三角筋の構造・作用
三角筋は肩から上腕にかけて肩関節を覆うよう存在する筋肉です。三角筋は前部、中部(側部)、後部の3つの筋肉部位に分けることができ、それぞれ役割が異なります。
前部の主な役割は「肩の屈曲」で、腕を前にあげる動きや水平内転などの作用があります。中部の主な役割は「肩の外転」で、腕を横に上げる動作の際に使われます。後部は「肩の伸展と水平外転」で、肩を後ろに上げる働きがあります。
また、三角筋の前部と後部が、筋肉が長軸方向に対して並行に並ぶ紡錘状筋(ぼうすいじょうきん)であるのに対し、中部は筋肉が長軸方向に対して斜めに並ぶ羽状筋(うじょうきん)であるため、それぞれの筋肉の特性に合わせて鍛えていく必要があります。一般的に紡錘状筋はフルレンジで適切な重量、羽状筋は可動域を狭くしても高重量が良いとされています。
(三角筋の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)
三角筋の鍛え方!肩が急激にデカくなる筋トレメニュー&ストレッチの方法を解説
出典:Slope[スロープ]
ダンベルを使った三角筋の筋トレメニュー
それではダンベルを使った三角筋の筋トレメニューを見ていきましょう。
三角筋中部は、肩の外転作用に沿ったサイドレイズやインクラインサイドレイズに加え、僧帽筋上部も鍛えられるアップライトロウがおすすめです。また、三角筋前部は肩の屈曲に沿ったフロントレイズやインクラインフロントレイズやショルダープレス、三角筋後部は肩の水平外転に沿ったリアレイズで鍛えると良いでしょう。
三角筋の筋トレメニュー①ダンベルサイドレイズ
サイドレイズは三角筋中部に効果的な肩の筋トレの王道種目です。肩こりの解消にも役立つので、女性にもおすすめです。
▼ダンベルサイドレイズのやり方
①足を肩幅ほど広げまっすぐ立ち、順手でダンベルを持つ
②脇にテニスボールを挟んでいるイメージでいかり肩にする
③肘を軽く曲げた状態で、ダンベルを遠く外側に開くように上げる
④ダンベルを下ろす際は、いかり肩を崩さないように下ろしきる寸前で止める
ダンベルサイドレイズの最適な回数は、筋トレの目的によって変わります。筋力アップのためには1回~6回、筋肥大のためには6回~12回、筋持久力アップのためには15回以上を目安に行ってください。重量は、その回数で限界のくる重さで行うことが基本です。なお、サイドレイズは高重量を扱うことができないので、そのぶん高回数行うことがおすすめです。
セット数は、トレーニングのステータスによって決めてください。初心者の方は3セットを週1回、上級者の方は3セットを週2回程度行うと良いでしょう。
▼ダンベルサイドレイズのコツ&注意点
・動作中はいかり肩が崩れないようにしましょう
・肩甲骨は動かさないように意識しましょう
・ダンベルを上げる際は、体の真横ではなく少し前に上げましょう
・肘から先に上げないように意識しましょう
重量を無理に上げると、正しいフォームを維持するのが難しくなります。筋トレに慣れている方でも、はじめのうちは15~20回程度で限界がくる重量で行うのが良いでしょう。
ずーみー(泉風雅)
サイドレイズの動作中は、いかり肩の状態をつくり肩甲骨を外方向にロックして取り組むことが重要です。こうすることで、僧帽筋の動きを抑え三角筋の中部にフォーカスすることができます。
(サイドレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
サイドレイズの種類&フォーム!確実に肩に効かせるコツ〜重量・回数まで解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
三角筋の筋トレメニュー②ダンベルインクラインサイドレイズ
ダンベルインクラインサイドレイズは、インクラインベンチに横向きに寝て行うダンベルサイドレイズです。インクラインベンチを使用することにより、三角筋中部をストレッチさせて通常のサイドレイズよりも広い可動域で負荷をかけていきます。これにより、筋肥大に大きな効果があります。
▼ダンベルインクラインサイドレイズのやり方
①インクラインベンチの角度を30~60度に調整し、体を横向きにセットする
②膝から頭までは一直線に保ち、ダンベルをおへその前で構える
③腕がトップポジションで体と90度になる角度までダンベルを上げる
④ゆっくりと腕を下げる
ダンベルインクラインサイドレイズの最適な回数や重量は、ダンベルサイドレイズと同じくトレーニングの目的に応じて設定してください。また、こちらも高重量を扱えないので、軽い重量で高回数行うと良いでしょう。なお、インクラインベンチの角度が浅いほど負荷は大きくなるので、そちらも調整しながら行ってください。
セット数もダンベルサイドレイズと同様に、初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。
▼ダンベルインクラインサイドレイズのコツ&注意点
・動作中は鎖骨と背骨がTの字になるフォームを意識しましょう
・肩甲骨は動かさないようにしましょう
・ダンベルを上げすぎると負荷が逃げてしまいます
通常のサイドレイズと違い、ダンベルを上げたときから下ろしきったときまで負荷をかけ続けることができるため、より効率良くトレーニングできます。
ずーみー(泉風雅)
