目次
スクワットのやり方の前に鍛えられる筋肉部位を理解!
スクワットのやり方の前に、効果について確認しておきましょう。スクワットは、下半身を中心に鍛えるトレーニングです。下半身には多くの筋肉があり、スポーツだけでなく日常生活においてもさまざまな役割を果たしています。
スクワットで鍛えられる筋肉には、お尻にある大臀筋や中殿筋、太ももの大腿四頭筋及びハムストリングス、すねにある下腿三頭筋などが挙げられます。これらの筋肉は、股関節や膝関節を動かす役割を担っていますが、ケガをしやすいという特徴もあります。しかしスクワットでこれらの筋肉を鍛えることにより、そうしたケガのリスクを軽減することが可能です。
また、スクワットでは脊柱起立筋も鍛えることができます。脊柱起立筋が弱っていると猫背の原因になるため、姿勢を改善したい方はぜひ鍛えてください。
なお、下半身は筋肉量が多いため、鍛えることにより基礎代謝が上がり、ダイエット効果も期待できます。さらに、ヒップアップや脚痩せなどのシェイプアップ効果も見込めます。
(スクワットの効果については以下の記事も参考にしてみてください)
スクワットの効果&正しいやり方!13種類のフォーム、回数・重量などコツも解説
出典:Slope[スロープ]
(動画で見たい方はこちら)
誤ったスクワットのフォームで起こるリスク
スクワットは間違ったフォームで行うと膝が痛くなることがあります。しゃがんで切り返す際に、太もものハムストリングスやお尻の大臀筋をしっかりと使うのが正しいやり方ですが、代わりに大腿四頭筋にばかり負荷をかけてしまうと膝が痛くなります。その場合の対処法としては、以下のものが挙げられます。
①初動では膝は少し曲げるだけにし、その分しっかりとお尻を引くことで前傾姿勢になる
②ローバースタイルのイメージで深くしゃがむ
①のようなやり方を意識することで、ハムストリングスと大腿四頭筋がバランスよく使えるようになるため、膝の痛みが出にくくなります。お尻を引くのが怖い、前傾するのに恐怖心があるという方は、しゃがんだ状態から始めてみると慣れやすいでしょう。
また、ハイバースタイルでバーベルを担ぐときのようなイメージで行う浅いスクワットは、切り返し時に痛みが出やすくなります。それよりも、ローバースタイルのイメージで深くしゃがんだ方が膝の痛みを回避できるかもしれません。
ずーみー(泉風雅)
(スクワットで膝が痛い原因&対策については以下の記事も参考にしてみてください)
スクワットで膝が痛い原因&対策!NGフォーム&コツを理解して効果UP!
出典:Slope[スロープ]
フル・ハーフスクワットの違いの理解も必須
スクワットにはさまざまな種類があり、それぞれやり方や正しいフォームが異なります。こちらの画像のように、膝のお皿の高さよりも股関節の大転子(硬い骨)が下に来る深さのスクワットはフルスクワットと呼ばれます。フルスクワットは、可動域を大きくとれるため筋肥大に有効と言われています。
ずーみー(泉風雅)
なお、お尻が踵につくまで行う場合はフルボトムスクワットと呼ばれます。
ハーフスクワットとは、股関節の大転子が膝のお皿の高さにくるところまで下げるスクワットです。太ももが床と平行になるくらいのところで切り替えします。
ハーフスクワットはしゃがみ込みが浅く筋肉への負荷が低いため、初心者でも行いやすいトレーニングですが、フルスクワットに比べると臀筋群や大腿二頭筋の跳ね返りの力が弱いため、膝への負担が大きくなるとも言われています。
一方のフルスクワットは、深くしゃがみこむため膝に負担がかかりやすいと思われがちですが、臀筋群や大腿四頭筋、大腿二頭筋などの大きな筋肉が跳ね返る力を利用するので、膝への負担はかかりにくいのです。
ずーみー(泉風雅)
初心者の方や、筋力が弱いなどの理由でフルスクワットの正しいやり方ができないという方は、ハーフスクワットで慣れてからフルスクワットに移行すると良いでしょう。
【正しい】スクワットのやり方・フォーム
今回は自重よりも負荷の高い、バーベルを用いたスクワットのやり方を解説していきます。あらゆるスクワット動作において最も重要なことは、以下の3つです。
・重心を両足の真ん中(左右それぞれの足の親指の付け根・小指の付け根・かかとの三角形の真ん中どうし)を結んだ中点に置く
