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前鋸筋の筋トレ&ストレッチメニュー!構造・作用〜鍛え方のコツまで徹底解説

2020年04月29日

胸腕筋のひとつである前鋸筋。前鋸筋を鍛えることによってパフォーマンスの向上や男らしい胸板、女性らしいバストアップ、姿勢改善などさまざまなメリットがあります。この記事では、前鋸筋の鍛え方のコツや、ストレッチ、トレーニング方法など詳しく紹介します。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

前鋸筋の構造・作用

出典:https://gr-seikotsu.jp/news/%E3%80%90%E4%B8%80%E9%96%A2%E5%B8%82%E3%80%80%E6%95%B4%E9%AA%A8%E9%99%A2greenroom%E4%B8%80%E9%96%A2%E3%80%91%E8%82%A9%E3%81%AE%E7%97%9B%E3%81%BF%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%AF%E8%82%A9%E4%BB%A5/

前鋸筋の筋トレやストレッチメニューを紹介する前に、前鋸筋とはどんな筋肉でどんな作用があるのかを知っておきましょう。

構造

▼前鋸筋の起始停止

起始:第1~9肋骨の外側
停止:肩甲骨の内側縁前方

前鋸筋は、側胸部の深層に位置した筋肉です。上部と下部に分けることができ、下部は表層で確認することが可能です。名称のとおり鋸状(のこぎりじょう)に肋骨に付着しているのが特徴です。

作用・役割

前鋸筋の主な役割は以下の3つになります。

・肩甲骨回旋
・肩甲骨外転
・肩甲骨上方回旋

肩甲骨を前外方向に引き出したり、肋骨を斜め上に引き上げる作用は、日常ではモノを押す、深呼吸をする、上のモノをとるなどの動作です。前に出した腕をさらに押し込むときに作用する筋肉で別名ボクサー筋とも呼ばれています。

筋トレメニューからみたい方はこちら

前鋸筋の筋トレ・ストレッチをするメリット

出典:https://www.sfphes.org/2019/09/Serratus.html

前鋸筋の筋トレ・ストレッチをするメリットは以下の3つになります。

・姿勢が良くなり猫背・巻き肩などが改善
・体にメリハリが出やすく見た目がよくなる
・スポーツのパフォーマンスが向上

それでは詳しくみていきましょう。

姿勢が良くなり猫背・巻き肩などが改善

猫背や巻き方の原因のひとつとして考えられるのは、前鋸筋が緊張して肩甲骨を前と外に引っ張ることです。例えば、デスクワークなど、腕を前に出して上半身が前かがみの状態を続けているとこのような状態になります。前鋸筋を鍛えることによって肩甲骨の可動域が広がるので姿勢がよくなります。つまり姿勢を正しくすることで猫背が改善されるのです。

巻き肩とは、横から見た時に肩が脇・耳よりも前に出ている状態のことをいいます。前鋸筋の伸縮性の衰えによって肩甲骨の位置がずれていることが原因です。前鋸筋を鍛え、伸縮性をもたせることで肩甲骨を正しい位置に安定させ巻き肩を改善します。


(オフィスでできる筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

体にメリハリが出やすく見た目がよくなる

前鋸筋を鍛えることによって体にメリハリを出し見た目がよくなるというメリットもあります。前鋸筋が発達することによって肩甲骨が横に開きすぎないので胸板が厚くなります。女性の場合は前鋸筋を鍛えることによってバストアップ効果が期待できます。

スポーツのパフォーマンスが向上

前鋸筋が収縮した場合、肩甲骨は前外方に引かれ、肋骨は斜め上方へと引き上がります。そしてこの2つが連動すると、前に出した腕をさらに前へと押し出す動きになります。腕を押し出す力が上がるので、前鋸筋のトレーニングはボクシング、空手のパンチのような打撃格闘技や、野球・ゴルフのスイングなどスポーツの競技能力向上に効果的です。

前鋸筋は別名で「ボクサー筋」とも呼ばれる、スポーツ競技において重要なインナーマッスルです。腕が伸びた状態からさらに拳を押し込むこの動作がパンチ力に大きく影響することが、「ボクサー筋」と呼ばれる由来です。

(ボクサーと筋トレとの関係については以下の記事も参考にしてみてください)

前鋸筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ

前鋸筋は大胸筋などの上半身のトレーニングを通して肩甲骨や肋骨を動かす際に鍛えられていきます。上半身の見栄えは大胸筋にも大きく影響されるので、前鋸筋だけにこだわり過ぎず、バランス良く筋トレを行いましょう。

