ランニングは老化するし痩せないって本当?論文による理由〜予防対策まで解説

ダイエットや健康維持のために行うことが多いランニング。確かにランニングにはさまざまな効果が期待できます。しかし肌の老化を招く上にやせないという噂も。老化したり痩せない原因はどうやら活性酸素にあるようです。その理由や対策を論文から紐解きます!

監修 |パーソナルトレーナー Riku
instagramTwitterHPTRIGGER POINT Performance Therapy 認定トレーナー2ndpass認定トレーナーBODYBOSS認定トレーナー 法政大学スポーツ健康学部出身。パーソナルトレーナー兼ミラーフイットコンテンツディレクター。2021年6月にパーソナルトレーニングジム『SPICE GYM』を中目黒・恵比寿エリアにて開業予定。王様のブランチなどメディアにも複数出演。お客様のパートナーとして食事管理やトレーニングの指導はもちろんのこと日常生活や仕事での悩みなど身体&精神的な不調に関わることに対してサポート致します。

目次

  1. ランニングは老化するし痩せないという噂は本当?
  2. ランニングによって老化が進むと言われている理由
  3. 活性酸素が発生するから
  4. コルチゾールが発生するから
  5. フォームによる骨へのダメージがあるから
  6. 紫外線の影響
  7. ランニングによる老化を防ぐための対策
  8. 長時間・高い負荷のランニングはしない!
  9. ウォーキングかLSDトレーニングに切り替える
  10. 筋トレをする
  11. ストレッチを必ずする
  12. 紫外線対策をする
  13. ランニングは老化の他にも痩せないとも言われる理由&対策
  14. 理由①筋肉からエネルギーを奪うから
  15. 理由②長時間ランニングした安心感で食べてしまうから
  16. 対策は?
  17. ランニングは老化を加速させる可能性もあるので注意!

ランニングは老化するし痩せないという噂は本当?

健康のために行うランニングは老若男女問わず人気のスポーツ。ですが、ランニングは実は肌をはじめとして内臓や脳などの老化スピードを加速させてしまう可能性があります。特に長距離のランニングを習慣的に行っている方は要注意。体の中から重要な臓器の老化を進ませてしまう可能性が高いのです。

老化を促進してしまうランニングのやり方は健康に良くないだけでなく、痩せにくい体を作ってしまうという側面もあります。ランニングをするとどうして老化してしまうのか、論文を元に解説していきましょう。

ランニングによって老化が進むと言われている理由

ランニングによって老化が進むといわれている理由がいくつかあります。それぞれチェックしていきましょう。

活性酸素が発生するから

活性酸素というのは体内で分泌されるホルモンです。ある研究によるとこの活性酸素は激しい有酸素運動やストレスによって発生します。この活性酸素自体が老ける原因になるのです。この活性酸素は髪や肌の艶やハリを奪う上、血液循環や心臓にも悪影響を及ぼす怖いホルモンです。

増加したビリルビンが運動によって過剰に生じた活性酸素と反応し、酸化分解されて、多くのバイオピリンの生成に至ったことを示唆するものである。

『24時間ウルトラマラソンランニングにおける尿中へのバイオピリン排泄の増加及び酸化ビリルビン代謝』という論文で説明されている通り、運動により過剰に活性酸素が発生します。

活性酸素は悪者ではありますが、実は日常生活でも普通に発生します。それにより人間はゆっくりと老化していくのです。しかし、この活性酸素が急激に発生してしまうと大変。細胞の修復スピードが追い付かずに身体にダメージが蓄積されてしまう結果となります。多くの論文が指摘している通り活性酸素が急激に発生するような運動は避ける方が良いでしょう。

コルチゾールが発生するから

コルチゾールというのはいわゆるストレスホルモン。これはストレスを受けた時に発生するのですが、実は有酸素運動で上昇しやすくなります。コルチゾールが上昇すると体内でストレスに打ち勝つために酸化物質が発生します。しかし最近の研究によるとこの酸化物質が脳や心臓など重要な臓器を攻撃してしまうのです。

陸上運動の実施が, 疼痛, 状態不安, 唾液中コルチゾール濃度に及ぼす影響を比較検討し, 慢性腰痛者に対する水中運動の有用性を調べることを目的とした.その結果, 水中運動の実施に伴い, 唾液中コルチゾール濃度は増加を示した


