーム解説から見たい人はこちら(ローテーターカフの筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください)
ローテーターカフ(回旋筋腱板)の筋トレ!構造・作用〜鍛え方のコツまで解説
出典:Slope[スロープ]
オーバーヘッドスクワットで得られる効果
続いて、オーバーヘッドスクワットで得られる効果について解説します。オーバーヘッドスクワットを行うことによる効果として挙げられるのは、以下の2点です。
・体幹部の姿勢維持機能が向上する
・筋トレが上達する
ではまず、体幹部の姿勢維持機能の向上について確認していきましょう。
体幹部の姿勢維持機能が向上する
オーバーヘッドスクワットを行うと、体幹部の姿勢を維持する機能が向上する効果が期待できます。腕を上げるオーバーヘッドスクワットは通常のスクワットに比べて重心の位置が高くなるため、不安定性が増すのが大きな特徴です。それによって、脊柱起立筋やローテーターカフといった体幹部の姿勢を維持する筋肉が刺激されます。
この種目に対して「通常のスクワットのように、脚が鍛えられる筋トレなのでは?」という印象を持っていた方もいるでしょう。実は、オーバーヘッドスクワットは体幹部に負荷がかかることで全身の協調性の基礎力を養えるトレーニングなのです。
筋トレが上達する
筋トレが上達することも、オーバーヘッドスクワットで得られる効果のひとつです。下半身・上半身が連動して動くことで体幹部が鍛えられると、その他のトレーニングの上達にもつながります。
オーバーヘッドスクワットの効果的なやり方
ここからは、オーバーヘッドスクワットのやり方について解説します。正確な動作とフォームを把握して、効果的にトレーニングを行っていきましょう。
①バーベルをパワーラックにセット
まず、パワーラックにバーベルをセットしましょう。安全のため、このときにセーフティーバーもしっかりと上げておいてください。
②バーベルを頭上に掲げる
続いて、腕を上げてバーベルを後ろから頭上に掲げます。このとき、バーベルを骨で支えられる姿勢(ゼロポジション)をしっかりと取れるよう意識してみてください。
ずーみー(泉風雅)
正しいゼロポジションは、上腕と肩甲骨の肩甲棘とが直線で結べるような角度になります。左右の上腕がなす角度が90度くらいになるように、腕の位置を意識すると良いでしょう。
③上体をまっすぐに保ちながらしゃがむ
上体をまっすぐに保ちながら、しゃがんで立ち上がる動作を行います。通常のスクワットのような前傾姿勢にならないよう注意しましょう。
オーバーヘッドスクワットのコツ&注意点
次に、より効果的にオーバーヘッドスクワットを行うためのコツと注意点を解説していきます。オーバーヘッドスクワットのコツ・注意点は以下の3つです。「上手く動作を行うことができない」というときにも、以下の点を意識してみましょう。
①かかとが浮かないようにする
②バランスが崩れないよう注意する
③バーベルの握り方に注意する
それでは、かかとが浮かないようにすることからまず確認していきましょう。
①かかとが浮かないようにする
オーバーヘッドスクワットを行う際には、かかとが浮かないよう注意してください。上の画像のようにかかとが浮いた状態ではバランスが取りにくく、正確なフォームで動作を行いづらくなってしまいます。
動作を行っているときにかかとが浮く原因としては、ふくらはぎの裏側の柔軟性が不足していることが考えられます。上の画像のようにかかとが浮かないフォームで行えるよう、以下のような方法で対処しましょう。
・バーベルの重量を落とす
・かかとにプレートを敷く
ずーみー(泉風雅)
トレーニングの際には、ふくらはぎのストレッチも合わせて行うのがおすすめです。
②バランスが崩れないよう注意する
オーバーヘッドスクワットを行うときは、バランスが崩れないよう注意することも大切です。上の動画のようにバランスが崩れてしまう場合には「動作に慣れていない」「脚・腰の基礎的な筋力や柔軟性が不足している」といったことが原因となっている可能性があります。
まずは動作に慣れ、柔軟性を獲得することから始めてみましょう。この種目を行うための基礎となる通常のスクワットや、姿勢を維持しつつ脚・腰を鍛えられるランジのトレーニングも合わせて取り入れるのがおすすめです。
ずーみー(泉風雅)
バランスが取りづらいときには、バーベルに比べて負荷が少ないダンベルから始めてみるのも良いでしょう。股関節を外転・外旋させる筋肉のトレーニングを行うのも効果的です。
③バーベルの握り方に注意する
オーバーヘッドスクワットではバーベルの握り方にも注意しなければなりません。上の画像のように手のひらでバーベルを握っていると、手首を痛めてしまう恐れがあります。
こちらの画像のように、手の根っこにバーベルを載せるようなイメージでバーベルを握ってください。適切な握り方をすれば手首の痛みを予防・改善することができるでしょう。
オーバーヘッドスクワットの最適な重量・回数・セット数
オーバーヘッドスクワットでしっかりと効果を得るためには、最適な重量・回数・セット数を把握しておくことも重要です。そこで、ここではオーバーヘッドスクワットの最適な重量・回数・セット数について解説します。
オーバーヘッドスクワットはウェイト種目なので、トレーニングの目的に合わせて重量や回数を設定しましょう。目的が筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6~12回、筋持久力なら15回以上で限界となる重量を扱ってください。ただ、この種目は安定性が低いので、重量にはこだわりすぎず正確なフォームで反復することを意識すると良いでしょう。
最適なセット数や頻度は、筋トレの経験によって異なります。筋トレ初心者の場合は週1回×3セット、上級者の場合は週2回×6セットを目安に行いましょう。オーバーワークにならないよう、筋トレに慣れていても週3回以上の頻繁なトレーニングは避けてください。
