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フロントスクワットのやり方!正しい持ち方〜バックスクワットとの違いまで解説

2020年03月13日

フロントスクワットは通常のバックスクワットよりも大腿四頭筋や体幹に強い刺激を与えられる筋トレメニューです。今回はこのフロントスクワットの効果的なやり方やコツなどを解説します。ケトルベルやダンベル、スミスマシンを使った応用も紹介するので、参考にしてみてください。

【監修】パーソナルトレーナー ずーみー(泉風雅)

【所属】早稲田大学スポーツ科学部、早稲田大学バーベルクラブ、パーソナルトレーナー
【経歴】JOC日本ジュニアボディビル優勝、2018全日本学生ボディビル準優勝、関東学生ボディビル優勝(2年生時での優勝は30年ぶりの快挙)
【SNS】Twitter / YouTube

フロントスクワットとは?バックスクワットとの違いを解説

フロントスクワットは下半身の筋トレメニューです。ただ、一般的なバックスクワットとは違って、背中ではなく身体の前にバーベルを支えてスクワットを行います。

また筋肉への効き方にも違いがあるのです。バックスクワットでは体を畳む必要があるため大臀筋ハムストリングス脊柱起立筋なども同時に使われます。しかし、フロントスクワットでは体は真っ直ぐのままで行えるため、大腿四頭筋に集中的に負荷をかけられるのです。体幹への刺激も強いという点も通常のバックスクワットとは違います。

今回はそんなフロントスクワットの正しいやり方や効果を高めるコツなどを解説します。それではまず鍛えられる筋肉の部位や効果について見ていきましょう。

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フロントスクワットで鍛えられる筋肉部位、得られる効果

フロントスクワットで主に鍛えられる筋肉の部位は以下の2つあります。

・大腿四頭筋
腹筋外腹斜筋などの体幹部

それではそれぞれがどのような筋肉なのか、得られる効果と合わせて確認していきましょう。

大腿四頭筋

出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html#chapter-11

大腿四頭筋は大腿骨や腸骨などから膝上まで付いている筋肉です。細かく見ると大腿直筋外側広筋内側広筋中間広筋の4つの筋肉から構成されていて、膝を伸ばす作用を持っています。

そしてフロントスクワットでこの大腿四頭筋を鍛えるとジャンプやキックなどの膝を伸ばす運動を強化できます。また通常のスクワットの強化や膝の痛みの予防などの効果も得られるのです。

(大腿四頭筋の筋トレメニューについては以下の記事も参考にしてみてください)

腹筋や外腹斜筋などの体幹部

出典:https://www.sfphes.org/2019/09/musclename-bk.html#chapter-11

フロントスクワットでは腹筋や外腹斜筋・内腹斜筋などの体幹部の筋肉も鍛えられます。なぜなら直立姿勢で重心が高くなり不安定性が増した分、そのバランスを取るために体幹部の筋肉が使われるからです。

そしてフロントスクワットでこの体幹部を鍛えると姿勢を維持する機能が向上する効果が得られます。その結果、スクワットやベンチプレスデッドリフトなど他の種目の動作が安定したりもするのです。

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ずーみー(泉風雅)

体幹部の筋肉に大きな負荷をかけたい場合は、バーベルを頭上でキープしながら行うオーバーヘッドスクワットもおすすめです。

フロントスクワットの効果的なやり方

ここからはフロントスクワットの効果的なやり方について解説します。間違ったやり方で怪我をしないためにもここで正しいフォームを確認しておきましょう。

①バーベルを担ぐ

まずはバーベルを鎖骨と三角筋前部付近で担ぎましょう。バーベルの持ち方は1枚目の画像のように誰でも簡単にできる腕をクロスしてバーベルを支える方法がおすすめです。ちなみに2枚目の画像のウェイトリフティング選手が行う肘を返してグリップを持つ方法もあります。

足幅については通常のスクワット同様に肩幅くらいが良いでしょう。

②上半身を直立させながらしゃがみ、立つ

上半身を前傾させず、直立させたまましゃがみます。この時、上半身が直立であるため自然とバックスクワットよりも膝が前に出てしまいますが特に問題はありません。そしてしゃがんだ後、姿勢を維持したまま立ち上がります。

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ずーみー(泉風雅)

