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腸骨筋のストレッチ&筋トレメニュー!構造・作用〜痛み改善のコツまで解説

2020年05月06日

腸骨筋はインナーマッスルである腸腰筋を構成する筋肉の1つです。小さな筋肉ですが、鍛えると姿勢・腰痛の改善やぽっこりお腹の解消など多くのメリットが得られます。今回はそんな腸骨筋のおすすめトレーニングやストレッチを紹介しますので参考にしてください。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

腸骨筋の構造・役割

それでは初めに腸骨筋の構造や役割について解説します。腸骨筋の構造等の情報は効果的なトレーニングやストレッチを実現するのに必要なので、基本として確認しておきましょう。

腸骨筋の構造

出典:https://allabout.co.jp/gm/gc/470705/

腸骨筋はインナーマッスルである腸腰筋を構成する筋肉の1つです。腸骨窩という骨盤の上側にある広い場所とその下側にある下前腸骨棘から始まっています。そして大腿骨の小さいふくらみである小転子下方まで付いています。

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腸骨筋の作用

腸骨筋は股関節の屈曲動作、つまり脚を前側に向かって上げるのが主な作用です。この他にも体を前側に倒す脊柱の屈曲動作や股関節の外旋動作などが腸骨筋の作用として挙げられます。

腸骨筋のストレッチをする・筋トレをするメリット

インナーマッスルで小さい筋肉の腸骨筋ですが、ストレッチや筋トレをすると以下のようなメリットが得られます。

・歩行やランニングなどの動作のパフォーマンスアップ
・姿勢の改善
・腰痛の予防・改善

それでは1つずつ詳しく見ていきましょう。

歩行やランニングなどの動作のパフォーマンスアップ

先ほど解説したように腸骨筋は脚を前側に上げる作用を持っています。そのためストレッチや筋トレによってこの腸骨筋の動きを良くすれば、その分脚を上げる歩行やランニング等の動作のパフォーマンスアップに繋がるのです。実際、腸骨筋を含む腸腰筋は高齢者の転倒予防のためにリハビリなどでトレーニングしたりもします。

もちろん、軽い運動ではなくダッシュ等の激しい運動にも腸骨筋は深く関わってきます。そのためスポーツをしている人もしっかりと筋トレで鍛えておくべきと言えるでしょう。

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姿勢の改善

腸骨筋は他の腸腰筋の筋肉と合わせて、骨盤と太ももをつないでいます。そしてそれによって骨盤の位置を正しい位置で維持して、体幹を安定させる役割も担っているのです。つまりこの腸骨筋を筋トレやストレッチで働きを改善しておけば、姿勢が正しい位置に維持したり、改善したりするのも期待できるのです。

骨盤の位置がずれると内臓の位置が前に出てぽっこりお腹の原因になったりします。そのため骨盤が原因で姿勢が崩れている可能性がある方も腸骨筋の筋トレやストレッチをやる価値は十分にあると言えます。

腰痛の予防・改善

腸骨筋を含めた腸腰筋は硬くなってしまうことが珍しくありません。しかし、一度この筋肉が硬くなってしまうと腰の骨を強く引っ張ってしまって腰痛を引き起こす場合があるのです。また腸骨筋を含む腸腰筋がトリガーポイントという状態になると関連痛として腰痛を引き起こす場合もあります。

これは特に腸骨筋などが縮んでしまう座った姿勢を長時間取り続ける人によく見られます。そのため座っている時間が長く腰痛持ちの人は、一度今回紹介する腸骨筋のストレッチをぜひ試してみると良いでしょう。

腸骨筋のストレッチメニュー

それでは次に腸骨筋のストレッチメニューを紹介します。ストレッチポールなどの道具は不要で簡単なものばかりなので、ぜひ取り入れてみてください。

腸骨筋のストレッチ①

これはニーアップストレッチというストレッチで、寝ながら行えるストレッチです。足を上下にしっかりと曲げることで腸腰筋以外にも大臀筋ハムストリングも伸ばすことができます。スポーツ選手も練習前に取り入れている基本のストレッチでもあります。

▼ニーアップストレッチのやり方

①床にマット等を敷いて、仰向きに寝る
②片膝を両手で抱え込んで胸に近づける
③ゆっくりと片膝を元に戻し、反対側も同様に行う

胸に近づいた状態で、痛くない範囲になったら5秒から7秒状態をキープしましょう。また最初は左右3セット程度を目安に行うと良いでしょう。

▼ニーアップストレッチのコツ&注意点

・腰を傷めないようにマットを敷く
・焦らずにゆっくりと筋肉を意識して行う
・背中が浮かないように気を付ける

このストレッチでは背中が浮いてしまうと効果が薄れてしまいます。背中を浮かせるのではなく、足を引きつけて行うことを意識しましょう。また腸骨筋が硬い方はストレッチと並行して、腸骨をツボとして押すと痛いと感じる手前まで押して直接緩める方法も試してみると良いでしょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