・しゃがむときに腰が曲がらないようにする(背中の曲がりではなくしっかりと股関節を使ってしゃがむ)
・つま先と膝の位置を一致させる
ここからはフルスクワットのフォームについて解説していきます。今回は、ローバースタイルでのフルスクワットを例に解説しますが、初心者の方はバーベルなしでも構いません。
ずーみー(泉風雅)
バーベルをハイバースタイル(肩の上)で担ぐと上体が立ったまま動作しやすく、膝の曲げ伸ばし動作が大きくなるため大腿四頭筋に効かせることができます。また、ローバースタイル(肩の後ろ)で担ぐと上体がより前傾した動作になり、ハムストリングスへの刺激が大きくなります。
①バーベルを担いで立つ
歩幅を肩幅程度にして、バーベルを担いで立ちます。
ローバースタイルでは、バーベルは肩の後ろで担ぎます。手幅はある程度狭くするのがおすすめです。こうすることで肩甲骨を寄せ、胸が張りやすくなります。バーベルを担いだ後はステップバックし、以下の点を意識して立つようにしてください。
・足幅はかかとが肩幅程度になること
・つま先と膝が30度ほど外を向き、その方向が一致していること
・重心がしっかりと足の真ん中に載っていること
・しっかりと胸を張り肘をあげられていること
②腰が曲がらないようにしゃがむ
しっかりと胸を張ったまま、重心をまっすぐ降ろしていきます。ローバーで担いでいれば自然に体は畳まれていくはずです。
③ゆっくりと戻る
しゃがんだ状態から、ゆっくりと元の体勢に戻ります。切り返し時点でバーベルよりも先にお尻が上がってしまうと体勢が前に流れ、腰にかかる負担が大きくなってしまうので、注意して行ってください。
以上が基本的なフォームのポイントです。しかし、フルスクワットを行うためには、ある程度のハムストリングスの柔軟性とストレングスが必須なため、このやり方が難しいという方もいるでしょう。その場合は、腰が曲がってしまわない範囲でスクワットを行いつつ、ルーマニアンデッドリフトを同時進行で行っていくのがおすすめです。
ずーみー(泉風雅)
ルーマニアンデッドリフトはハムストリングスの強化におすすめの種目です。ルーマニアンデッドリフトを行いながらスクワットを段々と深くしていき、フルスクワットができるようにしていくと良いでしょう。
④呼吸法について
ここでは初心者の方向けに呼吸のやり方について解説します。ジムのトレーナーの方は、保守的な安全のために「上げながら吐く、下ろしながら吸う」という呼吸法を推奨しています。しかし、このやり方は体幹の固定力が弱いため、高重量のスクワットやデッドリフトでは、腰が曲がってケガをしてしまうおそれがあります。
実際にトレーニングをしている方の多くは、力を出すときに息を止めています。この呼吸のやり方はヴァルサルヴァ法と言います。この呼吸法では、息をこらえることにより筋肉が力を出しやすくなるほか、腹圧が上がり体幹部が安定します。ただし、血圧が上がりやすいので、心血管系リスクを抱えた方は行わないでください。
フルスクワットは体幹部の固定にそこまで力が必要な種目でもありませんので、肩甲骨をさらに柔軟に使いたい方は「上げながら吐く、下ろしながら吸う」方法を採用してみてもいいでしょう。ただ、高重量を扱うときは、ヴァルサルヴァ法がおすすめです。いずれにしても、ご自身の体調と相談し、安全性には十分配慮したうえで、医師の指示に従って行ってください。
ずーみー(泉風雅)
体幹部を柔軟に使う必要がある種目では「上げながら吐く、下ろしながら吸う」という呼吸法を推奨しますが、「大きな力を出す必要がある」「体幹を固定する必要がある」といった多くのレジスタンストレーニング種目ではヴァルサルヴァ法が良いでしょう。
【間違い】スクワットのやり方・フォームのNG例
ここからは、スクワットの間違ったやり方やフォームを紹介します。腰・膝などが痛くなったときや、下半身への負荷をあまり感じられないときは、フォームが正しくできているか確認してください。
①腰が曲がってしまう
しゃがむときに腰が曲がってしまうのは間違ったフォームです。原因としては、股関節屈曲可動域に制限がある、つまりハムストリングスが硬い・弱いことが考えられます。
