中間広筋の構造・作用
中間広筋は、太ももにある大腿四頭筋のひとつで、起始停止は大腿骨体の前面と膝蓋骨や脛骨粗面です。膝関節を伸展させる役割を持っており、日常的な動作では正座から立ち上がったり、歩いたり、走ったり、階段を上ったりするときに使われます。
中間広筋は大腿直筋の後ろにあり、触ることができないので、筋トレをしてもその効果がわかりにくい筋肉です。しかし、スポーツだけでなく日常生活でも頻繁に使用される筋肉なので、しっかり鍛えて下半身を安定させましょう。
なお、中間広筋を含む大腿四頭筋は肉離れを起こしやすい筋肉でもあります。肉離れは筋肉が収縮したときに発生し、特に大腿四頭筋の場合は全力で走ったときなどに起こります。また、疲労がたまったときにも起こりやすいです。中間広筋をはじめ大腿四頭筋の筋持久力を上げたり、ストレッチしたりすることで、肉離れのリスクを下げることができると言われています。
中間広筋の筋トレ・ストレッチをするメリット
中間広筋は、他の筋肉の下にあり、外側に出ていないため、どこにあるのかわかりにくい部位です。しかし、膝関節を動かす作用を持っているうえ、大腿四頭筋という大きな筋肉にも含まれているため、鍛えることでさまざまなメリットがあります。まずは、その内容を詳しく見ていきましょう。
引き締まった太ももが手に入る
中間広筋は太ももを構成する大腿四頭筋のひとつです。中間広筋を含む大腿四頭筋を鍛えることで、太もも全体が引き締まり、たくましい下半身を手に入れることができます。男性らしい筋肉質な脚を目指すなら、ぜひ鍛えてください。
下半身が安定し動作のパフォーマンスがアップする
膝の伸展に携わっている中間広筋をはじめ、大腿四頭筋を全体的に鍛えることにより、足が速くなったり、瞬発力が上がったりといった効果が期待できます。これにより、マラソンなどの走る競技でのパフォーマンスアップが見込めます。また、下半身が安定するので、筋トレ種目の動作改善も期待できるのです。
基礎代謝が上がり太りにくい体になる
基礎代謝を上げるには、大きな筋肉を鍛えるのが効果的と言われています。基礎代謝がアップすると、日常生活のなかで消費できるエネルギーが増えるため、痩せやすく太りにくい体になります。
中間広筋を鍛える際には、中間広筋のみを狙ってトレーニングをするのは難しいため、大腿四頭筋の他の筋肉もセットで鍛えることになります。大腿四頭筋は体のなかでも特に大きな筋肉なので、中間広筋を鍛えることは、結果的に太りにくい体を作ることにもなるのです。
中間広筋の筋トレメニュー&鍛え方のコツ
ここからは、中間広筋を鍛える筋トレ種目や、そのトレーニングのコツなどを解説します。上でも紹介したとおり、中間広筋のみをターゲットにして鍛えるのは困難なので、大腿四頭筋全体に効果が高い筋トレを紹介します。
中間広筋の筋トレメニュー①スクワット
スクワットでは、中間広筋をはじめとする大腿四頭筋のほか、臀筋群、大腿二頭筋、下腿三頭筋、脊柱起立筋などを鍛えることができます。人体のなかでも特に大きな筋肉を鍛えることができるため、基礎代謝が上がり太りにくい身体になることが期待できます。
▼スクワットのやり方
①重心を真ん中において立つ
②お尻を引きながらしゃがむ
③ゆっくりと戻る
自重で行うスクワットの回数は、正しいフォームが維持できる限界の回数です。また、バーベルを担いで行う場合は、筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上を目安にし、重量はその回数で界が来るものを扱いましょう。
スクワットの最適なセット数は、トレーニングのステータスによって変わります。初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。
▼スクワットのコツ・注意点
・重心を足の真ん中(親指の付け根・小指の付け根・カカトの三角形の真ん中どうしを結んだ中点)に置きましょう
・しゃがむときに腰が曲がらないようにしましょう
・膝が内側に入らないようにしましょう
・つま先と膝の位置を一致させましょう
スクワットには、しゃがむ深さや動作によってさまざまな種類があります。フルスクワットの動きが難しいときは、膝が90度くらいのところで切り返すハーフスクワットを行うと良いでしょう。
ずーみー(泉風雅)
フルスクワットは、ハムストリングスのストレングスと柔軟性がないと正しいフォームで行えない種目です。フルスクワットの動作が難しいときは、ハーフスクワットやルーマニアンデッドリフトでハムストリングスを強化しましょう。
(スクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
スクワットの効果&正しいやり方!13種類のフォーム、回数・重量などコツも解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
中間広筋の筋トレメニュー②ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは、中間広筋などの大腿四頭筋、大臀筋、ハムストリングス、内転筋に効果があります。そのため、ヒップアップ効果や、太ももなどの下半身の引き締め効果が期待できます。