前鋸筋のトレーニング①ディップス

前鋸筋を鍛える筋トレとして自重トレーニングのディップスを紹介します。ディップスは足を浮かせた状態で肘の曲げ伸ばし動作を行う種目です。主に 大胸筋下部や上腕三頭筋が主に鍛えられますが、三角筋前部などにも効果があります。


▼ディップスのやり方

①肩幅よりも少し広めにディップスバーを持ち、足を浮かせる
②前腕をバーに対して垂直に保ったまま前傾する
③みぞおちが両手首を結んだライン上に来るように降ろしていく
④大胸筋下部がストレッチされていることを感じたら切り返す

通常のディップスは負荷を調整することができない自重トレーニングです。そのため正しいフォームで行うことができる限界の回数まで追い込むようにしましょう。無理に回数を設定するのではなく、まずは正しいフォームで限界まで追い込むことが大切です。常に筋肉へ負荷を与えていることを意識しながら行うようにしましょう。

▼ディップスのコツ&注意点

・直立した状態だと肩関節の前方に大きなストレスがかかるのでNG
・肩を傷めるリスクがあるため、足を後ろに組んで前傾すること
・無理に可動域を広げると肩関節を傷め、大胸筋にも効かなくなるので要注意
・肘をあまり曲げすぎると上腕三頭筋にかかる負荷が大きくなるので、前腕は垂直に

自宅でディップスに取り組みたい方はある程度座面が高い椅子や、安定した机の上面などがオススメです。用意できない場合は専用のディップスタンドを使ってトレーニングを行いましょう。ディップスタンドはディップスの他にナナメ懸垂などにも使えるので、自宅トレーニングではかなり役に立つアイテムです。

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ずーみー(泉風雅)

直立のままでディップスを行い、大胸筋下部ではなく三頭筋を狙うという方もいますが、あまりオススメはしません。ディップスで上腕三頭筋を鍛えたい場合は、上体を立てるのではなく手幅を狭くしてみましょう。

(ディップスのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

前鋸筋のトレーニング②アップライトロウ

次に紹介する前鋸筋トレーニングはアップライトロウです。アップライトロウはバーベルを直立(アップライト)で上方向へ引き(ロウイング)、三角筋や僧帽筋の上部、前鋸筋を鍛えます。シュラッグとサイドレイズの中間のような種目で、僧帽筋と三角筋のどちらか片方だけを動かすのではなく、両方をバランスよく動かすことが大切になります。

▼アップライトロウのやり方

①バーベルを肩幅より少し広いくらいの幅で握り、直立姿勢になる
②直立姿勢になったら身体に沿わせながら挙げていく
③バーベルを挙げたら元の位置まで戻す

筋力アップを目指す場合は1~6回、筋肥大のためなら6~12回、筋持久力アップを目指すなら15回以上で限界が来る重量がおすすめです。ちなみに筋肥大を目指す場合は限界まで行うことで、軽い重量の高回数でも同じくらいの効果を得ることができます。

▼アップライトロウのコツ&注意点

・左右非対称な挙げ方をしないようにすること
・肩甲骨が動いていないのはNG、僧帽筋もしっかりと使いましょう

高重量を無理に扱うのではなく、正しいフォームで行う事を意識して取り組むようにしましょう。

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ずーみー(泉風雅)

アップライトロウは複合関節種目だということを念頭に置いて筋トレを実施しましょう。僧帽筋もしっかりと使うことで総合的に扱える重量が増えていき、三角筋にも大きな負荷をかけられるようになります。

(アップライトロウのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

前鋸筋のトレーニング③ダンベルプルオーバー

続いて紹介する前鋸筋トレーニングの方法はダンベルプルオーバーです。広背筋や大胸筋下部の筋トレはほとんどがミッドレンジ種目ですが、ダンベルプルオーバーはストレッチ負荷をかけることができます。基本的にはベントアームで行うプルオーバーで取り組みましょう。

▼ダンベルプルオーバーのやり方

①ベンチを横向きに使い、肩甲骨のあたりにベンチのヘリがくるような姿勢になる
②その状態で、手はどちらが上でも構わないのでダンベルを持つ
③頭の上の方へダンベルを降ろし、また胸の前まで戻す動作を繰り返す

回数は、目的が筋力アップの場合は1~6回、筋肥大の場合は6~12回、筋持久力アップの場合は15回以上を目安にしてください。扱う重さは、その回数を行ったときに限界がくる重量がおすすめです。