ハムストリングスの柔軟性や強さが足りないと、重心が足の真ん中を結ぶ線から前側に行ってしまい、バーベルの負荷が股関節から遠くなってしまう状態になります。これを「前流れ」と言いますが、この状態では腰が曲がりやすく、背中への負荷が大きくなってしまいます。このやり方で続けていると、腰痛になる危険もあります。
この問題を解決するには、まずハムストリングスを強化しましょう。そのためには、ルーマニアンデッドリフトを行うのがおすすめです。初心者の方や股関節を伸展する筋肉の強化が必要な方は、まずそちらを行ってください。
ずーみー(泉風雅)
腰が曲がる原因を「脊柱起立筋が弱いからだ」と考える方もいますが、実際にはハムストリングスの柔軟性やストレングスを改善すると良くなる場合が多いです。
②かかとが浮いてしまう
かかとが浮いてしまう原因は、ふくらはぎの筋肉の硬さにあります。基本的にはかかとが浮かない程度の重量でスクワットを行いつつ、ルーマニアンデッドリフトなどでふくらはぎの柔軟性を獲得していくことをおすすめしますが、プレートをかかとに挟んだり、リフティングシューズを履いたりといったやり方でも対処できます。
③戻るときに膝が内側に入ってしまう
膝が内側に入ってしまうと、膝関節の内側側副靭帯という靭帯を痛めてしまうおそれもあります。これは大腿部外側の癒着や硬さ、股関節外転筋・外旋筋の弱化が原因と思われます。フォームローリングで太ももの外側をマッサージするほか、アウターサイエクササイズや貝エクササイズを行うことをおすすめします。
④呼吸法を間違えてしまう
重い負荷を使用しているときに、「上げながら吐く、下ろしながら吸う」という呼吸法を行うのは危険です。このやり方では腹横筋の下部だけで姿勢を維持することになるので、体幹の固定力が弱くなってしまいます。軽い重量でテンポよく高回数を行う場合は良いのですが、バーベルを持つなど大きな負荷をかけているときは、呼吸を止めて腹圧を高めることが重要です。
⑤重心が前寄りになってしまう
重心位置が足の真ん中からずれてしまうのは良くありません。スクワットでは、親指の付け根・小指の付け根・かかとの3点にバランスよく重さが乗っている必要があります。このバランスが崩れると、上でも紹介した前流れになり、体が前に流れ、腰が曲がるなどして腰痛になるおそれもあります。
この原因としては、ふくらはぎの筋肉の硬さやハムストリングスの柔軟性及びストレングス不足、股関節を外旋できていないことなどが考えられます。まずはそちらを強化しましょう。
⑥重心が後ろ寄りになってしまう
重心が後ろ寄りになってしまうと、そのまま後ろに倒れる危険性があるので注意が必要です。「お尻を引かなきゃ!!」という意識が強すぎて、かかとに重心が来てしまっていることが原因でしょう。上でも紹介したとおり、重心の位置は足の3点を結んだ中心になるようにしてください。
⑦膝が極端に前に出てしまう
上で、「膝がつま先より前に出ること自体は運動の結果として問題ない」と解説しましたが、初動で上体が立ったまま膝が前に出ていくようなやり方では、やはり膝の痛みが出やすくなります。このフォームでは、ハムストリングスや大臀筋などの後ろ側の筋肉を使うことができません。
スクワットの重量設定・回数・セット数
スクワットはバーベルなどで負荷をかけながら行うこともできますが、自重のみで行うことも可能です。ここでは、トレーニングに最適な重量及び回数について、ウエイトを使用する場合と自重のみで行う場合の2パターンに分けて解説します。なお、セット数はどちらのやり方でも同じです。
ウエイトを使用する場合の最適な重量・回数
ウエイトを使用する場合の最適な回数は、トレーニングの目的によって変わります。筋力アップのためには1~6回、筋肥大のためには6~12回、筋持久力アップのためには15回以上を目安にしてください。重量は、その回数を行ったときに限界が来るものを扱うのが良いでしょう。
なお、筋肥大を目的とする場合に関しては、限界まで行えば軽い重量の高回数でも同等の効果が得られます。
(スクワットの平均重量・回数については以下の記事も参考にしてみてください)
スクワットの平均重量は?男女の初心者〜上級者の目的別に適切な回数・重さを解説!