『バーベル以外』のオーバーヘッドスクワットのやり方&注意点
ここまで、バーベルを使ったオーバーヘッドスクワットについて解説してきました。続いて「バーベルが重くてつらい」「さらに不安定性の高いトレーニングがしたい」といった方向けに、バーベル以外のものを使ったオーバーヘッドスクワットのやり方・注意点について紹介します。
①ダンベル・オーバーヘッドスクワット
ダンベルを使ったオーバーヘッドスクワットの大きなメリットは、軽い重量からトレーニングを開始できることです。体幹部や脚・腰のトレーニングを始めたばかりの初心者の方は、こちらから取り組んでみると良いでしょう。ただ、ダンベルで行うとバーベルよりも不安定性は大きくなります。重量のあるダンベルを扱う場合は難易度が高くなるので注意してください。
▼ダンベル・オーバーヘッドスクワットのやり方
①ダンベルを両手にしっかりと持つ
②両腕を上げ、ダンベルを頭上に掲げる
③上体をまっすぐに保ちながらしゃがむ
④立ち上がる
ダンベルを使用する場合も、バーベルの際と同様に重量や回数、セット数を設定しましょう。筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量をおすすめします。セット数・頻度については初心者の方なら3セットを週に1回、上級者の方なら6セットを週に2回程度が最適です。
▼ダンベル・オーバーヘッドスクワットのコツ&注意点
・腕を上げた時点でバランスが崩れる場合は、ダンベルを軽いものにする
・腰が丸まったり、反ったりしないように注意する
②ワンハンド・オーバーヘッドスクワット
片手でダンベルを持ち上げて行うワンハンド・オーバーヘッドスクワットでは、左右非対称の状態になった姿勢維持の活動を学習することが可能です。ダンベルを片腕で保持するだけでなく、体幹を少し傾けたまま支えるのでさらに不安定性が大きくなります。ハイレベルなトレーニングを行いたい方は、ぜひ挑戦してみてください。
▼ワンハンド・オーバーヘッドスクワットのやり方
①ダンベルを片方の手で持つ
②腕を上げ、ダンベルを頭上に掲げる
③上体をまっすぐに保ちながらしゃがむ
④立ち上がる
ワンハンド・オーバーヘッドスクワットの最適な重量・回数については両手でダンベルを使用する場合と同様に設定するのがおすすめです。軽い重量から始めて、自分の目的に合わせた回数で限界が来る重量を扱ってください。セット数については初心者の方なら3セット×週1回、上級者の方なら6セット×週2回を目安に行いましょう。
▼ワンハンド・オーバーヘッドスクワットのコツ&注意点
・腕を上げた時点でバランスが崩れる場合は、ダンベルを軽いものにする
・腹筋に力を入れ、上体が反らないよう注意してしゃがむ
③プレート・オーバーヘッドスクワット
プレート・オーバーヘッドスクワットでは、手で掴むための穴が開いた形状のプレート、もしくはケトルベルを使用します。このトレーニングのメリットは、ダンベルと同様に片手・両手のどちらでも動作を行えることです。また、プレートはダンベル以上に重心が定まりにくいため、かなり不安定性が高い状態でのトレーニングが可能になります。
▼プレート・オーバーヘッドスクワットのやり方
①プレートを片手か両手でしっかりと持つ
②腕を上げ、プレートを頭上に掲げる
③上体をまっすぐに保ちながらしゃがむ
④立ち上がる
こちらの場合も、バーベルやダンベルを使ったトレーニングと同じように目的・スキルに合わせて重量や回数、セット数を設定します。ただ、プレートはダンベル以上に不安定性が高くなるため重量の設定には注意しましょう。
▼プレート・オーバーヘッドスクワットのコツ&注意点
・腕を上げた時点でバランスが崩れる場合は、プレートを軽いものにする
・プレートを握る力を強くしすぎると肩甲骨の動きが制限されるため注意する
オーバーヘッドスクワットの効果を高める為のポイント
最後に、オーバーヘッドスクワットの効果を高める為のポイントを紹介します。オーバーヘッドスクワットでより高い効果を得られるよう、こちらで紹介するポイントも意識しながらトレーニングを続けていきましょう。
栄養摂取に気を配る
オーバーヘッドスクワットの効果を高めるポイントとしては、栄養摂取にも気を配ることが挙げられます。筋トレでより高い効果を得るには、たんぱく質・糖質・脂質の三大栄養素をバランス良く摂取しなければなりません。では、それぞれの栄養素をどのように摂取すれば良いのでしょうか?
筋肉を発達させるためには、1日に体重1kgあたり2gの純たんぱく質(肉類に換算すると10g)の摂取が必要です。そして、三大栄養素についてはたんぱく質:糖質:脂質を3:6:1の割合で摂取することが推奨されています。体重が60kgの人であれば、1日にたんぱく質120g、糖質240g、脂質40gをそれぞれ摂取するのが望ましいと言えるでしょう。
トレーニングの効果をしっかりと高められるよう、上記の数値を目安に三大栄養素をバランス良く摂取できる食事のメニューや量を工夫してみてください。
オーバーヘッドスクワットで効果的に全身を鍛えよう
オーバーヘッドスクワットは下半身と上半身の連動した動きから、体幹の姿勢を維持する機能の向上が期待できる筋トレです。また、このトレーニングを続けることで筋トレそのものの上達にもつながります。ぜひ日々の筋トレのメニューに取り入れて、効果的に全身を鍛えていきましょう。
(一緒に行うべきメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)
ダンベルスクワットのフォーム!重さ・回数など初心者でも下半身に効くコツを解説
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