論文『一過性の水中運動と陸上運動の実施が疼痛,状態不安および唾液中コルチゾール濃度に及ぼす影響』にもある通り、運動をするとコルチゾールは増加しています。

では運動をすれば絶対にこのストレスホルモンからは逃れられないのかというと、そうではありません。ある研究結果から筋トレの場合はコルチゾールを打ち消してくれるホルモンが出ることが分かりました。しかしマラソンなど有酸素運動の場合は打ち消しホルモンが出てくれません。ストレスホルモンを身体が正面から食らってしまう形になります。

フォームによる骨へのダメージがあるから

しっかりと正しいフォームでランニングをしないとケガのもとになります。ケガをすればその部分をかばうのでフォームが崩れてしまうことが多いでしょう。しかしそうなると、膝や関節など思わぬ部分に負荷をかけてしまうことになり、結果として骨にダメージを蓄積させてしまう結果になることも。

特に長距離のランニングを行っている方は筋肉が相当に疲労するので思わぬところで転倒するなどのケガが起こりやすくなります。

また、ある研究によると有酸素運動は骨をもろくしてしまうという報告もあります。骨のミネラルを有酸素運動で奪ってしまうので、結局骨がもろくなってしまうのです。

紫外線の影響

ランニングをしていて目に見える老化といえば肌の老化が挙げられるでしょう。ランナーズフェイスという言葉を聞いたことがあるでしょうか?これはランニングをする人が長時間、戸外で紫外線にさらされたときの皮膚の状態を示す言葉です。

これはストイックに行えば行うほど紫外線の影響を受けてしまいます。もちろん肌細胞も紫外線で老化するのですが、見た目が一気に老け込んでしまうのが問題です。ランナーズフェイスといいますが顔だけでなく、露出している腕や脚すべての皮膚に起こりえる老化です。

ランニングによる老化を防ぐための対策

せっかく健康になるためのランニングでも老化を加速させてしまうのでは本末転倒。ということで、ランニングによる老化を防ぐための対策をチェックしましょう。

長時間・高い負荷のランニングはしない!

長時間・長距離のランニングは効果があるような気がするでしょう。しかし、やったらやっただけ結果が出るというのは思い込みです。適度なやり方、最適なやり方というものがあるのです。老化することなく健康だけを手に入れるには老化の原因である活性酸素を発生させない程度にジョギングやランニングを行えばいいのです。

研究によって判明しているその目安となるのは45分という時間。45分以上のランニングは肉体に負荷がかかりすぎるため、活性酸素が発生してしまいます。ランニングやジョギングを楽しむなら45分以内に抑えるようにしましょう。また全力疾走に近いような高い負荷のランニングも活性酸素の原因になるので気を付けてください。

(ランニングの最適な距離や時間については以下の記事も参考にしてみてください)

ランニングは健康効果たくさん!最適な距離・時間・ペース・時間帯など徹底解説!

ウォーキングかLSDトレーニングに切り替える

LSDはロングスローディスタンスの頭文字をとった単語。ゆっくりとランニングを行うことで負荷を下げて運動を行うという意味です。ゆっくりなウォーキングもおすすめ。筋肉に持久力を付けることができ、毛細血管が活性化するので多くの酸素を体内に取り込むことが可能になります。酸素を多く取り込めれば、細胞の代謝が促進され老化を防ぐことができるでしょう。

また老化対策には負荷の少ないジョギングもおすすめです。ジョギングはランニングよりもスピードがかなりゆっくり。走りながらおしゃべりを楽しんだり、景色を眺めたりできるスピードで行うものです。息切れするようなスピードで走るとその分活性酸素が発生しやすくなるのでジョギングも取り入れてみると良いでしょう。

(スロージョギングについては以下の記事も参考にしてみてください)

スロージョギングは消費カロリーが高い?ウォーキングの2倍?計算方法まで解説!