▼ダンベルプルオーバーのコツ&注意点

・胸はしっかり張り、腰は反りすぎないよう注意する
・ダンベルの上げ下げの際に腰の動きでチーティングをしないよう気をつけましょう
・上腕三頭筋が浸かる場合は、柔軟に肩甲骨を動かして大胸筋を使うようにしましょう

高重量を扱う場合、膝を支えてくれるパートナーがいるとフォームを安定させたままで重量を伸ばしやすいです。頼める相手がいれば一緒にトレーニングしてみましょう。

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ずーみー(泉風雅)

大胸筋と広背筋のどちらを狙うかで肘を伸ばすか、曲げるかにこだわり過ぎず、正しいフォームで筋トレを行うことを意識してください。ストレッチポジションの動作でしっかり負荷をかけることが大切です。

(ダンベルプルオーバーのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

前鋸筋のトレーニング④インクラインチェストプレス

チェストプレスは大胸筋のベンチプレスに似た動きをマシンで行うイメージです。バーベルの軌道が決まっているためベンチプレスのように不安定さがなく、力を出すことに集中しやすいというメリットがあります。そのため、三角筋前部や三頭筋を中心に、大胸筋、前鋸筋などの筋トレを安定した動作で行いたい方にオススメです。

▼インクラインチェストプレスのやり方

①開始ポジションは、手首がみぞおちか少し上あたりの高さになるところ
②挙げきったところで肩甲骨は自然と外に出るため、降ろす時には肩甲骨を寄せて下げる
③肩甲骨を寄せて胸を張り、そのまま大胸筋を使ってハンドルを押していく
④肘は常にマシンの軌道上にくるようにして、負荷のかかる方向と一致させる

筋力アップには1回から6回、筋肥大には6回から12回、筋持久力アップには15回以上で限界が来る重量がおすすめ。筋肥大の場合は限界まで行えば、軽い重量での高回数の筋トレでも同等の効果が期待できます。

▼インクラインチェストプレスのコツ&注意点

・降ろす時は胸を張り肩甲骨を柔軟に使って鎖骨の中心から胸を開くように動かす
・手首が内側に入っていると肘の曲げ伸ばし動作が大きくなり、上腕三頭筋への負荷が増え、大胸筋への負荷が減少するので要注意
・ハンドルを握る力が強かったり、降ろす位置が低すぎると前腕が疲れるので要注意

回数だけをこなすのではなく、正しいフォームで行う事を意識して取り組むようにしましょう。

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ずーみー(泉風雅)

インクラインの場合は専用のチェストプレス台を使うため、降ろす位置がやや上寄りです。そのため、鎖骨の少し下あたりを目がけて降ろしていくような高さに設定すると大胸筋上部を狙いやすいです。

(チェストプレスについては以下の記事も参考にしてみてください)

(動画で見たい方はこちら)

前鋸筋のトレーニング⑤デクラインチェストプレス

デクラインチェストプレスは大胸筋の下部を鍛えるトレーニングです。デクラインチェストプレスは専用のものだけでなく、通常のチェストプレスやケーブル、ダンベルでも行えます。マシンを使用する場合はバーを押し下げる角度を保ち、正しいフォームで取り組むことが重要です。

▼デクラインチェストプレスのやり方

①マシンの設定を自分に合った負荷にする
②マシンにぴったりと身体をつけ、座面に浅く腰掛けて両足も床につける
③両肩を落として肩甲骨を寄せ、胸を張る
④息を吐きながら両腕を斜め前下方向へ押し出す
⑤少しキープしてからゆっくり息を吸いバーを戻す

ダンベルチェストプレスの場合はダンベルを使って筋トレを行うため、マシンで行うよりも不安定性が増します。そのため、マシンとは違った筋繊維の刺激を行うことができます。初心者の方は10~15回程度を目安に、3セット実施しましょう。オーバーワークは肩や肘を痛める可能性があるため注意してください。

▼デクラインチェストプレスのコツ&注意点

・マシンにぴったり身体をつけていないとふらついて負荷がバランスよくかかりません
・押し下げる動作の時に、胸や腰を反り過ぎないように注意してください

ダンベルを使う際は手の根元に載せるようなイメージで軽く握り、肘はダンベルの真下にくるようにすると疲労感が減ります。インクラインチェストプレスなどで筋トレを行うと肩が痛くなる、という方はデクラインチェストプレスを試してみてください。