スクワットの動作で重要なのは以下の3つのポイントです。

・重心を足の真ん中を結んだ中央に置く
・しゃがむときに腰を曲げない
・つま先と膝の位置(向き)を一致させる

フロントスクワットでもこれらのポイントを忘れずに動作を行うようにしましょう。

フロントスクワットのコツ&注意点

次にフロントスクワットを安全、そして効果的に行うための以下の5つのコツ・注意点を紹介します。

①しゃがむ時にカカトが浮く
②バーを担いだ時に食い込んで痛い
③手首が痛いなら腕をクロスさせる
④腰が痛い時は重心の位置を調整
⑤膝が痛い時は股関節を外旋させる

それでは①のしゃがむ時にカカトが浮くを高めることから順番に詳しく見ていきましょう。

①しゃがむ時にカカトが浮く

フロントスクワットを行うと画像のようにしゃがむ時にカカトが浮いてしまう人がいます。これはふくらはぎの硬さに原因があることが多いです。

ふくらはぎの硬さの自覚がある人は、正しいフォームを維持するために十分にストレッチをして、ふくらはぎをほぐすようにしましょう。

ちなみにカカトが浮くことに対してはバーベルのプレートなどを敷いたり、リフティングシューズを履くといった対策法もあります。しかし、基本的にはカカトが浮かないように柔軟性を身に付けておくのをおすすめします。

②バーを担いだ時に食い込んで痛い

フロントスクワットでは間違った場所にバーを乗せると食い込んで、痛みを感じてしまう場合があります。その痛みを防ぐために鎖骨をしっかりと前に出し、三角筋前部・肩峰のあたりの正しいポジションにバーを乗せるよう意識してください。それでも痛みがある場合は、画像のようなスクワットパッドを利用すると良いでしょう。

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バーの食い込みの痛さは筋肉の硬さなどの慣れの部分が原因となっている場合もあります。

③手首が痛いなら腕をクロスさせる

ウェイトリフティングスタイルでバーベルを担ぐと手首に痛みが出る人もいます。これは広背筋上腕三頭筋の長頭などが硬く、上手く肘を前に返せていないことが主な原因です。肘を前に挙げられない分、手首を無理に返す必要があるため痛みが出るのです。

そのため手首に痛みが出る場合には、無理をせずに先ほど紹介した腕をクロスさせてバーを持つようにしてください。そして柔軟性を十分に高めてからウエイトリフティングスタイルのフロントスクワットに挑戦しましょう。

(広背筋のストレッチについては以下の記事も参考にしてみてください)

④腰が痛い時は重心の位置を調整

フロントスクワットでは画像のように上半身が倒れて重心の位置が足の中心線よりも前に流れないように注意してください。なぜなら背中・腰にかかる負担が大きくなり、腰痛の原因になるからです。

怪我を防ぐためにもフロントスクワットの動作中は重心の位置を足の真ん中を結んだライン上にキープすることを意識しましょう。

⑤膝が痛い時は股関節を外旋させる

フロントスクワットを行うと膝に痛みが出ることがあります。これはつま先の向きを前に揃えて、しゃがんだ時に膝が前に出すぎてしまうのが原因である場合が多いです。

そのためもし痛みを感じ時は少し股関節を外旋させて動作を行うようにしてみてください。このフォームだと内転筋に負荷が分散されて、痛みが良くなる場合があります。

ただし、それでも痛みを感じるようなら無理をせずに一旦フロントスクワットを中止しましょう。

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ずーみー(泉風雅)

可動域を狭めたり、スミスマシンを利用することでも痛みを軽減できる場合があります。

フロントスクワットの最適な重量・回数・セット数

フロントスクワットを行う上で最適な重量や回数は、筋トレの目的によって変わります。筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6~12回、持久力アップであれば15回以上で限界が来る重量がおすすめです。ちなみに筋肥大目的の場合は限界まで行うなら低重量・高回数でも同じ効果が得られます。

またどんな目的でも正しいフォームで限界まで追い込むことが最も重要です。間違ったフォームではいくら追い込んでも効果が出にくく、怪我に繋がる可能性もあります。そのため常に正しいフォームは維持するようにしてください。

セット数については初心者なら週に1回3セット、上級者なら週に2回6セットがおすすめです。また週1回よりも週に2回の方が効果があります。しかし、多くし過ぎてもオーバーワークになるだけなので、無理のない範囲で鍛えるようにしましょう。

フロントスクワットの応用メニュー

通常、フロントスクワットはバーベルを担いで行いますが、ケトルベルやダンベル、スミスマシンを使った応用メニューもあります。これから詳しいやり方・効果を解説しますので、新しい刺激が欲しい人などはチェックしてみてください。

