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長内転筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説

2020年05月03日

長内転筋は内ももにある筋肉で、鍛えると内ももの引き締めや運動のパフォーマンスアップ効果を期待できます。今回はそんな長内転筋を鍛えるのにおすすめのトレーニングや鍛え方のコツを解説します。また柔軟性を高めるのに有効なストレッチも紹介するので参考にしてください。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

長内転筋の構造・作用

長内転筋は太ももにある内転筋群の1つです。付着部は恥骨上枝と大腿骨粗線内側唇で、骨盤と太ももをつなぐように付いています。

そして長内転筋を含む内転筋群は脚を内側に閉じたり、内側に回すのが主な作用です。中でも長内転筋は股関節の内転や屈曲で強く関わってきます。

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長内転筋の筋トレをするメリット

長内転筋の筋トレをするメリットは主に以下の3つあります。

・太ももの引き締めや広がりの予防・改善
・ぽっこりお腹の改善
・運動能力アップ

それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。

太ももの引き締めや広がりの予防・改善

長内転筋を含む内転筋群は先ほど解説したように脚を内側に閉じる作用を持っています。そのため長内転筋などの筋力が落ちると太ももの位置が骨盤から外側に広がったりするのです。しかし、しっかりと長内転筋を鍛えておけば、太ももの位置を維持・改善できます。

また長内転筋を最適な回数や負荷で鍛えておけば、長内転筋が位置する内ももの引き締めにもつながります。これは下半身のスタイルを重視する女性には特に嬉しいメリットだと言えるでしょう。

ぽっこりお腹の改善

長内転筋は骨盤と太ももをつなぐように付いている筋肉なので、弱まると骨盤の位置がずれてしまいます。骨盤の位置がずれると骨盤が支えている内臓の位置が前に出て、ぽっこりお腹の原因になることがあるのです。長内転筋を筋トレで鍛えるのは、この一見無関係に思えるぽっこりお腹の予防や改善にもつながるのです。

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運動能力アップ

長内転筋を含めた内転筋には骨盤を安定させる働きを持っています。そのため筋トレで鍛えることで様々な動作の安定性が向上します。

さらには上半身と下半身をつないでいる腸腰筋群との関係も深いので、長内転筋を鍛えると体幹を使いやすくなることであらゆる動作に良い影響を与えます。実際、内転筋群の筋肉の面積と100m走のタイムには相関係数があるとした論文があるほどです。

このように運動能力にも長内転筋は関わってくるのです。もちろん、激しい運動だけでなく歩行や階段の昇り降りなどの日常生活での運きの改善も期待できます。そのため長内転筋はスポーツ選手だけでなく、健康な状態を目指したいような人でも鍛える価値のある筋肉だと言えるでしょう。

長内転筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

それでは次に長内転筋を鍛えるのに適した筋トレメニューを紹介します。それぞれのメニューでの鍛え方のコツも解説するので合わせて確認しましょう。

長内転筋の筋トレメニュー①ワイドスタンススクワット

スクワットメニューの中でも特に長内転筋のトレーニングに適した種目が、このワイドスタンススクワットです。この種目は通常よりも広い足幅で行います。それによって股関節が屈曲位にある時に長内転筋が伸展筋として働きやすくなるのです。自重でもできるので、筋力の低い初心者や女性にもおすすめです。

▼ワイドスタンススクワットのやり方

①三角筋後部の少し上でバーベルを担ぐ
②脚幅は肩幅より少し広めでつま先は30度外向きにする
③膝をつま先と同じ方向に向けたまましゃがみ、立ち上がる

バーベル等を使う場合、筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さが最適です。自重で行う場合は正しいフォームを維持できる限界の回数をこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼ワイドスタンススクワットのコツ&注意点

・上体を立てたまま行わない
・膝が内側に入った状態で動作をしない
・しゃがむ時は股関節を外旋し、膝を割るように行う

正しいフォームで行わないと、長内転筋に期待通りの負荷がかからないので注意しましょう。

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ずーみー(泉風雅)

ワイドスタンススクワットでは背中が丸くなると膝に負荷がかかり過ぎるので、1mから1.5m先くらいの地面を見つめると良いでしょう。また通常のスクワット同様、足の真ん中に重心を置いたまま垂直方向に動作することが重要です。

(ワイドスクワットのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

長内転筋の筋トレメニュー②アダクション(自重)