▼ブルガリアンスクワットのやり方
①足を椅子などの台に乗せる
②胸を張って前足でしゃがむ
③元に戻る
ウェイトを使用する場合のブルガリアンスクワットの回数及び重量は、スクワットと同様に筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためなら6~12回、筋持久力アップの場合は15回以上で、その回数で限界となる重量で行いましょう。
自重で行う際は、正しいフォームが維持できる限界まで行ってください。セット数もスクワットと同じく、初心者は週に1回3セット、上級者は週に2回6セットを目安にしましょう。
▼ブルガリアンスクワットのコツ・注意点
・ふくらはぎが垂直か少し前に倒れるくらいの位置までしゃがみましょう
・膝が内側に入らないように注意してください
・両足にバランスよく体重を乗せて腰が曲がらないようにしましょう
ブルガリアンスクワットは、足を置く台を高くしたり、ジャンプをしたりすることにより負荷を上げることができます。基本の動作に余裕が出てきた方はチャレンジしてみてください。
ずーみー(泉風雅)
ブルガリアンスクワットは美しい姿勢を保ちたい方や、体力を付けたい方にもおすすめです。ただし、正しいフォームを保てる範囲で行うようにしてください。基本の動きが難しいときは、壁に手をついてもかまいません。慣れてきたらダンベルなどを使用して、負荷を増やしましょう。
(ブルガリアンスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
ブルガリアンスクワットの効果&やり方!片足で行う最強の自重筋トレで下半身強化!
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
中間広筋の筋トレメニュー③ヒンズースクワット
ヒンズースクワットは、大腿四頭筋である大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋の4つに効果的な負荷をかけることができるスクワットです。
▼ヒンズースクワットのやり方
①足を肩幅に開いて立つ
②膝を前に出しながらしゃがむ
③元の姿勢に戻す
ヒンズースクワットの最適な回数は、他の自重トレーニングと同じく正しいフォームが維持できる限界の回数です。また、セット数は、他の種目と同様にトレーニングのステータスに応じて設定してください。
▼ヒンズースクワットのコツ&注意点
・膝を前に出すように意識しましょう
・連続で行うことで、有酸素運動のようにも活用できます
膝の大きな曲げ伸ばしを行うことで、中間広筋やその他の大腿四頭筋に効かせることができます。ただし、ボトムポジションで膝が痛くなりやすいので十分に注意しながら行ってください。
ずーみー(泉風雅)
テンポよく行う場合は腕を振ってバランスを取るとよいでしょう。また、呼吸は、ボトムポジションから切り返すときにフッと吐き、下ろす時に自然に吸うのがおすすめです。
(ヒンズースクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
ヒンズースクワットのやり方!脂肪燃焼・下半身痩せ効果UPのコツをプロが解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
中間広筋の筋トレメニュー④レッグエクステンション(マシン・チューブ・ダンベル)
レッグエクステンションは、中間広筋を含む大腿四頭筋を鍛えることができる筋トレです。専用のマシンを使用して行いますが、ない場合はダンベルやチューブを使用して負荷をかけることもできます。
▼レッグエクステンションのやり方
①マシンに座って、セッティングする
②マシンの横にあるハンドルを握る
③膝を伸ばす
④膝を曲げて元に戻る
レッグエクステンションの回数は、筋トレの目的に応じて設定します。筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上を目安にしてください。重量は、その回数行ったときに限界が来る程度に設定します。
セット数は、他のトレーニングと同じく初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。
▼レッグエクステンションのコツ&注意点
・腰が浮かないように注意しましょう
マシンを使用せずに自宅で行う場合は、ダンベルよりもチューブの方がおすすめです。チューブを引っかけるところがない場合は、片足で抑えながら行うと良いでしょう。
ずーみー(泉風雅)
マシンを使用するときは、しっかりとハンドルを握り、膝をのばしていきます。ハンドルをしっかりと握っておかないと身体が浮いてしまい、負荷が逃げてしまいます。膝以外が動かないように固定しておくのが重要なポイントです。
レッグエクステンションのやり方!太もも前の筋肥大に効果的!自宅代用メニューも紹介
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
中間広筋の筋トレメニュー⑤フロントランジ
フロントランジは、中間広筋をはじめとする大腿四頭筋やハムストリングス、大臀筋、腸腰筋などに負荷をかけることができます。器具を必要としない自重トレーニングなので、自宅でも手軽に行えます。