①ケトルベル・ダンベル

ケトルベルやダンベルを使ったフロントスクワットは、「ゴブレットスクワット」とも呼ばれます。バックスクワットに近い動きですが、ケトルベルなどを胸の前で持つため、重心の位置が低く安定させやすいのが特徴です。理想的なフォームを覚えるのにも役立つので、高負荷が扱えない初心者の方にもおすすめします。

▼ケトルベル・ダンベルを使ったフロントスクワットのやり方

①ケトルベル・ダンベルを胸の前で抱える
②足を肩幅に開いて直立する
③上半身を立てた状態でしゃがむ
④姿勢を維持したまま立ち上がる

回数・セット数の設定はバーベルの時と同じです。筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6~12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さを利用しましょう。セット数は初心者なら週1回3セット、上級者なら週2回6セットが目安です。

▼ケトルベル・ダンベルを使ったフロントスクワットコツ&注意点

・ダンベルの場合は手の根元で支える
・お尻をしっかりと引いてしゃがむ
・カカトが浮く場合は重量を下げる

(ケトルベルスクワットについては以下の記事も参考にしてみてください)

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ずーみー(泉風雅)

ケトルベルを使うフロントスクワットはバックスクワットの動作を覚えるのにも重宝されます。

②スミスマシン

スミスマシンは動作が安定するのが最大のメリットです。通常のフロントスクワットが苦手な人や安定して力を集中して出したい人には特におすすめします。

ちなみにスミスマシンはバーベルが垂直に動く種類のものが適しています。ただ、もし斜めに動くスミスマシンしかない場合は、挙げるにしたがって後ろに行く向きで行ってください。また足は動作の中間でバーが足の真ん中を結んだ線の真上に来る位置が理想です。

▼スミスマシンを使ったフロントスクワットのやり方

①バーベルの重さをプレートで調整する
②バーベルを鎖骨のあたりに乗せる
③脚を肩幅に開いて直立する
④上半身を立てた状態でしゃがむ
⑤姿勢を維持したまま立ち上がる

回数・セット数の設定はバーベルの時と同じです。筋力アップなら1~6回、筋肥大なら6~12回、筋持久力アップなら15回以上で限界が来る重さを利用しましょう。セット数は初心者なら週1回3セット、上級者なら週2回6セットが目安です。

▼スミスマシンを使ったフロントスクワットのコツ&注意点

・しゃがむ時にカカトを浮かせない
・セーフティバーを動きに合わせた高さに調整する

(スミスマシンの使い方については以下の記事も参考にしてみてください)

フロントスクワットの効果を高める為のポイント

最後にフロントスクワットの効果を高めるための以下の2つのポイントを紹介します。

・その他の下半身のメニューと一緒に行う
・しっかりと休息・栄養を摂る

それでは早速、それぞれのポイントをより詳しく見ていきましょう。

その他の下半身のメニューと一緒に行う

フロントスクワットはその他の下半身のメニューと一緒に行うとより効果を高められます。具体的には以下のような種目がおすすめです。

・股関節伸展筋を鍛えるスクワットやスティッフレッグデッドリフト
・大腿四頭筋により強い刺激を与えるレッグエクステンションシシースクワット
・体幹部を鍛えるオーバーヘッドスクワット

下半身の筋肉をバランスよく鍛えるためにも、ぜひこれらのメニューと一緒に取り組んでみてください。ただし、やり過ぎてオーバーワークにならないように注意しましょう。

十分な休息・栄養を確保する

フロントスクワットを行った後は休息と栄養を十分に確保しましょう。なぜなら筋肉は材料となるタンパク質などの栄養と休息を取ってこそ最大限に成長するからです。

栄養についてはタンパク質を1日体重1kgあたり2gが摂取量の目安です。炭水化物や脂質も筋合成のサインを出すために必要となります。炭水化物はタンパク質の2倍、脂質は3分の1程度が目安なので、バランスよく摂取するようにしましょう。

また大腿四頭筋は筋トレ後の超回復に約72時間必要です。そのためフロントスクワットなどで鍛えた後は約3日間の休息を確保してから、次の下半身の筋トレを行うようにしてみてください。

(筋トレの休息日の重要性については以下の記事も参考にしてみてください)

フロントスクワットで最強の下半身・体幹部を手に入れよう

フロントスクワットは大腿四頭筋と体幹部に強い刺激を与えられる筋トレです。取り組むと姿勢の改善やその他の種目のパフォーマンスアップにも繋がります。ぜひ普段の下半身のメニューに取り入れて、最強の下半身・体幹部を作り上げていきましょう。