出典:Slope[スロープ]
自重で行う場合の最適な回数
自重のみでトレーニングを行う場合は、正しいフォームを維持できる限界の回数まで行うのがおすすめです。正しいフォームで行うのが難しい場合は、ルーマニアンデッドリフトなどで筋力をアップするか、ハーフスクワットなどに変更すると良いでしょう。
スクワットの最適なセット数
スクワットのセット数は、ウエイトを使用するときも自重のみで行うときも同様に、初心者の方は週1回3セット、上級者は週2回6セット程度がおすすめです。トレーニングステータスが上昇するにしたがってセット数や頻度を増やすと良いでしょう。
なお、筋トレは、週1回よりも週2回のほうが効果はあるとされていますが、週3回以上がそれ以上の効果を生むかは不明です。多くなりすぎるとオーバーワークになってしまう可能性もでてきます。
筋トレは、無理に頻度や回数を増やすのではなく、自分の年齢や体調に合ったものを見つけることが大切です。特に高齢者の方は、過度な負荷やトレーニングにより筋肉や関節を痛めてしまうことがあります。筋肉痛の場合はトレーニングを控えるなど、体調に注意しながら行うようにしましょう。
(筋トレのセット数・回数の最適解については以下の記事も参考にしてみてください)
筋トレのセット数・回数の最適解はコレ!目標別に成長効率を上げるコツを解説!
出典:Slope[スロープ]
スクワットの効果を高める為のポイント
ここまでスクワットのやり方を見てきましたが、その効果を最大限引き出すために、さらに知っておいて欲しいポイントを解説します。フルスクワットはかなり負荷のかかるトレーニングなので、無理に行わないことが重要です。
フルスクワットにこだわらない
フルスクワットは、これまでにも解説してきたとおりハムストリングスの柔軟性やストレングスが不可欠な種目です。これらの筋力が足りていないのに行ってしまうとケガをするおそれもあるため、無理に行わないようにしてください。
スクワットについて、「フルスクワット以外はスクワットじゃない!」と考えている方がいますが、これは間違いです。ハーフスクワットであっても正しいやり方で行えば、無茶苦茶なフォームのフルスクワットよりも効果は上がるものです。
スクワットのスタイル・深さは、個人の可動域や力の入れやすいタイミング、負荷など目的によって決められるべきであり、ハーフスクワットよりフルスクワットのほうが必ず優れているというわけではありません。スクワットの深さよりも、正しいフォームで効果的にトレーニングすることを重視してください。
ルーマニアンデッドリフト
スクワットと同時に行うのにおすすめな種目が、ルーマニアンデッドリフトです。ルーマニアンデッドリフトは、足幅を狭くして行うデッドリフトの応用メニューで、大臀筋やハムストリングス、脊柱起立筋などを強化することができます。
ルーマニアンデッドリフトは通常のデッドリフトよりも膝を伸ばし気味にし、動きを抑えたトレーニングなので、初心者や膝を痛めやすい人でも安心してできます。
ずーみー(泉風雅)
フルスクワットを正しいやり方で行えるだけのストレングスや柔軟性があれば、広い範囲で役に立ちます。そのために有効なトレーニングがルーマニアンデッドリフトです。
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