伸ばす側の足を少し内側に置くとより腸骨筋が伸びるので、ぜひ試してみてください。

腸骨筋のストレッチ②

次に股関節と腸骨筋と同じ腸腰筋を構成する筋肉である小腰筋にもよく効くストレッチをご紹介します。

▼座ってできるストレッチのやり方

①ストレッチマットの上に、両足を伸ばして座る
②両足を開き、両膝を立てる
③膝を開いたまま抱え込むように体側に引き寄せる
④股関節が動かないようにして、上半身を前に倒す
⑤股関節付近に刺激を感じたところで止める
⑥上半身をゆっくりと元の位置に戻す

股関節付近に刺激を感じたところで10秒〜20秒キープするようにしましょう。一連の動作を1セットとし、2セットを目安に行うと良いでしょう。

▼座ってできるストレッチのコツ&注意点

・上半身を前に倒す時に股関節が動かさない
・上半身はゆっくりと倒したり戻したりする

上半身を倒す時に股関節が動いてしまうと、ストレッチ効果が薄れしまいます。上半身は動かさず、股関節の動きのみを意識してストレッチを行いましょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

腹筋を使って足を引き込むと、腸骨筋のストレッチになりません。体を伸ばして、体に対して足を引き込むようにするのが上手にするコツです。

腸骨筋のストレッチ③

次に壁を使ったストレッチ方法を紹介します。体にひねりを加えることで、胸から腰や脚にかけて広い範囲でストレッチ効果を期待できます。壁さえあればできるので、休憩時間などちょっとした時に取り入れてみても良いでしょう。

▼壁を使ったストレッチのやり方

①壁に対して体の右側面が平行になるように立つ
②右足を前に出し、右手で壁を押さえる
③頭ごとゆっくりと体を右後方に向かってひねる
④左足の付け根の筋肉に刺激を感じたらその状態でキープする
⑤ゆっくりと元の状態に戻し、反対側も行う

伸びている状態は10〜20秒キープし、左右1回ずつ行うと良いでしょう。

▼壁を使ったストレッチのコツ&注意点

・前傾姿勢にならないようにする
・肩と頭を連動させるようにしてひねる

無理やり伸ばすと太ももと腰がつったり、怪我をしてしまったりします。安全に効果を得るためにも無理のないの範囲で伸ばすようにしましょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

ひねる時に、伸ばす側のお尻と下腹部に力を入れてみてください。そうすれば骨盤が後傾し、より腸骨筋にストレッチがかかります。

腸骨筋のストレッチ④

次は椅子に座って行うストレッチを紹介します。このストレッチでは腸骨筋と同じ腸腰筋を構成する筋肉の大腰筋も良く伸ばせるのが特徴です。

▼椅子に座って行うストレッチ

①腰の高さ程度の椅子に座る
②両足を肩幅の1.5倍程度の広さに開く
③膝の内側に両手を置き、肘を伸ばす
④上半身を少し前に倒してキープする
⑤上半身を前に倒した状態のまま左肩を体の内側に捻ってキープする
⑥ゆっくりと元に戻し、右肩も左肩同様に行う

このストレッチでは前に倒した時と左右に捻った時それぞれ10秒〜20秒程度キープするようにしましょう。また合計で3セット程度行うのがおすすめです。

▼椅子に座って行うストレッチのコツ&注意点

・呼吸を止めないよう気を付ける
・痛みを感じるところまで倒さない
・しっかりと伸ばせるよう、浅めに椅子に座る

肩に力を入れすぎてしまうと腰回りのストレッチ効果が薄れてしまいます。無駄な力が入らないようにするためにもストレッチ中は腰回りに意識を集中して伸ばすようにしてください。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

肩を入れる時に、腹斜筋を使うと体が丸くなってしまい効果がありません。視線を下げないようにして、真横にひねる意識を持ちましょう。

腸骨筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

それではここからは腸骨筋を鍛えるのにおすすめの筋トレメニューを紹介します。それぞれのメニューでの鍛え方のコツも解説するので、合わせてチェックしてみてください。

腸骨筋の筋トレメニュー①バイシクルクランチ

バイシクルクランチは、クランチのような姿勢で左右交互に体をひねる筋トレメニューです。脚を上げる作用を持つ腸骨筋はもちろん、上体を起こすための腹直筋腹斜筋も鍛えられます。