長内転筋を含めた内転筋群を鍛えるアダクションというメニューには、自重とマシンの2種類があります。まず家でも簡単に取り組める自重バージョンを解説します。

▼アダクション(自重)のやり方

①床に横になって上側の脚を立て、上側の腕で身体を支える
②つま先を正面に向けたまま親指側から脚を浮かせて降ろす

アダクションは自重トレーニングなので、正しいフォームを維持できる限界の回数をこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼アダクション(自重)のコツ&注意点

・内転筋の動きをイメージして動作を行う
・慣れてきたら、脚を上げたところでホールドする

自重で行うアダクションは動作をゆっくりと行うことが、その効果を高める近道です。

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ずーみー(泉風雅)

つま先と膝の向きが同じことをしっかりと確認して動作することが重要です。内転筋群と股関節外転・外旋筋をバランス良く発達させるため、逆向きに動かすアブダクションエクササイズを合わせて行うのもお勧めです。

長内転筋の筋トレメニュー③マシンアダクション

次に紹介するのはマシンを使ったアダクションです。自重とは違って目的に合わせて負荷を調節できるので、ジムやフィットネスに通っているのならぜひ取り組みたいメニューと言えます。

▼マシンアダクションのやり方

①股関節がマシンの動作軸上に来るよう座る
②膝とつま先を同じ向きにして、ゆっくりと脚を閉じる
③閉じたところで一瞬動きを止め、ゆっくりと戻す

筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る負荷が最適です。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼マシンアダクションのコツ&注意点

・パッド同士がつくまで、長内転筋を意識して閉じる
・閉じた脚を開く時、マシンの反動で戻さない

マシンに浅く腰掛けると膝側に、逆に深く腰掛けると股関節側に有効ですので、ぜひ意識してみてください。

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ずーみー(泉風雅)

パッドを広げ過ぎると股関節を痛めます。リスク回避のため、無理なく初動で力が籠められるところにセットしましょう。

(アダクションのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

長内転筋の筋トレメニュー④サイドランジ

大臀筋ハムストリングスを鍛えるサイドランジも、長内転筋に有効なトレーニング種目です。太ももの引き締めだけでなく、ヒップアップ効果も期待できるので特に下半身のスタイルを重視する女性におすすめです。

▼サイドランジのやり方

①背筋を伸ばして直立し、肩幅程度の足幅にする
②片脚を大きく真横に出しながら、身体を沈み込みませる
③踏み出した脚の太ももが床と平行になったら元に戻す

バーベル等を使う場合、筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さが最適です。自重で行う場合は正しいフォームを維持できる限界の回数をこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼サイドランジのコツ&注意点

・長内転筋を十分刺激するため、しっかりと腰を降ろす
・元に戻す時は重心をカカト寄りにする
・膝とつま先は同じ向きで、やや外向きにする

股関節が深く曲がらない、あるいは窮屈だと感じる人は、トレーニングの前に股関節周りのストレッチを行うと良いでしょう。

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ずーみー(泉風雅)

脚を横に出していくサイドランジは、外向きの力に対してブレーキをかける練習としてもよく用いられます。

(サイドランジのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

長内転筋の筋トレメニュー⑤ダンベルワイドスクワット

これは先ほど紹介したワイドスタンススクワットをダンベルを使って行うメニューです。ゴブレットスクワットとも呼ばれます。このメニューはダンベルを上の動画のように胸の前に抱えて行います。そのためバーベル等よりも安定した状態で正しいスクワットのフォームを身に付けられるというメリットがあります。

▼ダンベルワイドスクワットのやり方

①ダンベルを胸の前で抱えるように持つ
②肩幅よりも足幅を広めにする
③お尻を引いて前傾しながらしゃがみ込む
④ゆっくりと元の位置に戻る

筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さが最適です。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼ダンベルワイドスクワットのコツ&注意点

・ダンベルは手の根元で支えるように持つ
・膝とつま先は常に同じ方向を向くようにする

バーベルを使うスクワットは高重量を扱えるメリットがありますが、それだけ危険性も高まります。そのためまだフォームが固まっていない方は、正しいフォームを覚えやすいこのやり方をおすすめします。

(ダンベルスクワットのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

長内転筋の筋トレメニュー⑥スモウデッドリフト

スモウデッドリフトは足幅を広めた状態で行うデッドリフトです。通常のデッドリフトよりも長内転筋を含む内転筋群が強く収縮する特徴があります。臀筋群への刺激も強いので、ヒップアップ効果を狙いたい人にもおすすめです。

▼スモウデッドリフトのやり方

①足幅を広げてバーベルを掴む
②直立状態になるまでバーベルを引き挙げる
③ゆっくりと元の位置まで戻す

筋力アップなら1回から6回、筋肥大なら6回から12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さが最適です。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。

▼スモウデッドリフトのコツ&注意点

・腰を曲げたり反らせたりしない
・バーは常に体に沿わせるように挙げる
・上半身はなるべく垂直にしたままバーを降ろす

スモウデッドリフトは高重量を扱いやすい種目ですが、握力が持たなくなる場合もあります。そのような時は順手と逆手を組み合わせたオルタネイトグリップにするか、パワーグリップ等のツールを使うと良いでしょう。

(スモウデッドリフトのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

長内転筋のストレッチメニュー

最後に長内転筋のストレッチメニューを紹介します。長内転筋の疲労回復や肉離れなどの怪我の予防効果も期待できるので、ぜひ取り入れてみてください。

長内転筋ストレッチ①

これは長内転筋を伸ばす基本のストレッチの1つです。やり方も簡単なので、筋トレ前後などに取り入れると良いでしょう。

▼長内転筋ストレッチ①のやり方

①床に四つん這いになり、膝は90度に曲げたまま脚は肩幅より広げる
②息を吐きながら股関節を開くように、膝を外側にずらしながら腰を落とす

腰を落とした状態で約30秒キープしましょう。

▼長内転筋ストレッチ①のコツ&注意点

・アゴはやや下に向ける
・背中が丸くならないよう、骨盤の前傾を意識する

長内転筋を含む内転筋群が柔らかくなると股関節が柔軟性を増し、脚のむくみの改善効果も期待できます。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

足を外に開く意識が強すぎると、膝に体重が乗ってしまい内転筋に力が入りやすくストレッチ効果が悪くなってしまいます。腕に体重を乗せて、足はゆっくり伸ばすようにするとストレッチしやすいです。

(下半身のストレッチメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

長内転筋ストレッチ②

この方法は横になりながらできるストレッチで、最初に紹介した方法よりもさらに簡単です。隙間時間などに取り入れてみても良いでしょう。

▼長内転筋ストレッチ②のやり方

①仰向けになり両脚を天井向きに揃え、壁に付ける
②膝を十分伸ばしたまま、脚を左右に大きく開く
③限界まで開いたらゆっくりと脚を閉じる

あまりに長時間続けると、股関節や骨盤の外側に負担がかかるので注意しましょう。

▼長内転筋ストレッチ②のコツ&注意点

・脚の開閉はゆっくりと行う

基本のやり方に慣れてきたら壁を使わず、宙の状態でやってみましょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

つま先が床に向くと、ハムストリングスのストレッチが効果が強くなってしまいます。足の向きは真っ直ぐのまま、内側を伸ばす意識を強く持ちましょう。

長内転筋ストレッチ③

これは2番目に紹介したやり方の応用のストレッチです。やり方は似ていますが、筋肉の伸び方が違うのでぜひ両方とも試してみてください。

▼長内転筋ストレッチ③のやり方

①仰向けに寝て脚とお尻を壁につける
②太ももの内側を意識しながら、そのまま膝を左右に開く

限界まで膝を開いたら10秒から15秒、静止させましょう。

▼長内転筋ストレッチ③のコツ&ポイント

・違和感や痛みが出る前で開くのを止める
・手で膝を押さえるのではなく、左右に膝を揺らして開いてもOK

無理なく出来るようになったら、膝を壁、もしくは床に近づける動きにチャレンジしてみてみましょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

長内転筋は股関節屈曲、つまり骨盤前傾の役割もあります。そのためこのストレッチのように骨盤をやや後傾させながら行うと、より効果的にストレッチすることができます。

長内転筋を鍛えて筋トレ効果をUPしよう

長内転筋は内転筋群を構成する筋肉の1つです。あまり目立ちませんが、鍛えることで太ももの引き締めや運動能力の向上など様々なメリットをもたらせてくれます。今回は紹介したメニューやストレッチを参考にさらに筋トレ効果をアップさせましょう。