インクラインベンチがない場合は、支柱に手をついて行うこともできます。ただ、片手で体幹を支えなくてはならないため、通常のインクラインサイドレイズよりも難しくなります。インクラインサイドレイズの動作に慣れないうちは行わないようにしてください。
(インクラインサイドレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
インクラインサイドレイズのやり方!三角筋中部に爆裂に効く軌道などコツを解説
出典:Slope[スロープ]
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三角筋の筋トレメニュー③ダンベルアップライトロウ
ダンベルアップライトロウは、直立で上方向にロウイングを行うことで三角筋中部や僧帽筋の上部を鍛えることができる筋トレです。三角筋と僧帽筋を両方ともバランスよく動かすことが重要です。
▼ダンベルアップライトロウのやり方
①足を肩幅ほどに広げて立ち、順手でダンベルを持つ
②ダンベルを太ももの前で構える
③三角筋と僧帽筋を使いダンベルを真上に上げる
④ゆっくりとダンベルを下ろす
ダンベルアップライトロウの最適な回数は、サイドレイズと同じく筋力アップのためには1回~6回、筋肥大のためには8回~12回、筋持久力アップのためには15回以上です。重量は、その回数で限界のくるものを使用しましょう。セット数も同様に、初心者の方は3回を週1回、上級者の方は3セットを週2回程度がおすすめです。
▼ダンベルアップライトロウのコツ&注意点
・しっかりと上まで上げましょう
・キツくなってきたら脚の力を使ったチーティングで追い込みましょう
・左右対称に動かすことを意識してください
しっかりとダンベルを上まで上げることで、三角筋中部と僧帽筋が収縮する感覚をつかめるはずです。
ずーみー(泉風雅)
基本的にバーベルで行うこと多い種目ですが、ダンベルでもトレーニングできます。ただし、ダンベルが体に当たってしまうことがあるので、十分に注意して行ってください。
(アップライトロウのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
アップライトロウのやり方!三角筋・僧帽筋に効く肩をデカくするコツ!ダンベル・ケトルベル版など
出典:Slope[スロープ]
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三角筋の筋トレメニュー④ダンベルフロントレイズ
ダンベルフロントレイズは三角筋前部の収縮種目として非常に有効な種目です。肩の厚みを出したい方やプッシュアップ系のトレーニングのパフォーマンスを上げたい方におすすめです。
▼ダンベルフロントレイズのやり方
①足を肩幅ほど広げまっすぐ立ち、順手でダンベルを持つ
②ダンベルを片方ずつ、体の前方に向けて、腕が地面と水平かそれ以上になる高さまで上げる
③ダンベルを上げるにしたがって腕を内旋していき、トップポジションでダンベルが横向きになるようにする
④ダンベルをゆっくり下ろす
ダンベルフロントレイズは高重量を扱えないので、正しいフォームを維持できる程度のダンベルを使用して行ってください。筋肥大を目的に行う場合は、限界まで行えば軽重量の高回数でも効果が得られます。セット数は、初心者の方は3セットを週1回、上級者の方は3セットを週2回程度行うのがおすすめです。
▼ダンベルフロントレイズのコツ&注意点
・まっすぐ上げるのではなく、少し中心に向かってあげるようにしましょう
・肩がすくまないように注意しましょう
・反動を使わずに上げられる重量で行いましょう
腕を交互に上げる方もいますが、そうすると筋肉が休む時間ができてしまうので、片方ずつ連続で行う方が良いでしょう。
ずーみー(泉風雅)
体を使ってあおり上げてしまわないように、体幹をしっかり固定して行いましょう。背中を壁や支柱に預けて行うと、反動を使わずに動作することができます。
(フロントレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
フロントレイズのやり方!三角筋に効くコツをダンベル・バーベル・ケーブル別に解説
出典:Slope[スロープ]
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三角筋の筋トレメニュー⑤ダンベルインクラインフロントレイズ
ダンベルインクラインフロントレイズは、インクラインベンチで行うダンベルフロントレイズです。通常のフロントレイズよりも可動域が広くなり、初動から終動まで三角筋前部に負荷がかけられます。
▼ダンベルインクラインフロントレイズのやり方
①45度くらいの角度にセットしたインクラインベンチに座る
②ダンベルを順手で持ち、肘を伸ばしたまま体の横に下ろす
③腕と体が90度となる角度まで、肘を伸ばしてダンベルを少し回すように上げていく
④ゆっくりと腕を下げ、ダンベルをスタートポジションに戻す
ダンベルインクラインフロントレイズも、ダンベルフロントレイズと同様、あまり強い動きではないため高重量を扱うのが難しい種目です。無理に重量を増やしてしまうとケガをするおそれもあるので、正しいフォームを維持できる重量で回数をこなすようにしましょう。
なお、セット数は他のトレーニングと同じく、初心者の方は週1回3セット、上級者の方は週2回6セット程度がおすすめです。
▼ダンベルインクラインフロントレイズのコツ&注意点