筋トレをする

ランニングの話をしているのになぜ筋トレ?と思われるかもしれません。しかし筋トレは老化を防ぐのにとても効果的です。研究から筋トレを行うとタンパク質同化ホルモンというものが分泌されることが分かっています。このたんぱく質同化ホルモンは筋肉や骨などを作り出し、有酸素運動で発生した活性酸素のダメージを打ち消してくれるのです。

同時に筋トレは骨にとっても良いといわれています。骨密度をあげて骨粗鬆症を予防する働きも期待できます。ランニングと同時にトレーニングの中に取り入れて損はないでしょう。

ストレッチを必ずする

筋トレをするほどではないと思う方にはストレッチもおすすめです。ランニングの延長で気軽に行うこともできます。しかし、筋肉がつかれているのに、更に有酸素運動をしたら余計に老化が進むのでは?と思うかもしれません。

ストレッチはほかの有酸素運動とは別物でしっかりと筋肉を伸ばすことで血液が全体にいきわたり、疲労回復や筋肉の修復スピードが上がります。同時に膝などの関節をクールダウンできるのでさらに効果的です。

激運動後に作業能力の回復を促進する手段として, ストレッチングとスポーツマッサージは有効であると考えられる.軽運動については, 運動強度が適切に処方されるならば有効と考えられるが, さもないと逆効果となる可能性もある.

論文でもしっかりと効果があると発表されています。また、ランニングによって発生した活性酸素が脳にダメージを残すことを防ぐ効果も期待できます。ストレッチをすると気分が良くなるだけでなく、ストレッチは前頭前野局所脳血流をアップさせたという結果もあります。脳にとっても良い効果があるのなら取り入れない手はありません。

(ストレッチについては以下の記事も参考にしてみてください)

【寝ながらストレッチ特集】背中・腰・股関節などの簡単メニュー17選を大公開

紫外線対策をする

ランナーズフェイスにならないためには紫外線対策をしっかりと行う必要があります。日焼け止めや紫外線を遮るウエアを着用するのはもちろん、サプリも同時に活用していくのがおすすめ。肌の老化を食い止めるビタミンなどのサプリを補うようにしましょう。

もちろん食事からも紫外線対策が可能です。抗酸化作用のある緑黄色野菜やカラフルなフルーツを摂取するようにします。特に赤いパプリカはキサントフィルという抗酸化物質が大量に含まれているためおすすめです。

ランニングは老化の他にも痩せないとも言われる理由&対策

ランニングは老化を加速させるだけではなく、痩せないといわれることもあります。どうして運動をしているのに痩せないのでしょうか?その理由や取るべき対策を見ていきましょう。

理由①筋肉からエネルギーを奪うから

ランニングやジョギングではもちろん筋肉をたくさん動かします。しかし長距離のランニングを行ってしまうと体内のエネルギーでは足りず、筋肉からエネルギーを奪ってしまうのです。もちろん、筋肉が消費されれば筋肉量が減ります。したがって基礎代謝も悪くなるので痩せなくなります。ランニングにより悪循環に陥ってしまうとどんなに運動しても痩せなくなるのです。

理由②長時間ランニングした安心感で食べてしまうから

「今日は頑張ったし少しくらい…」と食べてしまうことがあるでしょう。またランニング後のビールが最高だという方もいます。しかしそれでは本末転倒。長距離のランニングをしたときは身体からエネルギーが消費しつくされてしまっているので、カロリーを本能的に欲します。この時にしっかり自制しないと結局食べ過ぎてしまい、痩せないという事態に陥ります。

対策は?

どちらのケースも長距離のランニングを行っていて、エネルギーが枯渇した状態が招いています。ということで、長距離のランニングをしないようにすれば解決できます。またダイエットのためにランニングをするのなら、同時に食事管理もしっかりと行うようにしましょう。たんぱく質や水分をしっかりと摂取し、ソイプロテインなども足していくと効果的です。

(ランニング中の水分補給の重要性については以下の記事も参考にしてみてください)

ランニングは水分補給が重要!前中後での量・飲み方〜脱水のデメリットまで解説!

ランニングは老化を加速させる可能性もあるので注意!

健康のためにランニングが良い!という話はよく耳にしますが、間違った方法だと効果がないばかりか老化を加速させてしまうのです。特に脳や肌、臓器へのダメージは深刻。しっかりと自分のランニングスタイルと比較して、老化を防ぎながら健康にランニングを楽しみましょう。