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インクラインプッシュアップのやり方!大胸筋下部に負荷を掛ける腕立て伏せのコツを解説

2020年05月06日

インクラインプッシュアップは自重で行う筋トレで、通常の腕立て伏せ(プッシュアップ)よりも負荷が少ない種目です。この記事では、インクラインプッシュアップの正しいフォームや効果を解説します。大胸筋下部を鍛えたい方はもちろん、筋トレ初心者もぜひチェックしてください。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

インクラインプッシュアップとは?デクラインプッシュアップとの違いも

インクラインプッシュアップは、通常のプッシュアップ(腕立て伏せ)ができないという方におすすめの自重トレーニングです。手を台の上に乗せて動作を行うので、通常のプッシュアップよりも大胸筋や三頭筋にかかる負荷が小さくなります。

インクラインプッシュアップでは、台の高さが高くなるほど負荷は下がっていくので、初心者は高いところから徐々に下げていくのがおすすめです。それも難しい場合は壁に手を付いた状態で行うのも良いでしょう。

上の画像は足を台の上に乗せて腕立て伏せの動作を行うデクラインプッシュアップです。重心が上半身側にずれるため、インクラインプッシュアップや通常のプッシュアップよりも大胸筋の上部に負荷がかかりやすくなります。自重トレーニングの中でも負荷が強い種目です。

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ずーみー(泉風雅)

初心者は、まずインクラインプッシュアップからスタートし、マスターできたら通常のプッシュアップ、デクラインプッシュアップ、ベンチプレスディップスという具合に負荷を高めていきましょう。

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(デクラインプッシュアップのやり方については以下の記事も参考にしてみてください。)

インクラインプッシュアップで鍛えられる筋肉部位、得られる効果

インクラインプッシュアップにより鍛えられる筋肉部位を解説します。負荷をかける筋肉を意識することで、効率よく筋トレをすることができます。

(胸の筋肉の名前については以下の記事も参考にしてみてください。)

大胸筋の下部

出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html#chapter-1

胸の筋肉である大胸筋は、腕を前面に押し出すとともに腕を前方で閉じる作用があります。上部・下部・内側に分けられますが、インクラインプッシュアップでは特に下部に負荷をかけることができます。大胸筋下部は大胸筋のアウトラインの演出にとても重要なので、しっかりと鍛えていきましょう。

(大胸筋下部の鍛え方については以下の記事も参考にしてみてください)

その他の筋肉

出典:https://www.sfphes.org/2019/08/musclename.html

インクラインプッシュアップを含むプッシュアップでは、他にも上腕三頭筋三角筋の前部などにも負荷をかけることができます。

上腕三頭筋は腕のなかで最も大きな筋肉で、肘の曲げ伸ばしや腕を押し出す働きがあります。三角筋は肩にあり、その前部は上腕三頭筋と一緒に上半身の押す動きを担っています。これらの筋肉を鍛えることで、引き締まった逆三角形の上半身を作ることができます。

インクラインプッシュアップの効果的なやり方

インクラインプッシュアップは自分の体重を負荷にして行う自重トレーニングです。手軽に行えるため人気がありますが、間違った方法で行っている人も多い種目です。誤ったフォームでは肩甲骨の動きが悪くなり、や肘、手首が痛くなってしまうこともあります。

筋トレは、正しいフォームで行ってはじめて効果が発揮されます。ここからはインクラインプッシュアップの効果的なやり方を解説するので、ぜひ参考にしてください。

①腕立て伏せの正しいフォームを作る

まず、椅子など高さがある台を用意しましょう。身体の角度が30度くらいになるもの(身長の半分くらいの高さ)が理想です。両手をその台に乗せてプッシュアップのフォームを作ります。

プッシュアップのフォームは、横から見たときに手、肩、足がしっかりと直角三角形になるのが基本です。腰が浮いたり、下がったりしないように注意しましょう。初心者の方や女性の方は膝をついても大丈夫です。この姿勢はインクラインプッシュアップだけでなく、他のプッシュアップ種目でも役立ちますので、しっかりとマスターしましょう。

(腕立て伏せの正しいフォームについては以下の記事も参考にしてみてください。)

②肘を曲げて体を降ろす

腕立て伏せの基本フォームができたら、身体を一直線に保ったまま上体を下ろしていきます。肩がすくまないように注意して、鎖骨の中心からガバっと胸を開いていく感覚で行うと、大胸筋をしっかりと動かすことができます。

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ずーみー(泉風雅)

下ろしたときに、手首を結んだラインにみぞおちかそれよりも少し上が来るようなポジションで、前腕が地面と垂直になるのが理想です。手幅は肩幅の1.3〜1.4倍程度になります。

③肘を伸ばして体を戻す

肘を伸ばしながら上体を上げ、元のポジションに戻ります。

インクラインプッシュアップのコツ&注意点

インクラインプッシュアップでよく見られる間違ったフォームを紹介します。大胸筋への負荷が感じられないときや、手首などが痛くなってしまったときは、インクラインプッシュアップのフォームが正しくできているか確認してください。

肩甲骨を寄せられていない

インクラインプッシュアップで特に多いのが、肩甲骨が寄せられておらず、肩がすくんで上がってしまうという間違いです。これでは身体をスムーズに下ろすことができず、肩の前の方にストレスがかかってしまいます。肩の痛みも出やすくなってしまうので、しっかりと胸を開いて地面を迎えにいくように肩甲骨を寄せていくことが重要です。

肩甲骨が外に出すぎている

このように、肩甲骨が外に出過ぎるのも良くありません。このフォームでは肩甲骨を前に出す前鋸筋という筋肉に負荷がかかってしまい、大胸筋から負荷を奪う形になってしまいます。肩甲骨は自然に軽く外に出る程度にとどめましょう。そうすることで、大胸筋の収縮感がつかめるはずです。