・ダンベルを上げる範囲は体と腕が90度程度のところまでにしましょう
・腕は外に回すように下ろしましょう
腕を回さずにダンベルを上げると、ダンベルがベンチや体にぶつかってしまいます。腕を外に回すことで、そうした問題を回避することができます。
ずーみー(泉風雅)
通常のフロントレイズでは初動位置での負荷が小さく、終動位置での負荷が大きくなります。一方、インクラインフロントレイズは初動からしっかりと負荷をかけることができるうえ、インクラインにしたぶんさらに大きなストレッチ可動域を得ることができます。
(インクラインフロントレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
インクラインフロントレイズのやり方!角度・回数など肩に確実に効かせるコツを解説
出典: Slope[スロープ]
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三角筋の筋トレメニュー⑥ダンベルショルダープレス
ダンベルショルダープレスは三角筋前部に強い刺激を与えることのできる複合関節種目です。安定したポジションで高重量を扱えるため、三角筋前部に強力な負荷を掛けることができます。
▼ダンベルショルダープレスのやり方
①インクラインベンチを90度から1つ下げた高さに設定する
②ベンチに座り、肘が耳の横で90度になるようにダンベルを構える
③少し三角形になるような軌道を意識して、左右のダンベルを近づけるように上げる
④上腕が地面と水平かそれよりも少し下になるくらいの位置までダンベルを戻す
ダンベルショルダープレスの最適な回数は、筋トレの目的によって変わります。筋力アップが目的の場合は1回~6回、筋肥大が目的の場合は6回~12回、筋持久力アップが目的の場合は15回以上を目安にしてください。重量は、その回数で限界のくるものを扱います。セット数は他のトレーニングと同様に、トレーニングのステータスによって設定しましょう。
▼ダンベルショルダープレスのコツ・注意点
・肘はダンベルの真下にくるようにしましょう
・ダンベルを上げすぎないようにしましょう
・肩がすくむと負荷が僧帽筋に逃げてしまうので、肩をしっかりと下げましょう
高重量に挑戦するときは、最初の一回がきついので、他の人に補助してもらうと良いでしょう。
ずーみー(泉風雅)
インクラインベンチを90度に設定すると、腕が体の真横に来て肩がすくみやすくなります。そのため、ベンチの設定は90度からひとつ下げたところがおすすめです。
(ダンベルショルダープレスのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
ダンベルショルダープレスのやり方!重量・角度など肩をデカくするコツを解説
出典:Slope[スロープ]
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三角筋の筋トレメニュー⑦ダンベルリアレイズ
ダンベルリアレイズは三角筋後部に効果的な負荷をかけることができる種目です。上半身を前傾させたベントオーバーで行うやり方と、インクラインベンチを使うやり方がありますが、今回はベントオーバーでの鍛え方を解説します。
▼ダンベルリアレイズのやり方
①地面に対して上体の角度が30度くらいのベントオーバーポジションでダンベルを持つ
②肘の曲げ伸ばしが出ないようにダンベルを体の横に上げる
③スタートポジションに戻る
ダンベルリアレイズの最適な回数や重量は、ダンベルショルダープレスなどと同様に筋トレの目的によって設定してください。セット数も同じく、トレーニングのステータスに応じて変えます。正しいフォームで限界まで追い込むことが重要なので、無理に回数や重量、セット数を増やさないようにしてください。
▼ダンベルリアレイズのコツ&注意点
・肩甲骨を動かさず、体幹と肩のラインが「Tの字」の形になるように意識しましょう
・腕を動かすときは、肘を軽く曲げたまま回すというイメージで動かしましょう
・頭側から見てM字をつくるようなイメージで上げましょう
三角筋に効かないように感じられたら、肩甲骨の動きを見直しましょう。また、肩関節を外旋する意識を持つと、かなり強力な収縮感が得られます。
ずーみー(泉風雅)
リアレイズは、三角筋後部の筋肉繊維の方向を意識しながら動作を行いましょう。ダンベルを上げれば上げるほど負荷が大きくなるため、三角筋の後部を動かす感覚がつかみやすい種目です。
(リアレイズのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)
リアレイズのやり方!三角筋後部に効かせるコツをダンベル・ケーブルなど種類別に解説
出典:Slope[スロープ]
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三角筋をダンベルで鍛えて綺麗な肩回りに
肩の筋トレをしているのに筋肥大しないという方は、特定の種目しか行っていないというケースが多いです。肩のトレーニングは三角筋という筋肉の構造をしっかり理解して、前部、中部(側部)、後部に分けて丁寧に鍛えていくことが大切です。
三角筋は上半身の見た目において非常に重要な筋肉です。三角筋が発達していると、肩幅は広く、ウエストは細く見せることができます。ダンベルで三角筋を鍛えて綺麗な肩回りを手に入れましょう。