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ずーみー(泉風雅)

前鋸筋などの筋肉を効果的に鍛えるためにマシンの調節はしっかり行っておきましょう。背面シートやハンドルは、胸を張ると大胸筋が軽くストレッチされている感覚が開始位置でわかるところにすると良いです。

前鋸筋のトレーニング⑥インクラインベンチプレス

インクラインベンチプレスはバーベルを使ってプレスを行い、大胸筋上部や前鋸筋を鍛える筋トレです。大胸筋上部の走行と動作の軌道が一致し、ダンベルプレスよりも安定性が増しています。大胸筋は下部だけ発達していても身体の厚みを強調できないので、大胸筋上部の発達のためにインクライン種目を取り入れてトレーニングしていきましょう。

▼インクラインベンチプレスのやり方

①ベンチを30~45度程度の高さに調整する
②インクラインベンチに寝て足をしっかり地面につける
③バーが胸についた時に前腕が地面に対して垂直になるよう握る
④胸を開き過ぎて肩をすくめないようにラックアウトして降ろす

初心者の方は肩の柔軟性が足りないことが多いため、初めは狭い範囲で上の方から徐々に下へ降ろせるようにしましょう。トレーニングの頻度は週1回よりも週2回が効果的とされています。上級者の方は大胸筋上部の動きが特に大きい、ボトムからミッドレンジまでの範囲で往復するテクニックに挑戦するのがオススメです。

▼インクラインベンチプレスのコツ&注意点

・ラックアウトの際は鎖骨の中心からガバッと胸を開くように横アーチを作る
・肘は常にバーベルの真下に来るように、大胸筋上部の走行に沿った軌道を意識する
・腕を降ろす位置は鎖骨の少し下あたりで、水平からおおよそ30度ほど
・肩甲骨は降ろす時は横アーチを作り、挙げる時は自然に出てくるよう意識する

フラットのプレスよりも上から負荷がかかるため、肩は自然と下がりやすくなります。このように動かすことで、大胸筋上部の走行と負荷の方向が一致します。

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ずーみー(泉風雅)

日本ではベンチプレスなどフラットベンチで行う中部・下部の種目が人気ですが、米国などでは胸のトレーニングを上部の種目から行うのが一般的といわれています。

(インクラインベンチプレスのやり方については以下の記事も参考にしてみてください)

(動画を見たい方はこちら)

前鋸筋のトレーニング⑦ショルダーフロート

ショルダーフロートは、前鋸筋を鍛えることができる筋トレです。ダンベルひとつだけあればでき、自宅でも手軽にできるので忙しくてジムに行けない方などにもおすすめです。

▼ショルダーフロートのやり方

①仰向けにねる
②両手でダンベルを握る
③そのまま上にあげて下げる

回数は12回×3セットを目安に行うようにしましょう。セット間の休憩は60~90秒に設定するのがおすすめ。頻度は2日~3日おきが理想ですが、疲労度に応じて調節をしましょう。

▼ショルダーフロートのコツ&注意点

・軽い重量のものから始める
・肩甲骨を浮かせるように意識する

体に痛みを感じたら注意にするか、もう一度正しいフォームを確認・見直しするようにしましょう。

前鋸筋のトレーニング⑧チューブパンチ

チューブパンチは、チューブを使って前鋸筋を鍛えるトレーニングです。チューブがあれば自宅でも簡単に行う事ができます。

▼チューブパンチのやり方

①チューブを自宅の柱などにかける
②右足を前に出し両手でチューブを持ち、パンチを打つように左右前に出して引く
③②の動作を繰り返す
④左足を前に出し同じ動作を繰り返す

基本的に筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上で限界が来る重量が目安です。ちなみに筋肥大が目的なら軽い重量でも限界まで追い込むことで同等の効果が期待できます。

▼チューブパンチのコツ&注意点

・パンチを打つときは身体をねじるようにすることでくびれを作ることができます

チューブの長さなどを調節することで負荷を変えることができるのでご自身のレベルに合わせて強度を調節しましょう。ただし、無理に高負荷をかけると故障につながるので気を付けましょう。

前鋸筋のトレーニング⑨セラタスプッシュアップ

セラタスプッシュアップも前鋸筋を鍛えるトレーニングとしておすすめです。

▼セラタスプッシュアップのやり方

①プランクのように肩の真下に肘をつけた状態でうつぶせにねる
②上半身を持ち上げる
③肩甲骨を寄せるようにして地面に近づけていく
④そのまま肘で床を押すようにして身体をあげる