手の平に体重が乗る

手のひらに体重をかけてしまうのも間違ったフォームです。この状態では手首が反りかえり、手首の痛みが出やすくなってしまいます。身体の重さを手首の根元で受けるようにすると手首の痛みを回避しやすくなります。

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ずーみー(泉風雅)

正しくできているか不安な方や、フォームを意識してもどうしても手首に痛みが出てしまう方は、プッシュアップバーの購入を検討してください。プッシュアップバーを使用すれば、手首の痛みを避けられる可能性が高くなります。

インクラインプッシュアップの最適な回数・セット数

インクラインプッシュアップの最適な回数は8~12回です。インクラインプッシュアップは台の角度が高いほど負荷が軽くなるので、まずは台を8~12回行える程度の高さに調整し、トレーニングを始めましょう。慣れてきたら角度を下げて、負荷を上げていくのがおすすめです。

ただ、正確なフォームを維持することは常に意識してください。無理に負荷を上げるのではなく、インクラインプッシュアップの正しいフォームが維持できる範囲でトレーニングを行うことが重要です。負荷が大きすぎてフォームが崩れてしまうと、ケガをしてしまうおそれもあります。

また、インクラインプッシュアップの最適なセット数は、トレーニングのステータスによって変わります。初心者なら週1回3セット、上級者なら週2回6セット程度がおすすめです。トレーニングのステータスが上がったと感じたら、セット数や頻度を増やすと良いでしょう。

(筋トレのセット数・回数については以下の記事も参考にしてみてください。)

【負荷UP】バランスボールを使用したインクラインプッシュアップ

インクラインプッシュアップのアレンジとして人気が高いのが、バランスボールを使ったトレーニングです。通常の自重トレーニングとしての負荷に加え、バランスが取りづらくなるため広背筋など体幹の筋肉も鍛えることができます。椅子やベンチなどを使ったインクラインプッシュアップに慣れてきたら、ぜひ挑戦してください。

▼バランスボールを使ったやり方

①バランスボールに両手をつけて腕立て伏せの基本姿勢を作る
②鎖骨の中心からガバッと胸を開いていく感覚で肘を曲げる
③肘を伸ばして元の体勢に戻る

バランスボールでインクラインプッシュアップを行うときは、正しいフォームで行うことができる限界の回数を行うといいでしょう。なお、セット数は通常のインクラインプッシュアップと同様に、初心者の方は週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。

▼バランスボールを使った効果・メリット

通常のインクラインプッシュアップと同様に、肩甲骨を寄せながら胸を開いて下げることを意識してください。

(バランスボールを使った筋トレについては以下の記事も参考にしてみてください。)

インクラインプッシュアップの効果を高める為のポイント

インクラインプッシュアップを行う際に注意してほしいポイントや、トレーニングのコツを解説します。呼吸法などにも気を配って、効果的にトレーニングを行ってください。

頻度を高め過ぎない

筋トレは週1回よりも週2回の方が効果があるとされていますが、週3回以上行ったときにそれ以上の効果を生むかはわかっていません。筋トレの効果を早く得たいがためにインクラインプッシュアップをやりすぎてしまうと、オーバーワークになりケガをするリスクが高くなります。

インクラインプッシュアップを行うときは、休息もしっかりと取りながら自分に合ったペースですすめるようにしましょう。

ヴァルサルバ呼吸法

呼吸については、上体を起こしながら息を吐き、上体を下ろしながら息を吸うようにと指導されることが多いですが、これを律儀に守っている人はあまりおらず、実際には上体をあげる時に息を止めて力を出している人がほとんどのようです。この「息こらえ」をする呼吸法をヴァルサルバ法と呼びます。

ヴァルサルバ法は、筋肉が力を出しやすいだけでなく、腹圧が上がり体幹が安定性を増すというメリットもあります。しかし一方で、血圧が上がりやすいという弱点もあります。そのため、心血管系リスクを抱えた方にはおすすめできません。呼吸法は、必ず医師の指示に従ってください。

ただ、リスクがない健康な方は、ヴァルサルバ法で行った方が力が出しやすく、体幹も安定するのでかえって安全です。インクラインプッシュアップにおいては、広背筋などの体幹部も鍛えたいときはヴァルサルバ法で行い、肩甲骨を柔軟に使いたいときは「上体を起こすときに息を吐き、上体を下ろしながら息を吸う」という呼吸法で行うと良いでしょう。

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ずーみー(泉風雅)

「上げながら吐き、下ろしながら吸う」という呼吸法は体幹の固定力が弱いため、筋トレの種類によっては腰を痛める可能性もあります。そのため、心血管系にリスクがない方は、大きな力を出したり、体幹を固定したりする必要がある筋トレはヴァルサルバ法で行うと良いでしょう。

一緒に行うと効果的なメニュー

インクラインプッシュアップを行うときは、上腕三頭筋のエクステンション種目であるライイングトライセプスエクステンションや、広背筋など背中を鍛えるラットプルダウン、ベントロウ、斜め懸垂なども一緒に行うことをおすすめします。ぜひ実践してみましょう。

インクラインプッシュアップで腕立て伏せの強度をさらに上げよう

インクラインプッシュアップは通常の腕立て伏せよりも負荷が小さいため、筋トレの最後の追い込みにも使える種目です。インクラインプッシュアップや通常のプッシュアップで大胸筋の上部から下部をしっかりと鍛えつつ、ラットプルダウンなどで広背筋などの背中の筋肉も鍛えて、美しい逆三角形の上半身を手に入れてください。

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