▼バイシクルクランチのやり方

①仰向けで上背部と足を軽く浮かせた状態にする
②逆側の肘と膝を斜めにくっつけるようにして動かす
③片方が終わったら、そのまま逆の斜め方向に動かす

自重トレーニングなので、正しいフォームを維持できる限界の回数までこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安に行ってください。

▼バイシクルクランチのコツ&注意点

・動作中に腰を反らせない
・背中が地面にベッタリとつけない

腹直筋や腹斜筋にも効くこのメニューでは、骨盤や内臓の安定や体幹のパワーアップ効果も期待できます。

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ずーみー(泉風雅)

腸腰筋や腹斜筋は骨盤や背骨のポジションやランニング動作にも非常に重要な筋肉です。通常のクランチの発展形として取り入れていきましょう。

(バイシクルクランチのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

腸骨筋の筋トレメニュー②ダンベル・フロントランジ

ダンベル・フロントランジは腸骨筋だけでなく、大臀筋や大腿四頭筋も鍛えられるトレーニングです。自重でもできるので、初心者や女性の方でも取り組めるでしょう。

▼ダンベル・フロントランジのやり方

①ダンベルを両手に持って立つ
②片足を前に出し、上体が前傾しないようにしゃがみ込む
③立ち上がって元のポジションに戻る

筋力アップのためには1回から6回、筋肥大のためには6回から12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量が適切です。自重で行う場合は正しいフォームを維持できる限界の回数までこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安に行ってください。

▼ダンベル・フロントランジのコツ&注意点

・上体が前後に傾かないようにする
・膝がつま先より内側に入らないようにする

腸骨筋を含む腸腰筋のトレーニングとして行う場合には、骨盤を意識して傾かないようにしてください。

(フロントランジのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

腸骨筋の筋トレメニュー③ニートゥチェスト

ニートゥチェストは、腸骨筋の他に腹直筋下部も鍛えられえるトレーニングです。下腹などが気になる人は取り入れると良いでしょう。

▼ニートゥチェストのやり方

①マットの上などに脚を伸ばして座る
②手を後ろについた姿勢になる
③膝を胸に向かって引きつける
④ゆっくりと元の姿勢に戻る

自重トレーニングなので、正しいフォームを維持できる限界の回数までこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安に行ってください。

▼ニートゥチェストのコツ&注意点

・膝を引きつける時に顎を上げない
・膝を引きつける時息を吐き、戻す時に自然に吸う
・お尻が痛い場合はマットなどを敷く

余裕がある方は脚を伸ばす時に浮かせたまま次の動作に入るやり方を試してみてください。

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ずーみー(泉風雅)

さらに強度を上げたい人は着いた手を胸の前に組んで行うとさらに負荷を上げられます。

(ニートゥチェストのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

腸骨筋の筋トレメニュー④ニートゥチェスト(椅子バージョン)

上でも紹介したニートゥチェストですが、椅子の上で行うバージョンもあります。椅子で行うと足の位置がお尻よりも下がるため、より強い負荷をかけられるようになります。先ほど紹介した床で行うやり方に慣れてきたら挑戦してみましょう。

▼ニートゥチェスト(椅子バージョン)のやり方

①椅子の上にやや浅く座る
②手を椅子の後方につけ、足を前に伸ばす
③膝を胸に向かって引きつける
④ゆっくりと元の姿勢に戻る

自重トレーニングなので、正しいフォームを維持できる限界の回数までこなすのを基本とすると良いでしょう。セット数については初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安に行ってください。

▼ニートゥチェストのコツ&注意点

・膝を引きつける際に、顎を上げない
・上半身をかがめて膝を抱えるように膝を引く

このやり方でもまだ余裕がある場合は足でバランスボールやメディシンボールをはさみながら動作を行ってみてください。

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ずーみー(泉風雅)

下腹部を引き締めたい!という方はハイレップで行うやり方がおすすめです。

(動画で見たい方はこちら)

腸骨筋のストレッチ・トレーニングをマスターしよう

腸骨筋を始めとする腸腰筋群は目立たない筋肉ですが、鍛えることで姿勢の改善や運動能力の向上など良いメリットが得られます。そのメリットを最大限に引き出すためにもぜひ今回紹介したストレッチやトレーニングをマスターしてみてください。