まず正しいフォームで行う事を意識して10回をやってみましょう。

▼セラタスプッシュアップのコツ&注意点

・頭から膝、もしくはお尻までが一直線になるように身体を持ち上げましょう
・腰の動きが出ないように注意する
・おろすときはゆっくりとおろすように意識する

脇の下あたりを使っている感覚があればOKです。初心者の人はまずは膝をついた状態からはじめ、慣れたら膝を上げた状態で行いましょう。上級者は手をついてプッシュアップの体勢から行うのもおすすめです。

前鋸筋のストレッチメニュー

前鋸筋は肩甲骨の裏側から肋骨にかけて付着しているインナーマッスルで、前鋸筋によって肩の動きがスムーズになります。肩の動きが悪い方は、前鋸筋よりも肩を上げる僧帽筋や三角筋が優位に働いている状態です。そのため、逆に肩を下げる働きがある前鋸筋を鍛えることで僧帽筋や三角筋の働きを抑え、肩周りの筋バランスを整えることが大切です。

肩こりがひどい方や猫背になっている方も前鋸筋がうまく働いていない可能性があるので、日頃から簡単なストレッチを行うことを習慣づけましょう。

前鋸筋のストレッチ①

猫背の改善に効果的な前鋸筋ストレッチの方法です。このストレッチはマシンを使わず立った状態で取り組むことができ、肩のこりや痛みで悩んでいる高齢者の方や女性の方も簡単に取り組みやすいのでオススメです。手軽なリハビリとしても行えるので、日頃からこまめにストレッチを実施してみましょう。

▼前鋸筋に効くストレッチのやり方

①脱力をした状態で直立する
②首がすくまないように注意しながら、腰からお尻の上部かけて手を当てる
③手でお尻と腰を前に押し出していく
④お腹が突き出てきたら肩甲骨を大きく寄せる
⑤30秒ほど呼吸を止めずにキープする
⑥姿勢を戻してリラックスし3セット繰り返す

▼前鋸筋に効くストレッチのコツ&注意点

大胸筋にストレッチがかかると前鋸筋にストレッチがかからないため、肋骨を広げるイメージで肩甲骨を寄せましょう。動画を参考に、正しい姿勢でストレッチに取り組んでください。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

前鋸筋は胸の筋肉ですが、筋膜を介して外腹斜筋ともつながっています。そのため、このストレッチのように胸だけでなくお腹からストレッチをかけてあげると、より効果的なストレッチができます。

(猫背改善に効果があるリバースプランクについては以下の記事も参考にしてみてください)

前鋸筋のストレッチ②

前鋸筋と接合している肩甲骨を柔らかくするための前鋸筋・小胸筋に効果的なストレッチです。前鋸筋や小胸筋をストレッチすることで肩甲骨の動きが広がり、猫背や巻き肩の改善につながります。壁さえあれば自宅で続けることができるので、トレーニングと合わせて前鋸筋を鍛えていきましょう。

▼前鋸筋・小胸筋に効くストレッチのやり方

①30~40cm程度の間隔を空けて柱の横に立つ
②肘を軽く曲げ、前腕が床と平行になるくらいの位置に調整する
③肘を背中の後ろに配置し、肘を曲げた側の足を前に出す
⑤肘が背中側に引き込むように壁に向かって体重をかけていく
⑥正面もしくは反対側に向くイメージで20秒から30秒ほどキープする

▼前鋸筋・小胸筋に効くストレッチのコツ&注意点

脇の下が伸ばされる感じがあれば、前鋸筋や小胸筋のストレッチがしっかりできています。手順に沿ってストレッチを行い、前鋸筋の動きをスムーズにしましょう。

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福田翔馬パーソナルトレーナー

肘を背中に回すだけでなく、胸を張ることと少し捻りを入れることで効果的にストレッチできます。背筋を伸ばして、腕だけでなく胸の動きにも意識を持ちましょう。

(小胸筋の構造&作用については以下の記事も参考にしてみてください)

前鋸筋を鍛えて筋トレ効果をUPしよう

前鋸筋は大胸筋が収縮した状態からさらに腕を前へと押し出す作用を持つインナーマッスルです。前鋸筋のトレーニングをしっかり行うことでスポーツ競技のパフォーマンス上昇が見込めるほか、ベンチプレスのフィニッシュ動作強化にもつながります。前鋸筋を鍛えて筋トレ効果をアップさせましょう。