▼フロントランジのやり方
①両足にバランスよく重心が乗るように立つ
②片足を出して、しゃがむ
③両足の膝が90度程度になるまで腰を落とす
④足を戻して身体を元に戻す
フロントランジは、まずは15〜20回くらい行うのを目標にしましょう。できない場合は、壁などに手をついて行っても構いません。慣れてきたらダンベルやバーベルを使用して負荷を大きくしていくことをおすすめします。セット数は、初心者は週1回3セット、上級者は週2回6セットを目安にしてください。
▼フロントランジのコツ&注意点
・膝がつま先夜も前に出ないようにしましょう
・膝が内側に入らないように意識しましょう
・腰が曲がったり、反ったりしないようにしましょう
重心を真ん中に置くように意識してください。中間広筋のある太ももにしっかりと負荷をかけるには、股関節の動きが重要です。
ずーみー(泉風雅)
フロントランジは片脚を前に出し、戻すことで前脚側の大腿四頭筋やハムストリングス、大臀筋などを鍛えられるほか、後ろ脚側の腸腰筋も鍛えることができます。
腸腰筋は姿勢の維持や腰のポジションにも関わる重要な筋肉です。これらの筋肉をまとめて鍛えられるフロントランジは、脚のストレングスと機能性を同時に強化できる優れた種目と言えます。
(フロントランジについては以下の記事も参考にしてみてください)
フロントランジの効果&やり方!短期間で下半身痩せ!太もも・お尻に効かせるコツを解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
中間広筋の筋トレメニュー⑥シシースクワット
シシースクワットは大腿四頭筋に効果的なストレッチ刺激を与えることができる種目です。特に大腿直筋に効果が高いですが、中間広筋など他の大腿四頭筋にも負荷をかけることができます。
▼シシースクワットのやり方
①胸から腰の高さの台に片手でつかまる
②足を肩幅に開く
③膝を前に出しながらしゃがむ
④元に戻る
シシースクワットの最適な回数は8~12回です。その間で正しいフォームが維持できる回数を行ってください。8回行うのが難しい場合は、しゃがむのを浅くしてできる回数行いましょう。また、セット数は他のトレーニングと同様に設定してください。
▼シシースクワットのコツ&注意点
・膝から頭をまっすぐ一直線にして動作することを意識行いましょう
・膝が痛いときは、可動域を調整してください
シシースクワットは負荷が高く、間違ったフォームでは膝を痛める可能性もある種目です。動作はゆっくりと行い、体が真っ直ぐになることを意識してください。
ずーみー(泉風雅)
上げるときは直立まで上げきらず、直立の一歩手前で止めることで、中間広筋を含む大腿四頭筋に持続的な負荷をかけることができます。さらに負荷を上げたいという方は、プレートを胸の前に抱えるのがおすすめです。
(シシースクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)
シシースクワットのやり方!膝を痛めず、大腿四頭筋に効かせるコツを解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
中間広筋のストレッチメニュー
筋トレで筋肉を使ったあとは、ストレッチでほぐすことが重要です。ここからは、中間広筋や大腿四頭筋全体を柔らかくできるストレッチ種目を解説します。
中間広筋のストレッチ①
座った状態で、大腿四頭筋を伸ばすことができるストレッチです。
▼中間広筋ストレッチのやり方
①片方の足は伸ばし、もう片方は足を畳んだ状態で座る
②後ろに手を付いて上体を後ろに倒す
左右それぞれ20秒ずつを3セット行いましょう。
▼中間広筋ストレッチのコツ&注意点
・膝下を外側に出すと、太もも前の違う部位を伸ばすことができます
・伸ばした足の方に体をねじると、さらにストレッチを効かせることができます
膝の向きにより、大腿四頭筋のなかでも効果のある部位を変えることができます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
中間広筋は大腿骨の真ん中についているので、真っ直ぐに膝を伸ばしましょう。また、単関節筋なので、膝をしっかり曲げるように意識してください。
中間広筋ストレッチと大腿四頭筋ストレッチ
中間広筋を含む大腿四頭筋に効果的なストレッチです。転倒に注意しながら行ってください。
▼大腿四頭筋のストレッチのやり方
①直立の姿勢になる
②片方の膝を曲げ、手で足の甲を引き寄せてお尻にかかとをつける
▼大腿四頭筋のストレッチのコツ&注意点
・手で足の甲やつま先を持ち、太ももとふくらはぎが付くようにしましょう
・腰を曲げないように意識してください
立った状態で行うのが難しい場合は、座ったり、寝っ転がったりしても行えます。
福田翔馬パーソナルトレーナー
股関節を伸展させると、大腿直筋へのストレッチが強くなります。
中間広筋を鍛えて筋トレ効果をUPしよう
中間広筋は、膝を伸展させるときに働く筋肉です。膝を使う筋トレを行う際には、中間広筋が鍛えられていると動作が楽になり、効かせたい筋肉により効果的な刺激を与えることができます。中間広筋を鍛えて、筋トレの効果アップを狙いましょう。